【CARTA HOLDINGS導入事例】違いを強さに!D&Iの一環で掲げる障害者採用/雇用

2019年1月に株式会社サイバー・コミュニケーションズと株式会社VOYAGE GROUPが経営統合をしたのち、約20社を傘下に、デジタルマーケティング支援、広告配信プラットフォーム運営、メディア運営、販売促進DX(デジタルトランスフォーメーション)支援、 新卒エンジニア採用支援など、デジタルを基点にあらゆる事業を展開している株式会社CARTA HOLDINGS(以下、CARTA HOLDINGS)。 D&Iやその先を見据えた屋内農園型障害者雇用支援サービス IBUKI(以下、IBUKI)導入事例を伺いました。(取材日:2022月12月)

▼インタビューを受けてくださった方
株式会社CARTA HOLDINGS HR本部 環境推進チーム マネージャー 松尾 明氏

従業員数業種
1,463 名(連結)(2022年12月現在)情報通信業

IBUKI導入前の悩み
・経営統合のよる変化の渦中、採用活動よりも環境整備・支援強化を注力していた。(環境変化に対する不安解消、メンバー 向けの相談体制拡充、定着支援にリソースを使う)
・合併後、常用雇用者増加により法定雇用の達成には複数名の採用が必要であった
IBUKI導入後の効果
・複数名の障害者採用の実現と障害種類に応じた面接ノウハウが習得できた
・単に障害者の雇用創出が目的とならないよう、社のダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の活動に繋がる取り組み

一人ひとりに丁寧に向き合い、徐々に障害者雇用数を増やすことに成功

―――まず、松尾様の略歴を教えてください。

松尾氏

経営統合前の株式会社サイバー・コミュニケーションズに中途入社して、17年目を迎えます。これまで一貫して人事を担当しております。

具体的には新卒採用、中途採用、障がい者採用など採用全般、教育研修、人事考課、人事制度改定及び運用等多岐にわたり人事業務を担っていました。2018年頃から経営統合へ向けた人事制度・就業規則 の統合プロジェクトに参画し、経営統合後は現所属のHR本部に環境推進チームが新設され、D&I全般の実務推進を担当しております。

―――これまでどのように障害者雇用に携わっていたのですか。

松尾氏

ちょうど私が障がい者採用に携わったのは、CARTA HOLDINGSの前身、サイバー・コミュニケーションズ時代に戻ります。社として初めて障がい者雇用を受け入れるというタイミング、当時は法定雇用率1. 8%、採用手法も限られており、障がい者雇用の実績が多い大手企業が採用マーケットの主役で、雇用実績の無い企業が新規で障がい者採用を行うことの難しさを痛感しておりました。

―――当時はどのように障害者採用、雇用を行ったのでしょうか?

松尾氏

応募者一人ひとりを丁寧に選考し、求職者と職場のお互いのマッチングを図り、ようやく1名、2名と採用ができました。その雇用実績を通じ次の応募者、求職者への安心感につながり、徐々に障がい者採用数が増えていきました。

また、受け入れ先の部署も人事や総務の障がい者推進する特定部署から情報システム、経理へと管理部門全体へと広がっていきました。

担当役員の後押しもあり、経営レベルで障がい者雇用への理解が高まり、事業部側に採用を拡大できたことで全社理解が高まり法定雇用を達成するところまで到達できました。

環境、ノウハウ、支援など総合的に考えた結果の“IBUKI”

―――IBUKI導入前の課題を教えてください。

松尾氏

経営統合が決まった当初は、それぞれの会社が独自のやり方で障がい者雇用を行っておりました。

まだ統合に向けて人事制度や就業規則を新たに作成している段階で、採用活動には取り組める状況ではありませんでした。むしろ経営統合による変化を受け入れていくためにも、障がいを持つメンバーの相談体制の拡充や定着支援に向けた取り組みを優先しておりました。

―――障害者の農園型雇用をどこで知りましたか?

松尾氏

サービスがあることは知っていたのですが、統合先のVOYAGE GROUPが屋外農園型雇用を実施していたので、施設を見学するなど詳しくはその流れで知りました。

屋外農園型の場合、台風や雪などの天候の影響を受け易く、地震等の災害による被害が生じた場合、雇用環境面の維持という意味では、不安要素がありました。

また、農園型障がい者雇用においては、長期の就労のために職場で指揮を執るマネジメントの存在(農園管理者)が非常に重要であることが分かり、日々障がいを持つメンバーと業務を遂行する管理者との連携や、障がい者雇用のノウハウや専門的な支援が必要だと思いました。

―――そんな中で、なぜIBUKIを選ばれたのですか?

松尾氏

経営統合後は新卒採用なども合わせ常用雇用数が大幅に増えることが確定しており、統合への対応業務も多岐にわたるため、一人ずつの採用では追いつけない状況も見えていました。

そんな中、IBUKIならチーム単位で複数の雇用が実現できること、屋内施設なので天候に左右されることがなく、空調や温度調節等、職場環境が安全、快適であること。見学の際にこうした環境面に加え、管理者による(障がい者雇用の経験がなくとも)様々な業務支援、サポートが充実していることで、 より安心できました。

それらを踏まえて経営会議に諮り、了承を得て利用開始に向けて進めることになりました。

―――IBUKIを利用する際、意識した点はありますか?

