『うつ病』と『双極性障害(躁うつ病)』ってどんな障害?職場で受け入れ&サポートする際のポイントとは

目次


はじめに

うつ病はニュースだけでなく、映画や小説などのテーマとしても多く取り上げられています。
生涯のうち、16~17人に1人 がうつ病を経験しているという調査結果もあります。
身近な病気とも言えるうつ病ですが、どのような病気なのでしょうか?
そして、職場で受け入れる際は、どのようなポイントに気を付けるべきなのでしょうか?

そしてさらに、以前は躁うつ病と呼ばれていた双極性障害ですが、病気や受入ポイントはうつ病とどのように違うのでしょうか?
このコラムでは

・うつ病の概要
・双極性障害の概要
・職場受け入れの際のポイント

上記がわかります。

1.『うつ病』『双極性障害』とは?

1-1.うつ病の概要&発症原因とは?

うつ病は、感情や意欲を司る脳の働きに何らかの不調が生じているものと考えられています。
>引用元:厚生労働省 みんなのメンタルヘルス
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_depressive.html

発症原因ですが、正確にはよくわかっておらず、いくつかの要因が重なって発症すると言われています。
精神的、身体的なストレスと言われることが多いですが、辛く悲しい出来事だけに限らず、結婚、進学、就職など嬉しい出来事ののちに発症することもあります。

うつ病の症状として、身体的、精神的な症状があります。

▼身体的症状
・眠れない(睡眠をとることが出来ない)
・食欲不振、過食傾向
・頭痛
・肩こり
・めまい
・常に疲労を感じる
・性欲減退 …など

▼精神的症状
・一日中気分が落ち込んでいる
・憂鬱な気分が長期的に続く
・何をしても楽しめない
・不安になる
・集中できない
・悲観的になる …など

周囲から見てわかるうつ病かもしれないというサインは下記があります。

・表情が暗い
・自分を責めてばかりいる
・涙もろくなった
・口数が少なくなる
・声をかけても反応が遅い
・落ち着かない
・外見や服装が乱れる
・飲酒量が増える …など


うつ病の8割ほどは、寛解状態(病状がおさまり、穏やかな状態)を迎えることができると言われており、通院や服薬、体調を整えることで働いている人も多くいます。

1-2.双極性障害(躁うつ病)の概要&発症原因とは?

①双極性障害とは

気分が高揚する「躁状態」と気分が落ち込む「うつ状態」が繰り返される精神疾患です。
「躁うつ病」と以前は呼ばれていました。

▼躁状態のサイン
・睡眠を取らずに活発な活動が出来る
・無謀な買い物を行ってしまう
・ギャンブルに莫大な金額をつぎ込む
・多弁 …など

▼うつ状態のサイン
・一日中気分が落ち込んでいる
・興味や関心がなくなる
・何をしても楽しめない
・不安になる …など

上記の躁状態の時はとても気分が良く、病気の自覚をしづらい場合もあります。そのため、うつ状態であれば異変に気付き通院することが多いですが、
躁状態の時は通院せず治療を受けないこともあります。また、もし仮にうつ状態の時に通院したとしても、
本人に自覚がないことが多いため躁状態のことを医師に伝えず、
双極性障害と気づいたり診断されることが遅くなったりするケースもあります。

そのため、本人だけでなく、周囲の人も、日頃の様子を見守り、躁状態に気づくことが大切になります。
双極性障害は脳内の情報伝達の乱れにあると考えられていますが、
うつ病と同じく、はっきりした発症原因はわかっていません。

②双極性障害の種類(Ⅰ型Ⅱ型)
双極性障害には双極I型障害、双極Ⅱ型障害があります。

▼双極Ⅰ型障害
激しい躁状態とうつ状態のあるものが、双極Ⅰ型です。
双極Ⅰ型の躁状態は、夜も眠らず走り回る、ギャンブルに大金をつぎ込む、
高額のローンを組む買い物を行うなど、社会的信用を失いかねない、激しい状態になることもあります。

▼双極Ⅱ型障害
軽い躁状態(軽躁状態)とうつ状態のあるものが、双極Ⅱ型です。
双極Ⅱ型の躁状態は、社会生活における著しい支障はない程度の躁状態を指します。
本人ではなく、周囲が変化に気が付くことも多いです。

1-3.『うつ病』と『双極性障害』その違いとは?

双極性障害は、躁うつ病と呼ばれているため、うつ病の一種と誤解されがちですが、異なる病気です。
わかりやすい違いは、「躁」症状があるかどうか、です。
そのため、治療法や服薬内容も異なることが多く、同じ病気であると誤解しないように注意しましょう。

前述のとおり、双極性障害であったのに軽微な躁状態に気づかず、うつ病と診断されている方も少なくありません。
また、うつ病の治療をしてもなかなか症状が緩和されなかったけれども、長年経ってからや、病院や医師を変えてから実は双極性障害だったと気づく、診断されるケースもあります。

躁状態⇔うつ状態の症状が現れる間隔は、数ヶ月~数年まで、個人により様々です。
突如、躁状態からうつ状態へと切り替わることもあります。
うつ病も双極性障害も個人では判断できません。
もしかしてそうかもしれない、と感じることがあれば、医師などの専門家に相談することが重要です。

2.職場受け入れの際のサポートポイント

うつ病や双極性障害の方を職場で受け入れる際、主なポイントは3つです。

①本人の理解(うつ/躁状態のきっかけの理解)
まず受け入れの段階では、うつ/躁状態になる要因の把握ができているかどうかが最も重要です
・就業環境
・業務の過度なプレッシャー
・人間関係
・ストレス要因
・季節や気候などの外的要因

など、どのような要因でうつや躁状態になったのか、
ご本人が過去の経験上から理解/整理できているかがポイントとなります。
それが理解/整理できることで、未然に配慮したり、仮に症状が出た際に対処することができます。

②相談/支援体制
勤務開始後は、ストレス管理、体調管理が最重要ポイントとなるため
体調変化の予兆を感じた際や不調になった時に、こまめに相談できる職場の雰囲気や体制を作っていきましょう。
通院や服薬により症状が軽減、寛解している場合もありますが、
定期的な体調確認、声掛けを怠らないようにして、本人に変化がないかを確認することが大切になります。
また、支援機関の支援を受けている場合は、担当の支援者と連携することも有効な手段の一つです。

③業務と休憩のマネジメント
⇒無意識に頑張りすぎてしまい、疲労を蓄積していることもあるため、疲労のマネジメントも重要なポイントとなります。業務量/納期/時間などを無理のないように意図的に調整するようにしましょう。
また、ご本人と一緒に、適した休憩の回数やタイミング、時間、休憩方法(場所など)などを整理して、必要に応じて適宜休憩を取れるようにマネジメントしましょう。

3.まとめ

うつ病、双極性障害に限らず、障害は一人ひとりにより、症状や特性、配慮事項は異なります。
しかし、一般的な特性を知ることにより、企業側が受け入れるための準備や、幅を広げることも出来るでしょう。
「うつ病だからこれは出来ないだろう」「双極性障害はこうだろう」と障害名だけで決めつけること、考えることをせずに、個人と向き合い、受け入れていくことが大切になります。
相談しやすい状況や体制を作り、サポートを行っていきましょう。
>参考資料:厚生労働省 みんなのメンタルヘルス
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_into.html

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Startline編集部

この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障害者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。