2000年に野村不動産から分社独立。個人向け不動産仲介事業・法人向け不動産仲介事業(住宅流通事業のサービスブランド「野村の仲介+(PLUS)」を展開)を中心に保険代理店事業・銀行代理業・不動産情報サイト運営事業(ノムコム)を通じ、日々のサービス向上とマーケット適応力の強化に努め、選ばれ続けるナンバーワンブランドを目指す野村不動産ソリューションズ株式会社。(以下、野村不動産ソリューションズ)。
障害者雇用支援サービスサポート付きサテライトオフィスINCLU(以下、INCLU)活用事例を伺いました。(取材日:2023月6月)
▼インタビューを受けてくださった方
野村不動産ソリューションズ株式会社 人事部 ウェルネス推進課 課長 岡田 佳邦氏(写真右)
野村不動産ソリューションズ株式会社 人事部 ウェルネス推進課 豊田 真巳氏(写真左)
従業員数 | 業種 |
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1,866名(2023年4月1日現在) | 不動産仲介事業 |
INCLU導入前の悩み |
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・求める人財の母集団形成や採用がうまくいっていなかった ・配属部署が一部に限られていた ・精神障害者、知的障害者の採用や雇用ノウハウがなかった |
INCLU導入後の効果 |
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・10部署以上から業務依頼がくる「不可欠で重要な存在」へ ・D&Iの体現だけでなく、業務効率化や生産性向上など、事業や経営に大きく貢献している ・障害者雇用ノウハウを習得でき、障害者のキャリア形成に向けて取り組めている |
業務切り出しの可能性を視野に入れながらINCLU導入を決定
―――INCLU導入前の障害者雇用のご状況を教えてください。
2020年9月頃の話になります。
当時は、ハローワークだけでなく人材紹介サービスを利用し採用していましたが、求める人財が他社に奪われるなど、母集団形成がうまくいっていませんでした。
また、採用できたとしても、障害者に担ってもらう業務切り出しに偏りがあり、配属部署が一部に限られていました。
そのような状況下で、法定雇用率引き上げも決まっていたので、他の障害者雇用支援サービスも含め、改めて障害者雇用を検討していかなければならないと考えていたんです。
―――具体的にどのようなサービス検討をした上でINCLU導入を決定したのでしょうか?
在宅雇用や、農園を活用した雇用など幅広く検討しました。
在宅雇用支援サービスは、新型コロナウイルスの動向から、今後出社か在宅か先行きがわからなかったことから、在宅に限定したサービスを活用した雇用は見送りました。
グループである野村不動産株式会社が、屋内農園型障害者雇用支援サービスIBUKIを利用していることから、当社も検討しました。比較検討していく中で、スタートラインの提案による専門家の業務切り出し支援を受けることで、様々な部署の業務切り出しが可能になるイメージが湧いたため、INCLU導入を進めることにしました。
スタートラインは、目先の課題解決だけではなく、先を見据えたうえで、当社の課題やあるべき姿に向き合って提案いただけるので、有難い存在だと感じています。
採用やチーム構築のノウハウも習得できるスタートラインのサポート
―――INCLU導入に際して不安な点はありましたか?
当時、精神障害者や知的障害者の雇用が少なく、採用や雇用のノウハウがあまりなかったことが不安な点でした。
例えば、接し方や配慮事項、面接で「どんな質問をすべきか」などです。
―――そのような不安がある中で障害者採用はうまくいったのでしょうか?
スタートラインの採用サポートのおかげで良い人財と巡り合うことができました。
不安だった接し方や質問方法、配慮の確認など、専門家として細かく丁寧にサポートいただけたので、とても心強かったです。
スタートラインのスタッフに採用面接に同席いただいたのですが、面接対応や面接後のフィードバックは凄く学びになりました。
また、採用時のサポートだけでなく、入社後のチームビルディングに関しても手厚くサポートいただいたことで、障害者雇用のノウハウも蓄積できました。
―――スムーズに採用できて良かったです!チームビルディングはどのように行ったのでしょうか?
安心して働いてもらうため、そして今後のキャリアアップのためにも、まずはご自身の障害特性の理解が最も重要だと考えていました。
そのため、ご自身の特性を理解し、チーム全体のバランスを考えながら、チームの土台作りを行いました。
業務実績が信頼を生み「不可欠で重要な存在」へ、そしてグループの中でもその取り組みが評価され、表彰
―――INCLUではどのような業務を行っているのでしょうか?
まずは書類PDF化などを担ってもらっていました。
会社全体でペーパーレス化へ向けた取り組みが進んできたタイミングでしたので、一定の業務量を確保できていました。
業務切り出しを拡大するため、社内イントラネットを活用してサテライトオフィスの紹介と具体的な業務依頼のフローを掲載しました。
この取り組みが功を奏し、多くの部署から業務依頼がくるようになりました。例えば、不動産情報サイト「ノムコム」にかかわる入力業務などです。
依頼された業務一つひとつを正確に実施することや納期を守ること、実績を重ねることで社内の信頼を得て、今では、10部署以上から業務依頼がくるようになりました。
まさに、INCLUチームが社内で「不可欠で重要な存在」になっています。
そのようになった経緯も含めて、野村不動産グループアワード2022(注1)で「敢闘賞」を受賞しました。
―――「敢闘賞」受賞おめでとうございます。
今までの努力や頑張りがありますので、働く障害のある社員の皆さんも喜んでいました。
受賞祝いが出ましたので、INCLUの皆さんと話し合い、より快適で働きやすい環境にするために、INCLUに設置する加湿機能付き空気清浄機を購入しました。
INCLUが事業や経営に貢献しD&Iを体現!さらに能力発揮できる組織へ
―――また、2022年10月から2区画拡張していただいたのですが、どのような背景だったのでしょうか?
経営層は「INCLUの取り組みがまさにダイバーシティだけではなく、インクルージョンも体現しており、結果、各部署への業務効率化や生産性向上につながっている」とINCLUのことを評価しています。
また、拡張を検討していた頃に「野村不動産グループ ダイバーシティ&インクルージョン考え方・方針」が発表され、その中に「障がい者活躍推進」が重要項目として含まれていたことで、自然と拡張に至りました。
―――最後に、今後の展望を教えてください。
人は誰でも、それぞれ得意なことと苦手なことがあると思います。
INCLUで働く障害のある社員も、手先が器用でモノづくりが上手とか、イラストが上手など、さまざまな得意なことやスキルを持っている社員がいて、その能力を伸ばして欲しいと考えています。
苦手なことの克服も大切ですが、得意なことを伸ばした方がキャリアアップに繋がるだけでなく、組織としても成長できるのではないでしょうか。
INCLUの社員が安心して働きながらも、キャリアアップができる環境づくりを構築したいと考えています。
現在、本人の意思を尊重しながら、リーダーを決めて、それぞれの役割を明確にした組織運営にしたり、業務別にチーム分けをしたりと、それぞれの強みを活かしながらチャレンジできる環境をつくっています。
また、面談を通じて、本社オフィス勤務に興味がある社員がいることも把握できました。
そこで、INCLUと本社を連携させながら、一人ひとりが安心して働きながら能力発揮できる環境づくりや制度整備などに取り組んでいきたいと考えています。
※注1:野村不動産グループアワード=年度毎に野村不動産グループ全体で新しく優れた取り組みの応募を募り、一定の基準で評価をし、その取り組み・努力を表彰する制度