障害者雇用を通して考える「働く意味」

なぜ人は働くのか。

時代の変化とともに「働く意味」も大きく変化しています。
この記事では、障害者雇用で働く2名の「働く意味」に触れた声をご紹介いたします。

Aさん「働けること自体が幸せ」

「お前なんか何処にいっても駄目だ、働くことなんかできない」

そんな言葉を何度も言われたことがある40代、発達障害のAさん。
Aさんは「働く意味」について「働けること自体が幸せ」と言います。
その真意とは…?

Aさん:「お前なんか何処にいっても駄目だ、働くことなんかできない」と人格否定のようなことを言われたことも一度や二度ではありません。

そう話すAさん。公私ともにつらい日々が続いていたとのこと。

Aさん:家族からも縁を切られて、生きている世界には居場所はない、そんな状況でした。

そんなAさんも、今では仕事で周囲から頼りにされる存在になっているそうです。どこにも居場所がなかったAさんが、なぜこのように変われたのでしょうか?

Aさん:約10年前、発達障害の診断を受け障害者手帳を取得し、障害者雇用のサテライトオフィスで働くことになりました。ここは、障害に対して適切な配慮を受けることができ、また、業務の進め方も私の特性を活かして活躍できるやり方に工夫されています。

障害への理解、適切な配慮、そして特性に合わせた業務遂行の工夫。それが「人」の可能性を拡げ、「人」の「人生」を変えることになります。

Aさん:誰かのため、何かのためにできることがあるというのは、やっぱりお金には代えられない楽しさと充実感がありますね。どこにも居場所がなかった私にとって「働けること自体が幸せ」です。

仕事があること。誰かの、何かの役に立っていること。そんな「働く意味」がどんな時代にも共通する「働く意味」なのかもしれません。

Aさん:私の人生を大きく変えてくれたこのオフィスを、私と同じような人のために「100年残してほしい」。そんな風に思います。

多様な人、価値観、生き方がある現代において、「誰かの、何かの役に立っていること」そして「働いていることそのものに幸せを見出す」Aさんのお話からは、大切な「働く意味」を知ることができるように思います。

Nさん「自分のミライを感じられる場所」

「やっぱり無理かも…」

夢を諦めかけていた時にBYSN(バイセン)に出会った20代、知的障害のNさん。
Nさんは働く意味を「自分のミライを感じられること」と言います。
その真意とは…?

Nさん:どうしても飲食関連の仕事をするのが夢で、調理系の専門学校に通ったんです。

そう話すNさん。専門学校卒業後、なかなか思うように就職先が見つからなかったそうです。

Nさん:就職活動しても、障害があるのでなかなか就職先が決まらず、夢だった飲食関連の仕事を諦めて、就労移行支援事業所に通うことも考えたりしていました。

しかし、専門学校に通い、専門知識も得て卒業しているため、就労準備の訓練に通うことにどうしても違和感があったそうです。

Nさん:飲食関連で働くために専門学校を卒業したのに、全く関係ない職業訓練をすることに納得がいかない気持ちでした。

そんな時、企業のコーヒー製造を行うBYSN(バイセン)の募集を知りました。

Nさん:特にコーヒーにこだわりがあるようなおしゃれなカフェみたいな職場で働くことが夢だったので、BYSN(バイセン)を知って「ここで働きたい!」と思いました。

まさに縁とタイミングが重なった運命のような出会い。

Nさん:面接で「コーヒーなど飲食関連の仕事をしたくて、調理系の専門学校を卒業しました」と伝えました。

そして決まったBYSNへの就職。

ご家族やお知り合いまで、周囲のみんながNさんのBYSN就職を喜んだそうです。

Nさん:憧れの仕事、しかも障害に理解のある職場で働けて毎日夢のようです。これからコーヒー関連の資格にもチャレンジしたいと思います。ここは自分のミライを感じられる場所です。

人が働く意味

「誰かの、何かの、役に立っていると感じられること」
「自分の未来を感じられること」

そんな「働く意味」を感じているAさん、Nさん。

仕事を通して得られる喜びは他には代えられないものがある、だからこそ働き続けている人も多いのではないでしょうか。

障害者の雇用を創出すること。

それは「法令遵守」や「社会課題の解決」のためだけではなく、一人ひとりの「人生」を創っているということも忘れずに、これからも「誰もが自分らしく生きる社会」を目指して歩みを進めたいと思います。

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この記事を書いた人

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株式会社スタートライン 吉田

企業の障害者雇用支援や障害者の就職・転職支援、特例子会社人事、障害者雇用の業務開発・マネジメント・農福連携などを経験。現在はスタートラインにて、障害者雇用のコンテンツ制作やセミナー講師などに従事。これまで300社、3000名以上の障害者雇用に携わる。