人材確保や、業務切り出しで悩まない! 屋内農園型障がい者雇用支援サービスIBUKI【教育関連企業導入事例】

屋内農園を区画ごとに利用し、雇用した障がい者に働いてもらう「屋内農園型障がい者雇用支援サービスIBUKI」。「働く場所(農園)」と「任せる仕事(農作業や作物加工業務)」がセットになったサービスなので、雇用する側が新たに業務を用意する必要ないのが一番のメリットです。

栽培した作物は企業ノベルティや社内の福利厚生に使用することができます。栽培可能な品種もハーブや葉物野菜など50種類以上を用意しており、収穫したハーブをハーブティにしてティーブレイクに利用する、という楽しみ方をされている企業様もいらっしゃいます。

もちろん、障がい者雇用のプロであるスタートラインのスタッフが常駐しているため、安心して雇用/働くことができる環境も整っています。その定着率はなんと95.7%。幅広く障がい者に、長く、楽しく、やりがいを持って、働いてもらっています。

また、農園というと広いスペースを確保できる郊外にあるイメージが強いかと思いますが、IBUKIは屋内農園型の強みを活かしアクセスの良い駅周辺に拠点を構えています。働く障がい者も、マネジメントのために訪問する企業の担当者も、ストレスなく通うことが可能です。

今回はIBUKIを実際にご利用になっている企業様から、IBUKIの特徴や魅力、障がい者雇用を取り巻く現状などを伺ってまいりました。御社の障がい者雇用を促進する手助けのひとつとして、参考にしてみてください。

目次


不安定な勤怠状況によるフラストレーションを解決したい

―現在、御社では弊社の「屋内農園型障がい者雇用支援サービス IBUKI」をどのようにご利用いただいておりますか?

2018年の8月から利用を開始しました。その後、2019年の3月には別のファームでも利用を開始し、現在では2つのファームでそれぞれ2区画、計4区画を運用しています。人数で言うと、障がい者14名と、管理者を数名雇用しています。

管理者には、主婦の方に多くご応募いただくイメージですね。子育て経験があるからか、障がい者への接し方もとても上手だと感じています。ちなみに弊社で雇用している管理者の1人は養護教諭の免許を持っている方で、以前は小学校の先生をされていたそうです。そういった、経験豊富な方も応募してきてくれるのはありがたいことですね。

管理者には面談や声かけ、サポート等、障がい者のケアを中心に行ってもらっています。その他、施設に常駐してくださっているスタートラインさんのスタッフもおり、運営のフォローや、管理者へのアドバイスなどもしてくれます。

農作業というと「何か特別な知識が必要になるのでは?」と心配される方もいるかもしれませんが、そのあたりはスタートラインさんによるフォローがあるため、安心してもらって大丈夫です。

―IBUKIを利用しようと思われたきっかけは何でしたか?

最初のきっかけは、やはり法定雇用率に準拠しよう、という意識でした。弊社は教育関連の事業を展開しているので、身体障がい者には教材管理をお願いしたり、数学が得意な精神障がい者には数学の試験作成をお願いするなどしながら、それまでの法定雇用率を確保してきました。

しかし、会社の規模が大きくなって必要な障がい者雇用人数が増える一方で、業務のペーパーレス化などの省力化が影響し、障がい者に任せられる仕事はどんどん減っています。今のままでは自社の法定雇用率をキープしていけないことが、だんだん明らかになってきたのです。

また、現場で働いている社員と障がいを持つ社員の間にトラブルが起こることもあります。例えばパニック症状を起こして1人が会社を休んでしまうと、休んだ障がいを持つ社員がするはずだった仕事を他の社員がフォローしなければならなくなります。すると社内には「自分の仕事が増えた」というフラストレーションがたまっていき、障がいを持つ社員もそのフラストレーションを感じてだんだん出勤しにくくなる、という悪循環が生まれてしまっていたのです。IBUKIのお話を伺ったのは、そんな時でした。

新しい仕事を創出することなく、スムーズに障がい者雇用を実現できた

―IBUKIのご利用の決め手となったのはどのような部分でしょうか?

