社内のメンタル不調に早く気付くために人事ができること

こんにちは。オフィス温度28℃の梶原です。

今年のゴールデンウイークは10連休、という企業も多かったですね。この10連休、例年とは違った時間の使い方をして存分にリフレッシュした方もいれば、長すぎて連休が終わった後にペースが戻らずに苦労した、などという声も聞かれましたが、皆さんはいかがでしたでしょうか?

新社会人や部署異動した人、そして昇格などでマネジメントする立場になった人、上司が変わった人、更には会社組織の編成が変わったことで仕事内容が変わった等・・・4月は企業で働く人たちにとっては、「変化」の多い月でした。

ゴールデンウイークは、このような「変化」に順応しようと、平常時よりも少し緊張度の高い状態で過ごしてきた4月中の心身の疲れを癒す絶好のタイミングでもありますが、同時にそれまでの緊張が緩むことで、連休後、新しい環境へ再び戻ることに、エネルギーが必要になってしまうものでもあります。

「5月病」と言われる、無気力、不安感、焦燥感といった症状は、社会人の場合は、6月頃に症状が出ることが多いということで、「新5月病」、「6月病」と言われてもいます。

ですので、企業の人事担当者の方々には、これからしばらくは特に社員の皆さんの様子に気を配っていただきたい時期になってきます。

さて、こうした不調のサインをキャッチするのに医学博士の鈴木安名氏が提唱した【ケチな飲み屋】という語呂合わせがあるのをご存知の方も多いと思います。

【け】・・・欠勤が増える 月曜日や連休明けに体調不良を理由に、休みや遅刻や早退が多くなる
【ち】・・・遅刻(+早退)が増える
【な】・・・泣き言を言う 特別な理由もなく、愚痴をこぼす、弱音を吐く
【の】・・・能率の低下 判断力や集中力が低下し仕事を仕上げるのにいつもより多く時間が掛かる
【み】・・・ミス(+事故)が増える 注意力が低下して、判断ミスや操作ミスが多くなる
【や】・・・辞めたいという 仕事が向いていない、などの理由で退職したいと言う

社員の皆さんに、このようなサインが見えたら精神的な変調をきたしている可能性がある、とみて、人事は上司や本人へのアプローチをしましょう、と言われています。

しかし、全社員の顔と名前が一致している企業規模であればいざ知らず、大きな規模の企業では、こうした社員の皆さんのサインを直接人事担当者がキャッチするのはなかなか困難なものです。

そこで、人事は上司からの情報発信を頼りにするわけですが、上司がこうしたサインがあることを知らなければ始まりません。

社内で行う管理職向け研修などの中に、番外面としてでも、そして30分で構いませんので、こうしたサインについて話をする時間(メンタルヘルス講座)を設けていただければと思います。

さて、今日の本題はここからです。

上司の中には、部下にこうした変調があるということを人事に伝えるのをためらうケースも見られます。上司の立場からしてみると、部下の不調の要因がご自身のマネジメントの悪さだと人事に認識されるのを避けたい、ということが多いように思われます。

これらの不調のサインは早く見つけて早く対応すれば、大事に至らずに済むことが多々ありますので、上司が気付いた時点で素早く人事に繋ぐことがとても重要です。だからこそ、上司がどんなスタンスでいるかが大変重要なカギになっていると言えます。

まずは、普段からなかなか人事とコンタクトを取りたがらない上司(管理職)の方がいらっしゃるようでしたら、ぜひ人事の皆さんの方からアプローチして頂きたいのですが、その前に、その方がどんなコミュニケーションスタイルを持つ人か?を捉えてからアプローチすることが効果的だと思います。

ここでは人のタイプを大きく4つに分けてお話しします。

  • 1.成果を上げることが最優先で一匹狼タイプ
  • 2.成果を上げるためには仲間と一緒に取り組むことを好み、周りからの評価が気になるタイプ
  • 3.成果を上げるために他人と協力し、今までのやり方に重点を置き、安定や安心を求めるタイプ
  • 4.仕事の質にこだわり、正確さを追求するタイプ

1.のタイプの方には、単刀直入に聞きたいことを聞くというアプローチが有効です。相手との距離を縮めようとするために、「最近、どうですか?」といった質問の仕方は、「(忙しい時に)何を聞きたいのかわからない質問をされている」と受け止められかねません。気になっていることを率直に簡潔に聞く、というのが良いようです。

2.のタイプの方には、親しみを込めて明るくアプローチしましょう。構える必要はありません。また、このタイプの方は、ものごとを楽天的に捉えている可能性があるので、発信される情報の精査が重要です。「何の問題もない。大丈夫だから」と言われても本当にそうか?と一歩踏み込んで見極めることが必要です。

3.のタイプの方には、こちら側の誠意が伝わるようなアプローチが良いと思います。相手の意見や感じていることを尊重している、というスタンスを示すことです。その上で、安心して(人事に)任せてほしい、必要な支援はいつでもする、ということを伝えることが良いでしょう。

4.のタイプの方には、丁寧にゆっくりと相手のペースに合わせるつもりで、感情をあまり入れずに、「なぜ、このような質問をしているのか?」という理由について丁寧に説明することが必要です。そして、論理的に話をすることを意識しましょう。

いかがでしょうか?

今回は、特に管理職の方のタイプ別のアプローチという切り口でお話をしましたが、これは管理職の方々に限定された方法ではありません。人は自身とは異なるタイプの方とのコミュニケーションを取る際には、多かれ少なかれストレスを感じるもの。

ですが、人事部が社内でも一番社員との距離が近く、何でも話ができる部署であることで、社内のメンタルヘルスに良い影響を与えることは間違いありません。

ぜひ、参考にしていただけると幸いです。


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Startline編集部

この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障害者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。