【PEVEスマイル導入事例】コーヒー事業にもチャレンジ。一杯が生んだ、新しい障害者雇用と社内交流のかたち

PEVEスマイル|TASKI COFFEE|画像01

トヨタバッテリー株式会社の特例子会社であるPEVEスマイル株式会社。
設立以来、工場内の清掃や事務サポートを中心に業務を担ってきた同社ですが、「次の業務展開」を模索する中でTASKI COFFEEと出会いました。

社員への一杯のコーヒーが、メンバーのやりがいを生み、部署を越えたコミュニケーションを育て、職場全体の温度を変えていく——。
今回は、導入の経緯から現場のリアルな変化まで、担当者の皆さんとTASKI COFFEEを担当するメンバーの方々にお話を伺いました。

▼ インタビューにご参加いただいた方々
向井地さん  取締役 (写真後列左から1番目) 
草野さん (写真前列 左) 
山本さん 業務課 課長 (写真後列右から1番目)
塩原さん 管理課 主事  (写真前列 右)
高橋さん (写真後列左から2番目)
設楽さん・小塚さん・軍司さん TASKI COFFEE障害者メンバー (写真後列左から3,4,5番目)

 

PEVEスマイル株式会社について

PEVEスマイル株式会社は、トヨタバッテリー株式会社が2020年に設立した特例子会社です。
静岡県湖西市(本社)と宮城県黒川郡大和町の2拠点に展開し、90名以上のメンバーが在籍しています。
工場内の清掃・事務サポート・廃材リサイクル補助など、親会社の業務を幅広く支えながら、2025年6月より新たにTASKI COFFEEを導入。
コーヒーを通じて、メンバーの新たなやりがいを育み、社内交流の活性化にも取り組んでいます。

清掃だけでなく、新しい業務へ。変化を求め続けてきた理由

―――御社の大切にされているミッションや価値観を教えてください。

向井地さん

PEVEスマイルはやりがい・働きがいというところを一番大切にしてきました。
また、親会社が製造業という成り立ちから安全・健康を軸として、チームで動くことを大切にしています。

草野さん

弊社は特例子会社化される以前から、工場内の共用部の清掃を主に担当してきました。宮城工場では生産も拡大し、今では工場建屋が7棟あります。この間、人材を確保して清掃業務を担ってきましたが、働く人の志向や興味が多様化する中、新しい業務展開が必要な時期に来ていると感じており、その中でTASKI COFFEEに行き着いた経緯があります。

―――TASKI COFFEE導入以前、メンバーの皆さんはどんな業務を担当されていましたか?

草野さん

基本は工場建屋の共用部(通路など)の清掃がメインで、全体の約9割を占めています。
その他に事務サポートとして、シュレッダーや配達などの業務も行っていました。数年前からは、完成した製品を入れるパックトレーの解体・分別作業も始めています。
インパクトドライバーを使う作業で、楽しんでくれるメンバーも出てきてやりがいにつながっています。
宮城で始まって本社(湖西)にも展開しています。

向井地さん

工具を扱うのが得意なメンバーが出てきたことで、親会社の製造現場への出向という形でも活躍しています。
実習から始まって今では出向者として親会社の他の作業者と一緒に仕事をしています。

清掃や事務サポートからスタートして、パックトレーの解体作業まで、業務の幅を着実に広げてこられたPEVEスマイル。
そういった積み重ねの中で、新たにTASKI COFFEEという選択肢が生まれてきたわけですが、実際にどんな課題感がきっかけだったのでしょうか。

「何も踏み出せなかった」——悶々とした日々から、TASKI COFFEEへ

―――導入前、どのような課題や悩みを抱えていましたか?

草野さん

清掃作業中心の経験しかなかったので、会社の本業(自動車バッテリー)に対してどう関われるかわからず、何ができるだろうという悶々とした気持ちだけがあって、何も踏み出せなかったというのが正直なところでした。

塩原さん

私はTASKI COFFEEが始まった後から入ったので、TASKI COFFEEの検討を進めていく段階ではトヨタバッテリー(親会社)総務で働いていました。向井地さん・草野さんから契約手続きの進め方について相談を受けて、面白いことを始めるのだなと思いました。
新しいことを始めるということで苦労も多くあったと思いますが、それでも2人が一生懸命前に進もうとしている姿勢をすごく感じました。

―――社内承認はどのように進めましたか?

