ゲーム・エンターテインメント業界やIT業界を中心に、デバッグ・検証などの品質保証、BPO、カスタマーサポート、投稿監視、不正対策など、サービス運営を支える幅広い事業を展開するポールトゥウィン株式会社(以下、ポールトゥウィン)。
障害者雇用支援サービスサポート付きサテライトオフィスINCLU(以下、INCLU)の活用事例をインタビューしました。(取材日:2026年9月)
▼インタビューを受けてくださった方
ポールトゥウィン株式会社 人事管理部 総務人事グループ 山本氏(写真左から1番目)
| 従業員数 | 業種 |
|---|---|
| 5,039名(2026年4月現在) | IT・ゲーム |
| INCLU導入前の悩み |
|---|
| ・業務切り出しや手順書作成のノウハウが不足していた ・部門ごとの個別対応では、定着支援や配慮対応の負担が大きかった ・全社展開に向けた理解醸成と運用体制づくりが課題だった |
| INCLU導入後の効果 |
|---|
| ・専門スタッフとの連携で、安心して働ける支援体制を整備 ・3カ月で17業務を切り出し、手順書化・標準化を推進 ・個別対応から組織的な運用へ移行し、全社展開の土台を構築きた |
部門ごとの個別対応から、全社で支える体制へ
―――INCLU導入前の障害者雇用のご状況を教えてください。

障害者雇用については法定雇用率への対応だけでなく、中長期的な体制構築が必要だと考えていました。
一方で、各部署で個別に採用・管理を行う場合、業務設計や定着支援、合理的配慮への対応など、それぞれに大きな負担が発生する課題がありました。
また、今後の法定雇用率引き上げや事業拡大を見据えると、継続的かつ安定的に障害者雇用を推進できる基盤づくりが必要な状況でした。
そのため、人事管理部が中心となってノウハウを蓄積しながら運用できる仕組みを検討していました。
INCLUの決め手は「安心して長く働ける」を実現したい想い
―――障害者雇用支援サービスの利用を検討したきっかけを教えてください。

法定雇用率の引き上げと、今後の事業拡大でした。
障害者雇用をさらに進めていくには、採用するだけでなく、入社後の定着や活躍まで継続して支えられる体制が必要だと考えたのです。
しかし、社内だけで必要な知識や対応方法を一から蓄積し、各部門で統一して運用していくには時間がかかります。そこで、人事管理部を中心とした全社的な体制をより早く、着実に整えるために、専門的な知見がある障害者雇用支援サービスの利用を検討しました。
―――障害者雇用支援サービスは複数比較されましたか?

はい、他のサービスについても情報収集や比較検討を行いました。
検討にあたっては、サービス内容や支援体制などを確認しながら、当社が目指す障害者雇用のあり方に合っているかという視点で検討を進めました。
―――その中で、INCLUを選んだ理由を教えてください。

INCLUを選んだ理由の一つは、専門的な知見を持つスタッフのサポートを受けながら、安心して働ける環境を整えられる点です。
特に精神障害のある方の雇用では、一人ひとりの状況に応じたサポートや相談しやすい環境が重要だと考えており、就業後も継続して支援いただける体制に魅力を感じました。
また、当社としても支援を受けるだけではなく、INCLUでの運用を通じて障害者雇用に関する知見やノウハウを蓄積し、今後の雇用拡大や社内での受け入れ体制の整備につなげていけると考えたことも、選定のポイントでした。
3カ月で17業務を創出――組織で支える運用へ
―――INCLU導入時のスタートアップでは、障害者に任せる業務はどのように整理し、3カ月で17業務の創出につなげたのでしょうか。

はい。もともと、将来的には社内の定型業務を集約して担う「社内BPO」を実現したいと考えていました。
INCLUの導入にあたっては、事前に人事管理部内で切り出し可能な業務を洗い出し、どのような業務をお願いするかを整理していました。そのうえで、スタートラインの担当者にも入っていただき、一つひとつの業務について、実施方法や手順、実際に運用するうえでのポイントなどを一緒に確認しながら、業務として形にしていきました。
その結果、3カ月で17業務を整理・選定することができました。社内だけで検討するのではなく、スタートラインの知見やサポートを受けながら進められたことが、短期間で運用につなげられた大きな要因だったと感じています。
現在は、17業務に優先順位をつけ、手順書の作成やメンバーへの説明を進めながら、準備が整ったものから順次取り組んでもらっています。 まずは、判断する場面が比較的少なく、決められた手順に沿って進めやすい業務から経験を積んでもらい、今後は習熟度や適性なども踏まえながら、段階的に担当できる業務の幅を広げていきたいと考えています。
スタートラインとの連携で、相談と支援をより確かなものに
―――導入後、どのような変化がありましたか。

