【とある日…】
「Sさん、やり方が間違っていますので、正しくするにはどうしたらいいかわかりますか?」
積極的で明るく活発なSさんですが、業務に雑な傾向があり、ミスが目立っていたため、
上司が改善を促すために、このように指導した。すると…
「もう無理!」「うるさい!」と大声を発し、涙ぐむなどパニック的行動が見られた。このような行動が見られた際は、落ち着くまで別室で休憩してもらっていた。
以後も同様の傾向が見られ、次第に周囲も困惑し、ミスがあっても指摘しないようになり、Sさんの業務のあとに、周囲の人が業務をやり直していた。
【問題提起】
Sさんのミスを改善し生産性向上させ、周囲と円滑に業務を進めるためには、どうしたらよいでしょうか?
【スタートラインの支援:概要(このケースの場合)】
本事例では、主に以下3つの軸でSさんのミスを改善しパニック的行動を減らし、チームの生産性向上を図りました。
【1】本人の状況整理:取得済みのアセスメント結果によるご本人の傾向を確認
【2】行動の分析:問題と思われる行動を特定し、その行動の機能(目的)を予測
【3】業務スキルの分析/改善:本人の業務スキルの把握および施策の検討、実施
【スタートラインの支援:詳細】
【1】本人の状況整理:
SAPLI(アセスメントツール)や面談、オンライン健康管理システムなど種々のアセスメント結果を通じ、本人を取り巻く環境(過去含め)や行動傾向、心の動きの傾向を整理
【2】行動の分析
応用行動分析や第三世代の認知行動療法などの理論やツール、技術を駆使して行動、思考の機能を分析し改善点を策定
- 不適切な行動(この場合はパニック的な行動)前後で、起きている事象を把握
- 不適切な行動の機能(目的)を予測
- 予測に基づき、不適切な行動を減らし、適切な行動が増えるように施策検討(策定)
- 思考や感情に対して、第三世代の認知行動療法を用い、心理的柔軟性向上を図る
【3】業務スキルの分析/改善
業務の課題分析(一連の業務を細かいタスクに分解をする行動分析の手法)を行い、ミス発生箇所を把握し、補完方法や補完手段を導入。また、不得意に対してはワークサンプル(職業訓練ツール)を用いて個別でトレーニングを行いスキル向上を図る
- 業務工程を分解
- Sさんがミスする工程を明確化
3.ワークサンプル(職業訓練ツール)で作業能力を整理/把握
4.工程(②)と能力(③)を分析し、スキル習得方法を検討、実施
5.明確な指示とモデリングで適切な指示方法を実践
まとめ
~スタートラインの支援:結果~
◆問題行動:ミスが発生した際の関わり方を変えることにより、パニック行動が減少
◆ミス:業務能力に合ったやり方(補完方法)でミスが減少
◆指摘に対する恐怖:マインドフルネスの実施で感情との付き合い方を習得(継続中)
◆生産性:Sさんと周囲の関係性も改善し、チーム全体として生産性が向上
業務でミスすることは誰にでもあると思います。
そして、その時の対応次第で「人」「チーム」「企業」の可能性は大きく変わると思います。
可能性を閉ざさず広げるためにも、属人的なその場限りの対応ではなく、正しい理論と技術、対応方法が必要だと考えます。
その先に、多様な人材が活躍できる組織が生まれ「人と企業の可能性」を「可能」に変えられる。
スタートラインはそう信じて、日々、障害者と企業を支援しています。
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