【太陽誘電導入事例】スタートラインと二人三脚で描いた障害者雇用の軌跡~義務から価値へ、挑戦の始まり~

1950年創業、スマートフォンや自動車、家電製品などに使われる「電子部品」を開発・製造・販売し、現代のあらゆる電子機器を支える日本の大手メーカーである太陽誘電株式会社(以下、太陽誘電)。 

「障害者雇用は義務だからやる」――かつて社内では「障害者雇用は義務だからやる」という声も聞かれました。

しかし、太陽誘電が選んだのは、義務から“価値”を生み出す挑戦。

その歩みを支えたのは、株式会社スタートライン(以下、スタートライン)による伴走型コンサルティングでした。
本記事では、両社がどのような障害者雇用の課題を乗り越え、未来を描いていったのかを、対話形式でお届けします。(取材日:2025年11月)

▼インタビューを受けてくださった方
太陽誘電株式会社 経営企画本部 人事部 D&I健康企画課 
専任部長 篠崎 みどり氏(写真右から2番目)

太陽誘電株式会社 経営企画本部 人事部 D&I健康企画課 
担当課長 生活相談員・ジョブコーチ 平栗 慎司氏(写真左から2番目)

株式会社スタートライン 障害者雇用支援事業 東日本本部 サービス推進ユニット 
CS促進チーム サブマネージャー 金 貴珍(写真左から1番目)

株式会社スタートライン 障害者雇用支援事業 東日本本部 サービス推進ユニット 
CS促進チーム 担当 四戸 裕歩(写真右から1番目)

従業員数業種
20,779名(2025年3月31日現在/連結)電気機器(電子部品・デバイス)
メーカー

   

明確な方針や仕組みがなかった!“お願いベース”からの脱却

―――スタートラインと出会う2022年以前、障害者雇用の状況を教えてください。

平栗氏

当時、約7割程度が身体障がい者の雇用で、主に各部門での業務を担ってもらっていました。

しかし、会社として明確な方針や受け入れ態勢が整っておらず、実質的には部門任せの状態で、人事部が各部門に『障がい者の受け入れを依頼する』ような状況でした。

その結果、採用活動を進める中で、各部門からは『任せる仕事がない』『接し方がわからない』といった声が上がり、採用が次第に難しくなり、些細なミスマッチであっても採用に至らないケースが増えてきました。
今後の法定雇用率引き上げを見据えると、現状のやり方では継続的な雇用拡大は困難だと強く感じるようになりました。

パンとコーヒーで新たな雇用を!カフェ&ベーカリー誕生秘話

―――課題解決に向けて、はじめにどのような施策を検討されたのですか?

平栗氏

人事部内でカフェ&ベーカリーの製造販売を行う専門職域を立ち上げました。
焼き立てパンやカフェメニューを提供することで、新たな雇用を創出できるだけでなく、社員の福利厚生や、障がい者雇用の理解促進にもつながると考えました。

※高崎グローバルセンター内でのカフェ&ベーカリーの様子
※高崎グローバルセンター内でのカフェ販売の様子

―――数ある施策の中で、なぜ、カフェ&ベーカリーにしたのでしょうか?

平栗氏

障がい者雇用との相性が良いと考えたからです。調理工程がシンプルでマニュアル化しやすく、障がい者が安心して働ける環境を整えやすいスキームでした。

また、社員食堂のスペースを活用し食事メニューのバリエーションを増やことや、コーヒーを提供することは身近で日常的な需要があり、社員にとって利用しやすいと考えたのです。

―――素敵ですね。当初、何名くらいでスタートしたのですか?