向井地さん

親会社がしっかりしているだけに、規則やルールが細かく決められていて、新しいことに取り組むのは非常に難しかったです。新しい取り組みなので会社全体の理解を得るのにすごく時間がかかりました。
まずは、お試しで美味しいドリップバッグを作ってコーヒー好きな人に応援団になってもらうようにアピールしました。
また、本社の役員にも何度も説明に行きました。

塩原さん

確かに、最初は電池を作っている会社でコーヒーというのでみんな「えっ」という反応が多かったかと思います。
ただスタートライン社がとても丁寧で、サポート体制がしっかりしているという安心感もあり、うまく背中を押してくれたのかなと思います。

向井地さん

スタートライン社からドリップバッグをお試しで頂いたり、TASKI COFFEEの取り組みを見学して、コーヒーも美味しく、従業員向けに福利厚生としてあったら良いなと思いました。
実際に体感してみて『こんな素敵な取り組みなら皆さん受け入れてくれるはずだ』という思いがあったので、社内でしっかりと説明ができたと思います。

―――TASKI COFFEEを知ったきっかけと、導入の決め手を教えてください。

向井地さん

本社の役員にスタートライン社からお手紙が届いて、こちらでやってみたらどうかということで話がきました。
清掃以外の別の新しい業務も増やしたいという思いもあったのでやってみようということになりました。
最初はやはり知らない会社なので疑っていました(笑)。
ただ、担当の方の熱意もあって、だったらスタートライン社までサービスの見学に行こうと草野と二人で行きました。丁寧な説明と仕事内容を実際に目で見たことで「これはいける」と思いました。
知り合いの会社さんもBYSN(バイセン)*(*株式会社スタートラインのロースタリー型障害者雇用支援サービス)をやっていたので、そこにも話を聞いて理解が深まりました。

草野さん

元々は清掃業務がメインで1日歩き続ける仕事なので体への負担もあります。
体の状態に応じて、部屋の中で座ってできる仕事があるといいなと思っていたところにぴったりはまりました。
将来10年・20年継続していくためにも業務の幅が必要だったということもきっかけになりました。

山本さん

1月からこちらに来たのですが、初めて口にした時、今まで飲んだコーヒーで一番美味しいと思いました。
実際に現地を見学し話も聞くことができる、そしてTASKI COFFEEを通して本当に美味しいコーヒーが社内で飲むことができる。
それが導入の後押しになったのだと思います。

「指示がなくても動く」——コーヒーが引き出した、メンバーの新しい顔

―――実際に始めてみて、メンバーの皆さんの様子や変化はいかがでしたか?

草野さん

責任感がすごく増してきたと思います。
やってくださいと言った仕事を最後までやりきるだけでなく、指示がなくても先々を考えて自分から動こうとする積極性が前にも増して出てきました。
TASKI COFFEEを通して新しい業務をやることで見えてきた部分だと思います。
  さらに、実はこの部屋(従業員の休憩兼TASKI COFFEE提供スペース)は最初は殺風景だったのですが、何気なく「殺風景だな」と言ったら、メンバーの方が自分から「こういうのはどうですか?」と切り絵を作ってきてくれました。
頼んだわけではないのに、自分から空間を良くしようと動いてくれたことがすごく嬉しかったです。

そういった変化は、メンバーの皆さん自身はどのように感じているのでしょうか。
実際に担当されている皆さんにもお話を伺いました。

▼ メンバーの皆さんへのインタビュー

―――今どんなお仕事を担当されていますか?

設楽さん

基本的にはハンドピック※1で、その日の予定次第でドリップバッグを作ったりアフターピック※2をやったりします。それを3人でローテーションしています。

※1 ハンドピック:焙煎前の生豆を1粒ずつ手で確認し、割れた豆・欠けた豆・虫食いの豆など品質の低い「欠点豆」を取り除く作業。コーヒーの味を左右する重要な工程で、丁寧さと集中力が求められる。

※2 アフターピック:焙煎後の豆を再度1粒ずつ確認し、焦げた豆や未熟な豆など焙煎によって出てきた欠点豆を取り除く作業。焙煎前に取りきれなかったものを最終チェックする仕上げの工程。

―――最初に仕事をやりだした時に、一番難しかったことは何ですか?

