商船三井グループの中核商事会社として、船舶への燃料油・潤滑油、舶用部品、資機材等の販売やエンジニアリングサービス(洋上国家石油備蓄基地の貯蔵船の維持・管理)の提供など、船舶関連商材を中心に扱う専門商社の商船三井テクノトレード株式会社。(以下、商船三井テクノトレード)。屋内農園型障害者雇用支援サービス IBUKI(以下、IBUKI)活用事例を伺いました。(取材日:2023月1月)
▼インタビューを受けてくださった方
商船三井テクノトレード株式会社 業務部 部長代理 大庫俊郎氏
商船三井テクノトレード株式会社 業務部 総務グループ 下野 裕美子氏
従業員数 | 業種 |
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161名(男性95名、女性66名) | 商社・海運 |
IBUKI導入前の悩み |
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・障害者雇用の実績が少なく、ノウハウが不足していた ・業界特性上、業務切り出しが困難な状況だった |
IBUKI導入後の効果 |
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・多様な人材の雇用が促進できノウハウも習得できている ・IBUKIの成果物が会社にとって「なくてはならない存在」となり貢献している |
障害者雇用を検討する中で様々な雇用のカタチに出会う
―――IBUKI導入前の障害者雇用のご状況を教えてください。
当社は専門商社で営業職が8割を占めるため業務切り出しも難しく、2019年頃は従業員140名程で、障害者雇用の実績やノウハウがない状況でした。
そんな中、事業拡大に伴う従業員増加も計画していたため、より前向きに障害者雇用に取り組まなければならない状況でした。
―――どのように障害者雇用に取り組まれたのでしょうか?
まずは、従業員数が1,000名以上在籍し、障害者雇用実績が豊富な親会社の株式会社商船三井の担当者に相談することから始めました。
そこで、車いすラグビー選手を障害者アスリート雇用されているなど情報を収集していく中で、様々な障害者雇用のカタチがあることを知りました。
社会課題の解決とD&I推進が導入する決め手に!
―――そのような中でIBUKIを知ったきっかけは何だったのでしょう?
業務の切り出しに悩んでおり、就業・生活支援センターなどのサポートを受け他社事例を調べていく中で、障害者向けの農園を行っている企業が複数あることを知りました。その中で、グループ会社の商船三井ロジスティクス株式会社がIBUKIを利用していたことで興味を持ちました。
―――IBUKIの印象はどうでしたか?
グループ関連会社が利用していることも大きいと思いますが、経営幹部含めてポジティブな意見が多かったです。
商社という職種柄、障害者の雇用を促進するには業務の切り出しの難しさを感じていたため、「室内での水耕栽培」という切り口で、雇用が創出できるのが好印象でしたね。
―――最終的に、IBUKIを利用する決め手となった要因は何でしたか?
屋外型農園も検討しましたが、障害者が長く安心して働くことを考えると、屋内の方が季節や天候に左右されず、伸び伸びとお仕事できると思いました。
あと、成果物であるハーブティーの活用イメージがしやすくとても魅力的に感じました。
私は趣味で家庭菜園をして屋外の雰囲気も好きなのですが、実際に月20日屋外で業務する環境を考えると、屋内が良いなと思いました。
一定の温度が保たれた環境で、安心して業務してもらう方が、障害者にとって健康的な毎日が送れるのではないかと思ったんです。
IBUKIの成果物は会社にとって「なくてはならない存在」に
―――IBUKI成果物の活用について教えてください。
主にハーブティーを製作して、営業ツールやノベルティに活用しています。
このパッケージデザインは、営業の方々も含めて社員からアイデアを出して取り組みました。
営業部をはじめとした社内の皆さんやそのご家族だけでなく、お客様からも好評で、今では“社内になくてはならない存在”になっています。
特に女性社員に人気で“ありがとう”の声をIBUKIの皆さんに届けています。
―――素晴らしいパッケージデザインですね。今後の成果物の活用も教えてもらえますか?
社長からもアイデアをいただき、お客様へのギフトとしてお渡しできるような、高級感あるデザインも製作中です。
この中にピラミッド型ティーバッグを入れようと考えているのですが、缶にしたことで、より高級感があって気に入っています。
現在、IBUKIで働く皆さんは、この缶の中に入れる用にピラミッド型ティーバッグの製作へ向けて試行錯誤しながら取り組んでいます。
“社員は財産”の考えで推進する多様な人材の活躍促進
―――高級感があってデザインも素敵ですね。IBUKIで働く皆さんの状況はどうですか?
人間関係や業務面などうまくいかないことがあります。
そんな時は、スタートラインのスタッフに定期面談の同席や具体的解決策の提案など、きめ細かいサポートをいただけているので大変心強く、満足しています。
―――IBUKIの社員とも積極的に交流を深めていらっしゃると聞きました。
当社は“社員は財産”と考えておりますので、積極的な交流を深めています。
例えば、昨年末の新型コロナウイルスが少し落ち着いたタイミングで忘年会を実施したんですが、そこにIBUKIで働く皆さんにも来てもらいました。
様々な催しがあったのですが、皆さん本当に楽しそうでした。
このような交流会を通して、IBUKIで働く皆さんにも会社を好きになってもらい、帰属意識がより深まれば良いなと思っています。
―――素晴らしい取り組みですね。今後の障害者雇用の展望を教えてください。
2021年に商船三井グループとして「ダイバーシティ&インクルージョン経営」の推進を掲げました。
具体的には、「グループに集う世界中の社員一人ひとりの多様な個性の能力を組み合わせ、新たな価値を生み出すことができる枠組み作り」を進めていくことになります。
当社が実現可能な「ダイバーシティ&インクルージョン経営」は何だろう、と最初は想像がつきませんでした。しかし実際にIBUKIを活用し、たくさんの社内外の笑顔に出会うことで、「多様であること」が経営にとっていかに大切か実感することができました。今後も、障害者雇用についてもさらにいろいろな可能性を考えていきたいと思います。
―――IBUKIに関してはいかがでしょうか?
IBUKIに関しては、働く社員が率先して自立的に植物の種類や成果物を増やすなど、アイデアを出し合って試行錯誤しながら楽しく業務をしてもらえればと思っています。
社員の可能性を引き出すことや、安心して働ける環境や仕組みを構築することは私たちの役目なので、社内全体でしっかり取り組んでいきたいです。