篠崎氏

障がい者6名、管理者2名、管理者をサポートする社員2名の体制でスタートしました。
パンやコーヒーに関して専門的な知識を持つ人が社内にいなかったため、メーカーでの研修やサポートを受けながら、試行錯誤で運営を進めていきました。

当初は、高崎グローバルセンター内のみの販売でスタートしましたが、現在は県内5拠点にまで拡大しています。季節ごとにパンの種類を変え、ハロウィンにはミイラ風のパンを販売するなど、工夫を凝らした目新しい商品を取り入れることで、多くの社員から「パンが美味しい」「選べて楽しい」といった声が寄せられ、食堂が華やかになったという反響もありました。

※高崎グローバルセンター内でのカフェ&ベーカリーの様子
※高崎グローバルセンター内でのベーカリー販売の様子

決め手は“伴走力”――スタートラインとの出会い

―――スタートラインとの出会いを教えてください。

平栗氏

カフェ&ベーカリーを立ち上げた後、さらに障がい者雇用を推進するための新しいアプローチを探していました。そのとき偶然、ウェブ検索でスタートラインを見つけたのです。

スタートラインは、障がい者雇用のノウハウが詰まっている書籍『成功する精神障害者雇用』(現在は、第2版として第一法規株式会社から発売中)を出版していること、そしてCBSヒューマンサポート研究所もあり、専門的な裏づけに基づいた支援技術の高さに信頼感を持ちました。

―――他のサービスや企業と比較していかがでしたか?

平栗氏

他社と比較検討しましたが、スタートラインは、その確かな専門知識と体系化された考え方において際立っていました。
『考え方がしっかりしている』『専門知識がある』という印象が強かったです。

―――スタートラインを選んだ決め手は何だったのでしょうか?

平栗氏

スタートラインのスタッフが非常に熱心で、私たちの現状を丁寧に聞き、的確なアドバイスをいただけたことです。単なる提案ではなく、課題に寄り添い、一緒に解決策を考えてくれる姿勢に信頼を覚えました。

スタートラインの豊富な経験と専門知識が、私たちの期待と一致していたため、まずは定期的なアドバイザリー契約から始めることにしました。
障がい者雇用の推進に際して、しっかりとノウハウを得ながら進めたいと考えていたので、スタートラインなら間違いないと思ったのです。

「数」から「価値」へ――経営層を動かした言葉

―――スタートラインと、どのような取り組みから始めたのでしょうか?

平栗氏

まずは、障がい者雇用施策の立案でした。
立案に際して、当初は、部門ごとの雇用率という“数”を重視する方針でしたが、スタートラインのスタッフの助言で方向性が大きく変わりました。

それは、『数合わせの雇用は、会社にも雇用される側にも大きな負担になる。成功の鍵は、“価値”を目的とした計画的な雇用にある』というものでした。

篠崎氏

この言葉をきっかけに、『数合わせではなく、価値を生む雇用』という考え方にシフトしました。

―――その「価値を生む雇用」とは、具体的にどのようなことですか?

篠崎氏

業務効率化と障がい者雇用を結びつけることでした。
「障がい者にやってもらう仕事」を考え、業務を割り振るのではなく、「いつかやろうと手付かずでいる業務」や「アシスタントがいたらぜひお願いしたい定型業務」などを担ってもらうことで、社員がよりコア業務に専念できることを狙った取り組みです。

業務効率化は当社の重要な経営課題でもあったため、この提案は経営層にも強く響きました。

OST誕生!業務効率化と障害者雇用を両立する新組織

―――「価値を生む雇用」に考え方がシフトして、どのような取り組みをしたのですか?

平栗氏

Office Support Team(以下、OST)という新しい組織を発足しました。
OSTは、各部門から切り出した定型業務を集約し、障がい者のメンバーが担当する仕組みです。

具体的には、紙資料のPDF化、データ入力、エクセル集計、郵便物の仕分け、駐車場管理など、事務系や総務系のサポート業務が中心となっています。

―――多岐にわたる業務を担当されているのですね。スタートラインとして、OST発足をサポートするうえで意識したことを教えてください。

「一過性で終わらせない」ことです。

障害者雇用は、ともすると「人数を満たすこと」に目的化しがちですが、それでは会社にとっても、雇用される障害者にとってもミスマッチに繋がり、持続可能な仕組みにはなりません。
そこで私たちは、「数」ではなく「価値」を生む雇用をいかに実現するかを第一に考えました。
まずはサポート体制の整ったOSTという安心できる環境で業務に慣れていただき、その後は障害のある社員の希望や適性に応じて各部門で活躍の場を広げられるよう、長期的に続く仕組みづくりを重視しました。