現在、INCLUで勤務しているメンバーは人事管理部に所属しており、担当してもらっている業務についても、現時点では人事管理部の業務が中心です。
その中で大きな変化として感じているのは、スタートラインの専門スタッフと連携しながら、日々の就業や定着を支援できる体制ができたことです。
現在は、スタートラインのスタッフによる定期的な面談を通じて、本人の状況や必要な配慮などを共有いただき、必要に応じて人事管理部と連携しながら対応しています。専門的な知見を持つスタッフに相談できる環境があることで、私たち自身も障害特性への理解を深めながら、より適切な対応を検討できるようになりました。
また、業務面でも、人事管理部とスタートラインの担当者が連携しながら業務内容を整理することで、手順書やマニュアルの整備が進んでいます。
現在は、こうしたINCLUでの運用を通じて、業務設計や本人への配慮、定着支援などに関する知見を人事管理部に蓄積している段階です。 今後は、この取り組みを一つのモデルケースとして、他部門からの業務切り出しや社内BPOを進めるとともに、将来的には全社的な障害者雇用の受け入れ・支援体制の構築にもつなげていきたいと考えています。
―――人事管理部で始めた取り組みを全社へ広げるために、現在どのようなことを進めていますか。

全社へ広げるうえで、まず必要なのは、各事業部門の管理職や担当者に、この取り組みの目的と進め方を理解してもらうことです。業務をメンバーに任せるには、各部署で仕事の流れを整理し、誰でも同じ手順で進められるようにマニュアルを作る必要があります。
ただ、こうした準備には工数がかかるため、「人に任せるより、自分で対応した方が早い」と感じる担当者もいます。
そこで現在は、メンバーに任せやすく、各部署の負担軽減にもつながる業務を具体的に示しながら、社内への説明を進めています。
その一環として、各事業部門の管理職を対象に、障害者雇用への理解を深める研修も実施しました。研修では、各部署が日常的に行っている定型業務の一部を切り出し、INCLUで働くメンバーに任せる仕組みを説明しました。業務を切り出すことで、メンバーが担える仕事が増えるだけでなく、これまでその業務を担当していた社員も、より優先度の高い仕事に集中できるようになります。
研修後のアンケートでは、参加者の約8割が業務の切り出しに関心を示しました。これは、業務を切り出すことで、INCLUで働くメンバーに任せられる仕事が増えるだけでなく、各部署の負担軽減にもつながることを具体的にイメージできたためだと考えています。
社内BPOの拡大と、長く活躍できるキャリアづくり
―――今後の展望を教えてください。

まずは、INCLUを活用しながら障害者向けのオペレーションチームを構築し、社内BPOを推進していきたいと考えています。
現在は人事管理部を中心に業務を切り出していますが、今後は他部署の定型業務やバックオフィス業務も集約し、メンバーが活躍できる領域をさらに広げていく方針です。業務を集約・標準化することで、各部署の業務効率化や生産性向上にもつなげ、障害者雇用と業務改善の両立を目指していきます。
さらに将来的には、オペレーションチームで経験を積んだスタッフが事業部門でも活躍できるようなキャリアパスを整えていきたいです。
あわせて、障害者雇用の知見を生かした新たな業務やサービスの創出にも取り組んでいきたいと考えています。
障害種別を問わず、さまざまな障害のある方が活躍する環境を整えつつありますが、聴覚障害のある方の雇用は未経験です。
そのため、今後は聴覚障害のある方の雇用にもつなげたいと考えており、その一つとして構想しているのが、聴覚障害のある方もゲームを楽しみ、品質検証に関われる環境づくりです。
ゲームのデバッグでは、BGMや効果音の確認が必要な場面があります。聴覚情報を取得しにくい方が参加するには、新たな検証方法やゲーム側の設計が必要になるため、ゲーム開発会社や外部機関との連携も視野に入れながら、音の情報を視覚的に補う方法や、当事者の視点を生かした取り組みの可能性を探っていきたいです。
私たちは、雇用率の達成だけを目的とした障害者雇用ではなく、安心して働ける支援体制、段階的に経験を積める業務、次のキャリアへつながる選択肢を整え、障害の有無にかかわらず一人ひとりが長く活躍できる組織をつくっていきたいと考えています。
INCLUで構築するオペレーションチームを起点に、障害者雇用と社内業務の改善、さらには新しいサービスの創出を同時に進めていきます。
INCLU導入の背景や、3カ月で17業務を切り出した具体的なプロセスについては、動画事例でも詳しくご紹介しています。ポールトゥウィンの実践内容をより深く知りたい方は、ぜひ動画もご覧ください。
【限定公開】『INCLU導入企業登壇』3か月で17業務切り出しと運用基盤を構築~ポールトゥウィン社に学ぶ、障害者雇用の立ち上げと活躍支援の実践~
※メンバー
INCLUで働いている障害のある方。