小塚さん

ドリップバッグでフィルターに粉を入れる時に、落ちてしまうのが難しかったです。

軍司さん

同じく、パックでちょっと入れ方が難しくて、詰まってなかなか入らないのが難しかったです。

設楽さん

フィルター詰めも難しかったのですが、自分的にはハンドドリップでお湯を注ぐ時ですね。お湯の量もそうですが、時間を見たり決まった時間があるので、そこが一番難しかったです。

―――この仕事をしていて一番楽しいなと思う時はどんな時ですか?

軍司さん

ハンドピックで豆を1粒ずつ確認していく作業が、プラモデルの部品を1つ1つ確認していく感じで楽しいです。

小塚さん

自分のペースでハンドピックができるので、それが楽しいです。

設楽さん

フィルター詰めが得意でもあって、自分的には楽しく感じています。

―――仕事の中でこだわっていることや気をつけていることはありますか?

軍司さん

豆を触らないといけないので、手を清潔に保つことを大切にしています。

小塚さん

ハンドドリップでお湯を入れる時に泡が立つので、500円玉ぐらいの大きさをめがけて入れること、泡が周りにつかないように注意しながら入れることにこだわっています。

設楽さん

豆の選別ですね。ハンドピックもアフターピックもやっぱり欠点豆がいっぱい出てくるので、そこを注意しながら見ることを心がけています。

―――これからもっとやってみたいことや、上手くなりたいことはありますか?

軍司さん

ハンドドリップが上手くなりたいです。まだ一度しかやっていないので、これから上手くなっていきたいです。

小塚さん

ブレンドを作ってみたいです。豆を混ぜて美味しいものを作るというのに挑戦したいです。

設楽さん

今は3人だけですが、人が増えた時に指示出しもうまくできるようになりたいです。そこをもっと上手くなりたいと思っています。

「こんな場所があったの!」——コーヒーがつないだ、社内の新しいコミュニケーション

―――トヨタバッテリーの従業員の方々からの反応や印象的なエピソードを教えてください。

草野さん

芋煮会(秋の社内イベント)でハンドドリップのコーヒーとドリップバックのプレゼントをしたら、みんないい笑顔でありがとうと言ってくれて、翌日にも「美味しかった」という声が社員だけでなくご家族からも聞こえてきました。
それがとても嬉しかったです。

塩原さん

以前から会社の中に落ち着けるカフェスペースのような場所があるといいなと思っていました。
初めて来ると「こんなところが社内にあったの!」と驚いてくれて、1回来るとリピーターになってくれるのが嬉しいです。
あとは他の工場建屋や部門の方が「自分たちもこんな休憩室を作りたい」と言って何度も写真を撮りに来てくれて、自分たちでコーヒーマシンを購入してブレイクタイムを作りたいという話も来ました。
コーヒーを介したコミュニケーションが別の場所にも広がっていくような嬉しい伝わり方でした。

山本さん

しょっちゅう来てパソコンを持ってきて仕事しながらコーヒーを飲んでいる方もいて、その方がある日お菓子を持ってきて「いつも美味しいコーヒーありがとう」と言ってくれた。
その、“ありがとう”がすごく嬉しかったですね。

塩原さん

いろんな部署の人が来てくれて、一番コミュニケーションが取れている場所じゃないかと思っています(笑)。

「隣にいてくれる感覚」——スタートライン社のサポートが生んだ安心感

―――スタートライン社のサポート体制について、実際に使ってみていかがでしたか?