この方向性を実現するため、初期段階では関係者全員が同じ目線と目的を持てるよう、時間をかけて丁寧に説明し、合意形成を進めていきました。

「会社にとっても、ご本人にとってもWin-Winとなる形とは何か」
「雇用を継続できる“質”とは何か」

このような問いを共有しながら、組織全体で同じ方向を向くための土台づくりを行っていきました。

四戸

日々のサポートでは、業務フローの整備や管理者様からのサポートに関する相談対応を行っております。OSTを運営する上で大切にされている価値観や想いを受け止めながら、目指す姿に向かって伴走することを心がけています。

さらに、メンバー様が安心して就労できる環境づくりや、持っている能力を最大限発揮してご活躍できるよう定着支援のサポートを行っております。

―――スタートラインのサポートはいかがでしたか?

篠崎氏

障がい者雇用のノウハウがほとんどなく、手探り状態でしたので、スタートラインが伴走してくれたことは本当に心強かったです。

業務切り出しやマニュアル化だけではなく、ハローワークへの募集要項作成、障がい者の採用、管理者への教育、運営ルールの策定、日々の面談まで、ほぼすべてのステップで丁寧にサポートいただきました。

※スタートラインの併走型コンサルティングの流れ
※スタートラインの併走型コンサルティングの流れ

―――OSTで働くメンバーには、どのような可能性や広がりを考えていますか?

篠崎氏

サポートがしっかりしているOSTで安定した就労経験を積んでいただき、その後は本人の希望や適性に応じて、各部門での活躍やキャリアアップも目指せる環境を整えていきたいと考えています。

また、得意分野を活かす取り組みもしており、たとえば、イラストやデザインが得意な方には、社内イベントのポスターやノベルティ制作を担当してもらうなど、個性やスキルを活かせる機会を広げています。

当初4名から始まったOSTですが、現在は6名に増え、さらに増員予定です。

※実際にデザインされた社食イベントのチラシ
※実際にデザインされた社食イベントのチラシ
※実際にデザインされたノベルティ(キーホルダー)
※実際にデザインされたノベルティ(キーホルダー)

文化醸成の第一歩!グループ全体での障害者雇用推進へ

―――この取り組みを通じて、どのような変化や成果を感じていますか?

平栗氏

少しずつですが、障がい者の雇用に関するノウハウが社内に蓄積されてきました。

特に精神障がいを持つ方への定着支援については、スタートラインの研修で学んだアドバイスが大きな支えとなり、休職や離職のリスクが減っています。
半年ほど経過した今では、徐々に自身でセルフリカバリーも出来るようになり、安定した就労につながっています。

―――社内の雰囲気や環境に変化がありましたか?

篠崎氏

ありました。各部門からの業務依頼をきっかけにOSTのメンバーと部門社員が直接やり取りする場面が増え、今まで少なかった部門とのコミュニケーションが増えています。

その結果、以前は「障がい者にお願いできる業務がない」という声が多かったのですが、今では「こういう業務をお願いできるか」という前向きな声に変ってきています。
これは文化醸成の第一歩だと感じています。

―――最後に、障害者雇用の展望を教えてください。

平栗氏

OSTの取り組みは始まったばかりですが、障がい者のメンバーが安定した就労とスキル習得を通じて自立し、多様な場で活躍できる人材になればと考えています。

そのために、メンバーの能力を最大限に発揮できる環境を整えることに注力していきたいです。

篠崎氏

OSTで得られた経験やスキームを、グループ会社にも展開したいと考えています。
これらを横展開することで、グループ全体としての障がい者雇用をさらに推進したいと思います。

・障害者の表記について
当社では、以下の理由より常用漢字表記を使用しておりますが、太陽誘電様のご意向により発言箇所は「障がい者」と表記としております。
≪障害者の表記について≫https://start-line.jp/shougai/

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担当:インサイドセールス 田代(TEL:050-5527-8581)

この記事を書いた人

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株式会社スタートライン 吉田

企業の障害者雇用支援や障害者の就職・転職支援、特例子会社人事、障害者雇用の業務開発・マネジメント・農福連携などを経験。現在はスタートラインにて、障害者雇用のコンテンツ制作やセミナー講師などに従事。これまで500社、5000名以上の障害者雇用に携わる。