2026年6月、Diverse Villageを導入している三洋貿易株式会社(以下、三洋貿易)にて、多様な個性や強みを持つ社員との協働プログラムの説明会および試飲会が開催されました。
本イベントは、Diverse Villageを活用した取り組みの背景を共有するとともに、実際にコーヒー作りの工程を体験し、その価値を五感で感じてもらうことを目的としたものです。
「障害者雇用」という枠にとどまらず、人が持つ可能性をどのように価値へと変えていくのか。その様子をレポートします。
人の可能性を、価値として形にするために―新しい障害者雇用
三洋貿易では、茨城県牛久市にある「Diverse Village USHIKU」を活用しています。「Diverse Village USHIKU」は、「コーヒー・屋内農園・オフィス」といった、複数の業務種別を一つの施設内に集約した施設です。
従来の障害者雇用において一般的だった「業務の固定化」を解消し、一人ひとりの特性に合わせた柔軟なキャリア形成の実現を目指しています。また、多様な個性や強みを持つ社員の雇用と活躍に取り組んでいます。
三洋貿易では、多様な個性や強みを持つ社員を「クラフトメンバー」と呼び、できる・できないという観点ではなく、「価値を生み出す仲間」として位置づけています。
今回のイベントは、クラフトメンバーが関わる「コーヒーの焙煎業務」を社内外に共有する場として、東京都千代田区にある本社で開催されました。
≪概要≫
【1】Diverse Village説明会、社長メッセージ
【2】コーヒー作り体験
【3】試飲会
≪日時≫
2026年6月22日(月)12:30~14:30
≪場所≫
三洋貿易 本社
説明会では、なぜDiverse Villageを選んだのか、なぜコーヒーなのか、そしてこの取り組みを通じてどのような価値を社会に届けたいのかについて、代表取締役社長の新谷氏および執行役員人事部管掌の和田氏から語られました。
新谷氏は、今回の取り組みについて、障害者雇用を単なる制度対応として捉えるのではなく、社員一人ひとりが立場や特性に関わらず価値を生み出せる環境をつくることが出発点であると説明しました。そのためには、事業成長を追求するだけでなく、多様な人材が互いの強みを認め合い、それぞれの力を発揮できる企業文化を育むことが欠かせません。
三洋貿易が企業理念に掲げる「自由闊達」の文化も、こうした考え方を支えるものです。
新谷氏は、その文化をベースに、一人ひとりが価値を発揮できる環境づくりを進めていきたいと語りました。
また和田氏は、今回の取り組みについて、コーヒーを作ること自体が目的ではなく、一人ひとりの強みや可能性を、目に見える価値として社会に届けるための取り組みであると説明しました。クラフトメンバーが豆を選び、焙煎し、心を込めて仕上げたコーヒーを、社員がお客様へ届ける。その一連の流れには、誰かの得意なことや丁寧な仕事が、別の誰かの喜びにつながっていくという思いが込められています。
その意味で、コーヒーは単なる商品ではなく、三洋貿易が大切にする価値観を形にした象徴的な第一歩です。
多様な個性や強みを持つ人材が、それぞれの力を発揮し、その仕事が社員やお客様のもとへ届いていく。この積み重ねこそが、同社が企業理念に掲げる「最適解への挑戦」や「自由闊達な社風」の実践につながるものとして、参加者に共有されました。
新谷氏と和田氏の話からは、多様性そのものを目的とするのではなく、一人ひとりの個性や強みを価値へと結び付けることが本取り組みの本質であると語られました。
今回の協働プログラムは、企業理念の実践を通じて「誰もが価値を創造できる組織」の実現を目指す挑戦の第一歩として位置付けられています。

豆を選び、香りを感じ、淹れてみるコーヒー作りの工程を体験
説明会後には、コーヒー作りの工程を実際に体験できる試飲会が行われました。
参加者は欠点豆の選別や焙煎による色や香りの違いを確かめ、挽きたての豆の香りを感じながら、ハンドドリップでコーヒーを淹れる体験をしました。
一粒一粒の豆を見極める作業や、抽出によって変わる風味に触れることで、普段は意識することの少ない工程の積み重ねが、一杯のコーヒーを支えていることを実感する時間となりました。
コーヒーを味わうだけでなく、その背景にある「人の仕事」を理解する場として、参加者の関心を集めています。

コーヒーと向き合う中で見つけた、自分の役割とよろこび
コーヒー作りに携わるクラフトメンバーにも話を伺いました。作業の中でも特に難しいのは、欠点豆を見つけ出す工程だといいます。
豆の色や大きさは種類によって異なり、最初は見分けることに苦労したそうですが、
「最初は時間がかかりましたが、続けるうちに自然と分かるようになりました」と、穏やかな表情で話してくれました。
今では、集中して作業に取り組む時間そのものにやりがいを感じており、
「自分が選んだ豆がコーヒーになって、誰かに飲んでもらえるのがうれしいです」
と、自分の仕事が形になって届くことへの喜びを感じている様子でした。
また、パッケージデザインにもメンバーの個性が反映されており、手描きならではの温かみが、コーヒーにさらなる魅力を加えています。


コーヒー作りを通じて気付いた、複雑な工程と作り手の想い
参加者は、欠点豆の選別から焙煎による色や香りの違いの確認、挽きたての豆の香り体験、ハンドドリップによる抽出、試飲まで、一連の流れを実際に体感しました。
一杯のコーヒーが完成するまでに、多くの工程と人の手が関わっていることを知り、「普段何気なく飲んでいるコーヒーの見方が変わった」という声も多く聞かれました。
実際に体験した社員からは、
「こんなに多くの工程があって、その一つひとつを誰かが丁寧に担っていることを、初めて意識しました」
という声も聞かれました。
試飲会は、コーヒーそのものだけでなく、そこに関わる“作る人”の存在を実感する時間となりました。

多様な人材が活躍する仕組みへ──Diverse Villageの新しい雇用設計
Diverse Villageの利用開始から約1年。三洋貿易では、多様な人材がそれぞれの強みを活かして働ける仕組みづくりを進めてきました。
今回のイベントは、その取り組みを社内外に広く知ってもらうために開催されたものです。社員やメディア関係者が実際に体験を通じて、Diverse Villageで生まれている新しい働き方や価値を理解する機会となりました。
当日は、クラフトメンバーが関わるコーヒーづくりの工程を体験する時間も設けられました。豆の選別や焙煎、パッケージ制作など、一杯のコーヒーができるまでには、さまざまな仕事があります。そこには、クラフトメンバー一人ひとりの得意なことや個性が活かされています。
つまりこの取り組みは、障害者の業務創出にとどまりません。
一人ひとりの得意なことや個性が、豆の選別や焙煎、パッケージ制作といった具体的な仕事に活かされ、その積み重ねが一杯のコーヒーとなって社員や顧客に届いていきます。
働く人の強みが、誰かに喜ばれる価値へと変わっていくこと。それこそが、この取り組みの大きな意義です。
Diverse Villageで実現している障害者雇用は、雇用そのものを目的にするのではなく、人の強みを企業や社会にとっての価値につなげていく新しい雇用のカタチだといえます。
クラフトメンバー、社員、そして顧客が一杯のコーヒーを通じてつながり、価値が循環していく。
今回のイベントは、「働くことそのものが価値になる」という考え方を、具体的な形で示す機会となりました。

