目次
はじめに
2021年12月24日に厚生労働省より「令和3年 障害者雇用状況の集計結果」が公表されました。
このコラムでは
・民間企業の障害者雇用の最新状況
・最新状況から読み取れるポイント
・ポイントから考える“やるべきこと”
を整理しました。
ぜひ公表資料と共にご一読ください。
【記事内引用、参照資料】
>厚生労働省発行 令和3年 障害者雇用状況の集計結果
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23014.html
1.集計結果の概要
【令和3年 集計結果概要】
【令和3年 集計結果概要】
▼雇用障害者数
・597,786人:増加(対前年比:+19,494人)
・18年連続で過去最高
▼実雇用率
・2.20%:上昇(対前年比:+0.05ポイント)
▼法定雇用率達成企業割合
・47.0%:減少(対前年比:-1.6ポイント)
【障害種別】
>参照:厚生労働省発行 令和3年 障害者雇用状況の集計結果
※グラフ上は数値四捨五入にて記載
・身体障害者…359,067.5人:微増(対前年比:+0.8%)
・知的障害者…140,665.0人:増加(対前年比:+4.8%)
・精神障害者…98,053.5人:増加(対前年比:+11.4%)
障害種別問わずに増加していますが、特に精神障害者の伸びが著しい傾向が続いています。
【企業規模別の雇用状況】
▼実雇用率(赤枠内参照)
・43.5~45.5人未満規模…1.77%
・45.5~100人未満規模…1.81%(対前年比:+0.07%)
・100~300人未満規模…2.02%(対前年比:+0.03%)
・300~500人未満規模…2.08%(対前年比:+0.06%)
・500~1,000人未満規模…2.20%(対前年比:+0.05%)
・1,000人以上規模…2.42%(対前年比:+0.06%)
全ての企業規模で実雇用率は上昇しています。(新たな報告対象となった43.5~45.5人未満規模を除く)
>引用:厚生労働省発行 令和3年 障害者雇用状況の集計結果
▼雇用者数(赤枠内参照)
・43.5~45.5人未満規模…2,080.0人
・45.5~100人未満規模…62,175.0人(対前年比:+3,825.0人)
・100~300人未満規模…114,905.0人(対前年比:+1,706.0人)
・300~500人未満規模…51,657.5人(対前年比:+833.0人)
・500~1,000人未満規模…67,920.5人(対前年比:+1,332.5人)
・1,000人以上規模…299,048.0人(対前年比:+9,717.5人)
全ての企業規模で雇用者数は増加しています。(新たな報告対象となった43.5~45.5人未満規模を除く)
2.集計結果から読み取れること3つ
集計結果より、読み取れることは3つです。
1…法定雇用率の達成が難しくなってきている
企業努力により「実雇用率」「雇用者数」は上昇しましたが、
「法定雇用率達成企業の割合」は減少に転じました。
それはなぜでしょうか?
その理由として、
①算定基礎となる労働者数の増加
∟令和3年…27,156,780.5人(対前年比:+289,783.5人)
②法定雇用率の上昇
∟2.2%⇒2.3%へ上昇
上記①、②により、前年よりも33,533人の雇用者数増加が必要となりましたが、
前述の通り、全体での雇用者数の増加は19,494人でした。
つまり、雇用は一定程度進んだものの、この2点が重なったことにより法定雇用率の達成は難しかったと考えられます。
今後も、法定雇用率の達成は“より難しい状況”になってきていると言えます。
2…精神/発達障害者の採用/雇用が必須の時代となっている
精神障害者の雇用者数は年々大きく伸びています。
【2011年~2021年での障害種別増加数】
>参照:厚生労働省発行 令和3年 障害者雇用状況の集計結果
・身体障害者…約1.2倍
・知的障害者…約2.0倍
・精神障害者…約7.5倍
上記データが示すように、現在および今後も精神障害者が採用のメインターゲットとなることが予想されます。
3…中小企業における障害者雇用促進への期待
大企業が障害者雇用促進を牽引していますが、達成企業割合の数値は下落しており、
今後は今まで以上に大企業も雇用を進めていくことが求められます。
特に1,000人未満の企業規模の会社では社員数や部署、業務なども大企業と比べ限られており、
障害者を雇用することが難しい場合も多くあるのでないでしょうか。
しかし、中小企業の数値は大企業以上に課題があると言わざるを得ない状況で、今後の障害者雇用促進は中小企業がカギを握っていると言っても過言ではありません。
事実、厚生労働省の労働政策審議会 (障害者雇用分科会)の資料では、
中小企業における障害者雇用の促進についての議論も明記されており、
さらに令和3年度は『障害者の雇用状況に改善が見られない6社』が公表されました。
昨年度は1社、その前は3年連続0社ということを考えると、
いかに厚生労働省が障害者雇用促進に力を入れており、且つ、障害者雇用達成が難しい状況になっているかがわかります。
3.企業が検討すべきこと
採用/雇用は進んでいるものの、法定雇用率達成には届かない企業も多く、
各企業ともにさらなる雇用促進が求められている状況です。
そのような状況の中で、障害者雇用を成功させるには、以下の3つが重要なポイントになります。
①採用ターゲットの再選定
つまり、「何人必要」で「どんなターゲット」にするか、を改めて現状に合わせて検討しましょう。
②受け入れ体制(=雇用方法)の構築
その「人数」と「ターゲット」が決まったら、次は「どこで」受け入れ体制が構築できるか、検討する必要があります。
受け入れ体制が整わない、あるいは“ない”という場合は、外部の専門サービスを活用することも有効な手段の一つです。
③採用基準の策定
①②で決めた「採用ターゲット」と「受け入れ方法(雇用方法)」に合わせて、
採用基準を策定し、安定就労できる求職者を見極める必要があります。
検討すべきことをまとめると、「どんな人を」「どこで」「どうやって」「何人」雇用するのか、
改めて“現状”と“今後”を見据えて検討し直す必要があると言えます。
各社それぞれの課題があると思いますので、必要に応じて公的/民間問わず、外部の専門サービスを有効活用しましょう。
4.集計結果のまとめ(ポイント)
・雇用数/率は伸びているものの、法定雇用率達成までは至っていない企業が多い
・その要因は「法定雇用率引き上げ」と「採用市場の変化」など
・解決方法は、必要な雇用人数の増加に合わせて、採用/雇用の方法を見直すこと
今回公表された厚生労働省の公表を受け、法定雇用率の達成や、さらなる雇用促進のため、
新たな施策の検討をされるかと存じます。
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