草野さん

毎月サポートしてくれるので、コーヒーの入れ方や悩みも、ここで全部解消しています。
自分たちだけでやっているわけじゃないので安心してやれる部分があります。わからないことはすぐ聞けるし、オンラインで毎日チェック・見守りをしてもらっているので、いつも隣にいてくれる感覚があります。
電話してもすぐアドバイスをもらえますし、身近で安心感があります。

向井地さん

豆の調達もスタートラインさんを通してできるのはものすごくありがたい。
いい豆が手に入るというのは継続する意味ではとても大きい。
コーヒーの入れ方講習会もやってもらって勉強になりました。

塩原さん

社内向けドリップバックをどう作るかという相談にもすぐ対応してくれる。
また、ドリップバックの品質表示のために保健所への対応もスタートラインさんからアドバイスをもらって積み重ねてここまできた。
サポートがなければ何もできなかったと思います。

向井地さん

そういった取り組みの参考にするために埼玉のカフェにも見学に行かせてもらいました。
我々はすぐ行こうという主義なので(笑)。
(編集注:トヨタグループには現場・現物・現実の三現主義の企業文化がある)
いろんな知識をいただけて本当にありがたい。

2030年に向けて——清掃以外の業務を半分に

―――今後の展開や、作っていきたい職場の姿を教えてください。

向井地さん

2030年までに清掃以外の業務を半分にしたいという方針を出しているので、それに向けて新しいことにどんどんチャレンジしていきたいと思っています。
TASKI COFFEEをやってみて感触が良かったので、次は何をやろうかと思っています。スタートラインさんの他ラインナップについても相談しながら進めたいです。

「まず一歩、踏み出してみてください」——検討中の企業様へ

―――同じような取り組みを検討している企業の担当者へ、メッセージをお願いします。

山本さん

新しい取り組みは迷いや不安でいっぱいだと思いますが、スタートラインさんのようなサポートしてくれるところがあれば、困った時には様々な支援や助言が得られます。
ダメだったら戻ればいい、やってみる価値はすごくあります。

塩原さん

スタートラインさんからの支援や助言もそうですが、外に出ていろんな会社をベンチマークしたり、いろんなものに触れてアイデアを得るということもすごく大事だと思います。
何ができるんだろうと悩んでいる時こそ、外に出て情報を探ることが大切だなと思いました。

高橋さん

スタートラインさんがいることで何でも相談できて、安心感がすごく伝わってきます。

製造から異動でPEVEスマイルに配属となりましたが、コーヒー業務に携わり、製造時代では感じられなかった新しい自分の発見がありました。
新しいことをすると、新しい自分が見つかると思います。
そういった意味ではメンバーの方にも刺激になると思います。

草野さん

いきなりコーヒー事業を始めなくても、まず社内でインスタントコーヒーを皆さんに配って回ってみて、反応が良ければそこから広げていけばいいと思います。
何もないところからいきなりスタートはハードルが高いので、小さく一歩踏み出してみることが大事だと思います。

向井地さん

我々も最初はスタートラインさんがどんな会社かわからなくて不安でいっぱいでした。
でも、実際に本社を見に行って安心できた。
我々の事例が成功例とまでは言えないですが、軌道に乗ってきているので、ぜひ我々に連絡してもらって見に来てもらえれば、TASKI COFFEEを導入し、運営していくのはそんなに難しくないと実感してもらえると思います。

まとめ

PEVEスマイルでは、清掃からスタートした障害者雇用の歩みの中で、TASKI COFFEEという新たな業務を取り入れることで、大きな変化が生まれています。

指示がなくても自ら動き出すメンバー、部署を越えてコーヒーを囲む社員たち、家族からも届いた「美味しかった」の声——。
一杯のコーヒーが、職場の温度をじんわりと変えていく様子が伝わってきます。

「業務が増えるから、採用ができる。採用ができるから、挑戦できる」——そんなポジティブなサイクルを生み出すTASKI COFFEEの取り組みは、2030年に向けてさらなる広がりを見せています。

お問合せ

一杯のコーヒーから、社内のDE&Iを促進
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担当:TASKI COFFEEチーム(TEL:050-5527-8581)

この記事を書いた人

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株式会社スタートライン 吉田

企業の障害者雇用支援や障害者の就職・転職支援、特例子会社人事、障害者雇用の業務開発・マネジメント・農福連携などを経験。現在はスタートラインにて、障害者雇用のコンテンツ制作やセミナー講師などに従事。これまで500社、5000名以上の障害者雇用に携わる。