松尾氏

主に2つあります。

1つ目は、前述の通り、障がいがある社員をマネジメントする管理者が重要であると考えていましたので、2区画参画して複数の管理者同士で連携、相互協力して運営することを意識しました。

複数の管理者で運営することで管理者同士のコミュニティが生まれ、ノウハウ共有や相互支援が図れると同時に、突発的な出来事にも対応しやすいなど、持続可能な運営体制を目指すべきだと考えました。

2つ目は、本社とIBUKIの物理的距離とコミュニケーション頻度です。

雇用主は当社なのでリモート対応による緊密な連携だけでなく、定期的に通える距離であり、直接顔を合わせて対話できる頻度も大切だと考えていました。

障害者採用の新たなノウハウが得られ、非常に勉強になった

―――IBUKIの採用はどうでしたか?

松尾氏

まず驚いたのが、私が直接ハローワークに求人票の届け出に出向き、求人票の審査・受理頂いた時の窓口の方からの一声です。求人票の連絡欄に採用事務局としてスタートラインの連絡先を併記しているのをご覧になって、窓口の方から「スタートラインさんの名前を良く聞きます。丁寧な対応で評判が良く(障がい者雇用では)最近特に名前を聞く会社ですね。」と言われたことです。

様々な障がい者雇用の情報(求人募集から離職、給付手続など)を持っているハローワーク側がそのように言うのだから、多くの雇用を実現できてそうだ、心強いなと思いました。

―――そんなことがあったのですね!当社としても嬉しく思います。実際の採用活動はどうでしたか?

松尾氏

スタートラインの採用事務局の方と共に選考・面接実施しました。そこで驚いたのが応募者の方への的確な発問です。

面接では応募者は緊張状態になりがちがですが、そこを汲み取って応募者への声掛け、発問のスピード、相槌など細かなところまで配慮に優れていました。相互理解が進む土壌を作りつつ、非常に大切な情報となる障がい特性や服薬状況などの機微な情報については、丁寧に掘り下げ必要な配慮が何かを特定していく方法がとられていました。次は質問の番となった際に私が準備していた質問はすべて聞き終わってしまったという場面が多かったです(笑)。

応募書類や面接情報から障がい特性や必要な配慮、チームメンバーの相性など勘案して採否を決定していきますが、同じ目線で選考、面接を行うことができたので、配属に向けたチーム編成においても的確なアドバイスを頂きスムーズな合否連絡、採用決定に至り、こちらもとても助かりました。

―――それは良かったです!採用した社員のご状況はいかがですか?

松尾氏

採用した6名はようやく1年が経過しましたが、全員就労を継続しております。

個々の障がい特性もありチームで仕事をする上では小さな衝突や上手く業務が進まないこともあります。都度、管理者を中心に支援員と私も参加して話し合い、業務改善を繰り返し、サポートが必要な場面ではスタートライン社からの業務支援を受けて歩んできた1年でした。

D&Iとして様々な人が“自分らしく働ける”組織を目指して

―――IBUKIを導入されてみて、いかがですか?

松尾氏

IBUKIでの就業を通じて個人差はありますが、メンバーの成長が見られること、就労が継続できていることは何事にも代えがたいと思います。

単に障がい者の雇用創出が目的とならないよう、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の活動に繋がるように意識していることがあります。

事業やオフィスとIBUKIは、別々の活動をしていることもあり、心理的・物理的にも離れたものになっていましたが、チャットツールを使って双方向のコミュニケーションを図ってきました。

どのようなコミュニケーションを行っているかと言えば、1つ目は管理者との業務連絡です。(メンバーの様子や業務内容、変化様子をまとめた業務日報による連携や、勤務管理、健康診断、経費精算等、業務連携に活用)

2つ目は、成果物を受け取った社員の声・ポジティブなフィードバックをリアルに管理者やメンバーへ届けています。

具体的には
「受け取った野菜の料理写真の投稿」
「味や風味に関しての好みや感想」
「栽培・収穫してくれたファームメンバーへの感謝の声」
です。

また単に言葉や写真投稿だけでなく、チャットツール上で共感・支持するスタンプによるリアクション、反響も励みになっています。

―――素晴らしい取り組みですね。成果物はどのように活用されていますか?

松尾氏

成果物は主に社員の福利厚生として利用しています。

コロナによるリモートワークが進んでいましたが、ここ最近は、リモートワーク重視から徐々にオフィス出社奨励へ切り替わるタイミングになったこともあり、出社する社員に対して少しでもインセンティブになればと成果物の野菜、ハーブティー等を活用しています。

会社の取り組みや課題を解決するツールの一つとして、これからも様々な活用方法を検討中です。

―――今後の展望を教えてください。

松尾氏

CARTA HOLDINGSは「人の想いで、人と未来の可能性を拓いていく。」をパーパスに掲げ、「The Evolution Factory」のミッションのもと、企業や産業の進化を推進する進化推進業を目指しています。その進化を起こすためには、「多様な力」が必要。行動指針であるバリューでは、D&Iを推進する上で大切にしている考え方「違いを強さに」を掲げています。

この言葉は、国籍・障がいの有無・ジェンダー・性的 指向・出身・思想・宗教・年齢などの属性に関わらず、従業員全員が自身が持つ力を100%発揮でき、健康的に幸せに働くことができる組織文化および環境をつくっていくことを目指しており、この一翼を担っていきたいと思います。

中期経営方針に則り、企業価値を高め、継続的な事業成長と法定雇用率の達成に向け、努めて参ります。

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企業事例③

屋内農園型雇用支援サービス実績No1~障害者雇用で新たな価値を創造する

屋内農園型障害者雇用支援サービス IBUKI

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担当:インサイドセールス 田代(TEL:050-5527-8581)

この記事を書いた人

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株式会社スタートライン 吉田

企業の障害者雇用支援や障害者の就職・転職支援、特例子会社人事、障害者雇用の業務開発・マネジメント・農福連携などを経験。現在はスタートラインにて、障害者雇用のコンテンツ制作やセミナー講師などに従事。これまで300社、3000名以上の障害者雇用に携わる。