IBUKIは屋内農園で障がい者に働いてもらうというスタイルですので、弊社で新たに仕事を創出する必要がない、という部分が最もメリットに感じました。障がい者雇用において大きなネックとなる仕事の切り出しの工程を飛ばして、いきなり障がい者の採用に進めたというのは、とてもありがたかったですね。

また、IBUKIを利用する前から弊社では身体障がい者や精神障がい者は雇用してきたのですが、知的障がい者の雇用にまでは至っていませんでした。しかし、IBUKIでの作業は農作業が中心ということもあり、どんな障がいを持っていても、比較的安定して勤務することができます。実際に、現在では計6名の知的障がい者に働いてもらっています。

最初のきっかけとしては法定雇用率の引き上げがメインでしたが、 現在ではなかなか雇用が難しかった知的障がい者にも仕事を担っていただいているということで、社会貢献をしている、という誇りも持っています。これは、農園型の支援サービスであるIBUKIだからこそですよね。

―IBUKIの導入を決定してから実際の運用に入るまではスムーズに進みましたか?

最初の採用活動は、戸田ファームで7名の採用でした。昨年5月のゴールデンウィーク明けから採用活動を開始して8月には利用を開始しているので、実質の採用期間は3か月程度ですね。IBUKIでの初めての採用活動ということを考えれば、十分スムーズに進んだと思います。

もちろん、スタートラインさんにも協力していただきました。というより、スタートラインさんのサポートやノウハウがあったからこそ、スムーズに運用まで進めた、という言い方の方が適切かもしれません。

―具体的に、スタートラインのノウハウはどのように役に立ったでしょうか?

まず求人ですね。就労移行支援機関などと連携をとりながら、効率よく優秀な人材を集めることができました。また、IBUKIでは作業体験といって、お試しで作業してもらうこともできます。ここで「仕事を途中で投げ出してしまわないか」「協調性があるか」「長く働くことができるか」など、普通の選考過程では見抜けない様々な特徴も知ることができました。

他にも関係機関への聞き取りなど、私たちではまずできないような方法で情報収集し、その結果についても適宜フィードバックをくれるので、とても助かりました。

トラブルがあった際も、スタートラインがサポート

―それでは現在も人材に関しては特に問題はありませんか?

働く障がい者の中にたびたびトラブルを引き起こしていた方がおり、契約の更新をお断りさせて頂いたことがあります。
支援員さんも含めて何回も面談をしたのですが、改善が難しくこの判断になりました。

―トラブル時のスタートラインのサポートはいかがでしたか?

この方の時もそうだったのですが、トラブル時にはすぐに情報共有をいただけます。その上で面談に入っていただいたり、就労支援の方に連絡を取ってもらったり、メンタルのケアをしてもらったりと、自分たちだけでは何をすればいいかわからず右往左往していたであろう部分を、しっかりとサポートしてくださいました。

また入社後の早い段階で、スタートラインさんは障がい者雇用のプロとしてその方がどのような性格を持っているのかをアセスメントしてくれるので、障がい者への対応に慣れていない弊社にとってとてもありがたかったです。

―本社のご担当者様は、月にどのくらいファームにおいでになりますか?

現地に管理者もいるので定常的に決まっているのは、月末に記入してもらった労務関係の書類を月初にもって帰ることくらいです。ただ、他にも栽培進捗の確認や、先ほどのようなトラブル対応があったりするので、大体月に2~3回はファームを訪れていますね。

ファームへ行った際には、時間を見つけてメンバーや管理者とコミュニケーションをとるようにしています。中でも私が重視しているのは、管理者とのコミュニケーションですね。管理者の話を聞いて、支えてあげるのも私の仕事のひとつなので。

どちらかというと臨時での対応が多いのですが、「トラブル処理」などとネガティブにとらえるのではなく、「現場の声を聴けるいいチャンス」と思うようにしています。

―ファームに常駐しているスタートラインのスタッフは、具体的にどのようなサポートをしているのでしょうか?

