障害のある部下を持つ管理職の9割が「配慮と指導」の線引きに迷った経験あり~半数超が「指導を控えて自らフォロー」、障害のある部下の成長機会にも影響~

障害者就業支援を通じて“誰もが自分らしく生きる社会”を目指す株式会社スタートライン(本社:東京都三鷹市、代表取締役社長:西村賢治)は、障害のある部下をマネジメントする現場管理職100名を対象に、「管理職の配慮と指導の境界に関する実態調査」を実施しました。

 調査の結果、現場管理職の90%が、障害のある部下に対する「どこまでが配慮で、どこからが指導か」の線引きに迷った経験があることが分かりました。また、Q1で「全くない」以外を回答した92名のうち、52.2%が「指導を控えて自分でフォローした」と回答し、線引きに迷ったことで生じた影響として52.2%が「本人の成長の機会が失われた」と回答しました。

さらに、管理職が最も必要と感じている支援は「配慮と指導の線引きを示したガイドライン」(27%)、「部下の特性や状態を客観的に把握できる仕組み」(26%)であり、管理職個人の経験や判断に依存しないマネジメント支援が求められていることがうかがえます。

▼調査トピックス
・障害のある部下を持つ管理職の90%が、「配慮と指導」の線引きに迷った経験あり 
迷いやすい場面は「評価やフィードバック」と「遅刻や欠勤への対応」が47.8%で同率トップ 
判断が難しい理由は「どこまで求めてよいかの基準がないから」が53.3% 
迷った際の対応は「指導を控えて自分でフォローした」が52.2%で最多 
迷った結果の影響は「本人の成長の機会が失われた」が52.2%で最多 
最も必要な支援は「線引きを示したガイドライン」「状態を客観的に把握できる仕組み」 

▼調査実施の背景 
近年、障害者雇用においては、採用人数の確保だけではなく、一人ひとりが能力を発揮し、活躍・定着できる環境づくりが求められています。
一方、障害のある社員をマネジメントする現場では、配慮の必要性を理解しながらも、業務上必要な指導や評価をどこまで行ってよいのか判断に迷う場面があります。
本来、合理的配慮と適切な指導は対立するものではありません。しかし、判断基準や相談先が十分でなければ、管理職が指導を控えたり、業務を任せることをためらったりする可能性があります。そこで当社は、障害のある部下をマネジメントする現場管理職を対象に、配慮と指導の線引きに関する実態調査を実施しました。 

▼調査結果の詳細

1…障害のある部下を持つ管理職の90%が「配慮と指導」の線引きに迷った経験あり

「障害のある部下のマネジメントにおいて、『どこまでが配慮で、どこからが指導か』の線引きに迷った経験はありますか」と質問したところ、「何度もある」が52%、「時々ある」が38%となり、合計90%が迷った経験があることが分かりました。 
障害のある部下へのマネジメントにおいて、多くの管理職が判断の難しさを感じている実態が明らかになりました。

2…迷いやすい場面は「評価やフィードバック」「遅刻や欠勤への対応」が同率トップ

Q1で「全くない」以外を回答した92名に具体的な場面を聞いたところ、「評価やフィードバックを伝えるとき」と「遅刻や欠勤が続いているとき」がともに47.8%で最多となりました。  続いて、「ミスや品質の問題を指摘するとき」(41.3%)、「昇給や賞与の評価を決定するとき」(37.0%)、「異動や配置転換を検討するとき」(37.0%)となりました。評価や勤怠管理など、日常的なマネジメント場面で判断に迷っている様子がうかがえます。

3…判断が難しい理由は「どこまで求めてよいかの基準がないから」が53.3%

線引きの判断が難しい理由を聞いたところ、「どこまで求めてよいかの基準がないから」が53.3%で最多となりました。  続いて、「本人の状態が外から見えづらいから」(46.7%)、「体調や調子の波が読めないから」(45.7%)、「他の社員との公平性が気になるから」(43.5%)となりました。状況ごとに適切な判断を行うための基準や情報が不足していることがうかがえます。

4…迷った際の対応は「指導を控えて自分でフォローした」が52.2%

線引きに迷った際に取った対応について聞いたところ、「指導を控えて自分でフォローした」が52.2%で最多となりました。  また、「本来任せる予定だった業務を任せなかった」(46.7%)、「必要な指導を先送りにした」(38.0%)、「本人に直接どうしてほしいか確認した」(34.8%)が続きました。判断に迷った結果、障害のある部下への指導や業務付与を控える対応が少なくないことが分かりました。

5…迷った結果、「本人の成長の機会が失われた」が52.2%で最多

線引きに迷ったことで生じた影響について聞いたところ、「本人の成長の機会が失われた」が52.2%で最多となりました。  続いて、「他のメンバーの業務負担が増えた」(40.2%)、「本人との関係がぎくしゃくした」(38.0%)、「チーム全体の生産性が下がった」(29.3%)、「自分自身が精神的に疲弊した」(28.3%)となりました。管理職の迷いは、本人だけではなく、チーム運営や管理職自身にも影響を及ぼしていることがうかがえます。

6…管理職が最も必要と感じている支援は「線引きを示したガイドライン」

障害のある部下のマネジメントで最も必要な支援を聞いたところ、「配慮と指導の線引きを示したガイドライン」が27%で最多となりました。  続いて、「部下の特性や状態を客観的に把握できる仕組み」が26%、「専門家にすぐ相談できる窓口」が22%となりました。管理職個人の経験だけに委ねず、知識の習得と実際の判断支援の両面から支える仕組みが求められています。

まとめ

500社以上の障害者雇用を支援してきた当社の障害者雇用エバンジェリストによるコメント

吉田 瑛史(株式会社スタートライン 障害者雇用エバンジェリスト)
パナソニックグループ、マイナビ、パーソルグループを経て株式会社スタートラインへ入社。 企業支援、障害者支援、人事、組織管理、業務開発、就労移行支援、研修/講師、 農福連携、マーケティング、エバンジェリストなど、多岐にわたる役割で、500社/5,000名 以上の障害者雇用に携わった経験を「障害者雇用」をより良くするために伝道する「障害者雇用エバンジェリスト」。

今回の調査では、障害のある部下をマネジメントする現場管理職の多くが、配慮と指導の線引きに迷いを抱えている実態が明らかになりました。合理的配慮は、必要な支援を行うことで障害のある部下が力を発揮しやすい環境を整えるものであり、業務上必要な指導やフィードバックと対立するものではありません。

しかし、障害のある部下の特性や状態が見えづらい中で、管理職が一人で判断を担う状況が続けば、結果として指導を控えたり、成長につながる業務機会を限定したりすることにもつながりかねません。重要なのは、管理職個人の経験や善意だけに委ねるのではなく、配慮の考え方、指導の基準、相談できる仕組みを組織として整えることです。

障害のある部下が安心して働き続けられる環境と、チームとして成果を出していくためのマネジメントは、どちらか一方を選ぶものではありません。企業には、現場の管理職を孤立させず、障害のある部下・上司・人事・専門家が連携しながら、対話と客観的な情報に基づいて判断できる体制づくりが求められています。

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<調査概要>
【調査名称】管理職の配慮と指導の境界に関する実態調査
【調査方法】IDEATECHが提供するリサーチデータマーケティング「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
【調査期間】2026年8月25日〜同年8月26日
【有効回答】 障害のある部下をマネジメントする現場管理職100名
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
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