統合失調症の社員が障害者雇用で安定就労するための支援とは?

企業の人事担当者の皆様には

  • 精神障害者の雇用がうまくいかない
  • 障害者の対応方法がわからない
  • 雇用してもすぐに退職してしまう

など、障害者雇用の悩みや課題があるのではないでしょうか?

株式会社スタートライン(以下、スタートライン)では、約1,460名の働く障害者の体調面、精神面など「働くことへの支援」を、毎日雇用の現場で行っております。

この記事では、これまで3年以上働けなかった統合失調症の方が、初めて3年以上安定就労できた支援事例をご紹介します。

ぜひ、参考までにご覧ください。

【問題提起】統合失調症の症状にどう対処/支援すればよいの?

「周りの話し声が、自分の悪口を言っているように聞こえます・・・」

ある日、統合失調症のAさんよりこのような相談がありました。

詳しく状況を確認すると「話し声がしていること」は事実ですが、Aさんには実際の内容とは異なる文言(≒幻聴)が聞こえているようです。

このような場合、どのように対処/支援したら、症状を軽減させ安定就労を継続できるでしょうか?

スタートラインは、このケースに対して、主に以下4つの手順で対処、支援しました。

1.Aさんの認識・発言を否定しない

「聞こえていること」「聞こえている内容」はAさんにとって“事実”です。

それを否定することは、Aさんを否定すること、つまり信頼関係をなくすことにつながるため、決して否定はせず、Aさんの認識や発言をしっかり丁寧に傾聴しました。

2.「症状」ではなく「要因」に注目する

Aさんの認識、発言に矛盾や疑問があっても、指摘・確認は行いません。

指摘や確認は、症状を強化する可能性があり、また、「症状」や「内容」は“本質的な課題”ではないからです。

“本質的な課題”は「症状」が起きている「要因」です。

疲労やストレスなどが「要因」である場合が多く、Aさんの疲労やストレスの「要因」へ注目するようしました。

3.Aさんの意識を「要因」へとシフトさせる

Aさんには「症状」や「内容」ではなく「要因」に意識を向けるように、面談を通じて、以下を整理、確認しました。

①「答えの出ない話(=妄想の内容)」を考えることが、心身の大きな負担になっていることを確認
②「要因」である疲労やストレスを双方で確認
③「要因」に対して「対処」が必要であることを確認
④「対処」できる方法を双方で確認

4.できる「対処」を実行する(体調・精神面の改善)

ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)注1を用いて、

  • ネガティブな思考を受け入れる場所を作ること
  • ネガティブな思考は隅に置いておくこと
  • 安定就労のために自分にできる行動にうつすこと

を習得します。

マインドフルネスや体調安定のための睡眠時間・生活リズムの改善に取り組むことで、体調面、精神面の両軸から疲労やストレスの軽減につなげ、症状を改善していきます。

【まとめ】 スタートラインの支援:結果(この統合失調症の症状の場合)

上記1~4を実施した結果、
①要因の把握
②要因への対処
③体調面、精神面の負担軽減
④症状改善
を支援でき、Aさんは今も継続して安定就労につながっています。

Aさんのコメント:
「これまで同様の症状で短期離職を繰り返していたのですが、初めて3年以上就業が継続できています!」

スタートラインの支援は、このように“課題の本質”に向き合いながら、日々、障害者雇用の現場で支援をしています。

今回は、精神障害(統合失調症)の支援事例を取り上げましたが、身体障害、知的障害、発達障害などあらゆる障害種別の方の支援実績があります。

その支援実績をベースに、スタートラインでは、企業の人事担当者の皆様を対象とした無料オンラインセミナーも開催しています。

  • 障害者採用してもすぐ離職してしまう
  • 精神障害者雇用に苦労している
  • 障害者雇用の知識やノウハウがない

などの悩みを解決するヒントとなりますので、ぜひ参考にご参加ください。

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また、無料ご相談も賜っております。

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※本事例は、当社サービスをご利用の企業・就業者の実例等を参考に、当社にて作成・編集しております。

注1:ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)
認知行動療法の「第三の波」のひとつとされる最新の科学的な心理療法です。人の心の動きに関する基礎的な研究成果に基づいており、主にうつ病などの精神医療の治療・援助に用いられています。ACTは2000年頃から心理療法として欧米に広まり、現在では日本も含め急速に世界中に広がっています。


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この記事を書いた人

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株式会社スタートライン 吉田

企業の障害者雇用支援や障害者の就職・転職支援、特例子会社人事、障害者雇用の業務開発・マネジメント・農福連携などを経験。現在はスタートラインにて、障害者雇用のコンテンツ制作やセミナー講師などに従事。これまで300社、3000名以上の障害者雇用に携わる。