障がい者の中には、勤怠が不安定になる方もいます。なるべく安定して勤務できるよう、メンバーの日々の体調管理のサポートをいただいています。

ファームで働いている方は日々の体調を記録するノートを持っており、そこに「ご飯をきちんと食べているか」「睡眠時間は確保できているか」などを記録してもらっています。これらを定点観測のように見ていくことで体調の変化に気づき、来週あたり不安だな、と思う時には「週明けもちゃんと来るんだよ」というような声かけをしていただいているようです。

また、同じことができるようになるためにと、着目すべきポイントや声掛けのタイミングなどを管理者にアドバイスしていただいております。

ファームの成果物であるハーブやスパイスは社内の福利厚生に

―ファームの成果物はどのように利用されていますか?

ペパーミントやスペアミント、レモンバームやアップルミントなどのハーブと、バジル、タイム、マジョラムといった香辛料がメインです。どちらも市販されているものより香りが強く、ハーブティにしたり料理に利用したりしています。

もちろん、栽培種目はこちらでも決めることができます。弊社は教育産業ですので、理科の実験で使えそうなマローブルーなどが栽培できないか、現在検討中です。他にも料理への汎用性が高いパセリも、今後の候補のひとつです。

ただ、衛生管理の関係上、現状では外部に向けて販売することはできません。それ以外の利用法としては、販促物やノベルティグッズの作成なども考えていますが、現在では社内の福利厚生の一環に留まっています。

―IBUKIを利用し始めて、会社に変化はございましたか?

知的障がい者の雇用についての認識が変化したと感じています。IBUKIの利用を始めてから知的障がい者の雇用を始めたことは先ほど述べた通りですが、そこには知らないがゆえの敬遠もあったと思うんです。でも今は、IBUKIを通じて知的障がい者がどのように働いてくれるかを実感できます。実感できているからこそ、彼らに何ができ、何ができないのか、自分たちは彼らにとって何ができるのか、ということが分かってきました。

もちろん、知的障がい者だけでなく「障がい者雇用」全体に対する人事チームの認識も変わってきています。何かトラブルがあれば全員で話し合い、逆に何もなければ「何もなくてよかったね」という風に見守れる。会議中はまるで中学校の職員室のようですよ。

また、思わぬ副産物としては、人事チームの間で雇用に関する情報共有やコミュニケーションが活発になったことも変化ですね。これは、IBUKIの利用を始めてから、障がい者雇用が人事チーム全員で理解できる仕事となったことと、無関係ではないと思います。

雇用対象の範囲を広げることで、悪循環にはまることなく障がい者を雇用できる

―IBUKIの利用を検討されている企業様に何か一言お願いします。

社会全体がダイバーシティを推進していく流れの中で、これからも法定雇用率の上昇が予想されます。すると、比較的障がいの程度が軽く、戦力として活躍できる人材を他社も求めてきますので、もしかすると自社とは適性が合わない人材を採用せざるを得ない事態が出てくるかもしれません。するとさらに障がい者雇用に対するモチベーションが下がり、優秀な人材を確保できなくなる、という悪循環にはまる可能性もあります。

今まででは採用が難しかった方でも働けるような環境を作り上げることで、雇用対象そのものの範囲を広げるIBUKIというサービスは、この問題を解決できるものだと思っています。また、弊社でいうコミュニケーションの活性化のような、思わぬ副産物が生まれる可能性もあります。

「障がい者雇用をしなければいけないけど、業務の切り出しが難しい。」「何か社会貢献になるような行動をしたい。」このようにお考えの方に、ぜひお勧めしたいです。


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Startline編集部

この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障害者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。