株式会社スタートライン(以下、スタートライン)と新潟県三条市は、障害者の雇用促進・地方創生を目的に包括連携協定を締結し、全国初の障害者が珈琲の焙煎を行うロースタリー型障害者雇用支援サービス「BYSN」を開設しました。
開設から約1年が経過した「BYSN」の開設経緯や現状を、三条市福祉課の加藤氏に伺いました。(取材日:2023月10月)
▼インタビューを受けてくださった方
三条市 福祉保健部 福祉課 障がい支援係 主事 加藤 拓己氏
約100名の雇用創出のために「BYSN」を開設!
――――はじめに、新潟県三条市のご紹介をお願いします。
新潟県の中央部に位置する市で、人口は9.37万人(2021年3月1日時点)。
豊かな自然に恵まれ、金属加工技術に長けた“ものづくりのまち”です。子育て、教育、就労など、住み続けたいと実感できる魅力的なまちの形成を目指しています。
――――三条市の障害者雇用のご状況はいかがでしょうか?
三条市は「障がい福祉計画」を策定し地域福祉の発展に力を注いでおり、政策のひとつとして、就労移行支援、就労継続支援等の就労支援サービス関連の施設を拡充しました。
しかし、その充足率が105%と定員を超えたため、現在はその出口となる企業就労先の確保が求められている状況です。
――――企業就労先の確保が難しい状況なのでしょうか?
全国で障がい者の法定雇用率を達成した民間企業の割合が50%程度のなか、三条市では61.6%の企業が達成、雇用者数ベースでは87.8%と非常に高い数字で、市内企業に更なる雇用を求めることはなかなか容易ではない状況です。(2018年6月1日時点)
また地域柄“ものづくり”関連の会社も多く、「適した業務がない」「ノウハウがない」と言う声が多いことも課題で、市としてさらなる雇用推進のために一般就労先の確保が必要な状況でした。
――――そのような課題解決のためにBYSNを開設されたのですね。
そうですね。雇用促進と地方創生を目的にスタートラインと包括連携協定を締結し「BYSN」を開設することで、新たに約100名の障がい者雇用を創出する計画でした。
実績や技術、そして成果物の可能性を感じスタートラインと締結へ
――――包括連携協定先にスタートラインを選んだ理由を教えていただけますか?
スタートラインは障がい者雇用支援の実績や技術が豊富であり、また「BYSN」の福祉的就労ではなく、企業就労として珈琲の焙煎業務を行う仕組みが全国初であることも魅力的でした。
――――改めて三条市にとってBYSNの魅力とは何でしょうか?
約100名の雇用創出ができること、そしてそれが障がい者の経済的自立の促進につながること、さらには成果物の珈琲は、ノベルティやコーヒーブレイクなど社内外の様々な場面で活躍し人と人をつなぐ身近で重要な存在だと感じました。
経済的自立など誰もが住み続けたいまちづくりの実現へ向けて
――――BYSN開設後のご状況はいかがでしょうか?
経済的自立が困難だった方や福祉サービスを利用されておらず福祉課で把握できていなかったひきこもりの方など、様々な方の就労先の確保や経済的自立が実現しつつあります。
――――今後について教えてください。
誰もが三条市の働く場所の一つとして「BYSN」のことを知っている、そんな存在にするために積極的な情報発信を行いたいと思います。
また、困りごとを抱えた方への「相談支援の実働チーム」通称「まるサポネット」など、安心して働くための支援体制を展開しながら、企業や障がいの有無を問わず、誰もが住み続けたいと実感できる魅力的なまちづくりを行っていきたいと思います。
「BYSN」では見学会も実施していますので、ご興味ある方は是非お越しください。