【アシスト 人事×現場管理者 対談】 役割の明確化が生み出す働きやすさと目指す未来

パッケージソフトウェアの販売、技術サポート、教育およびコンサルティングを提供する株式会社アシスト屋内農園型障害者雇用支援サービス IBUKI(以下、IBUKI)を活用しながら作り上げた「人事×現場管理者」の連携方法や信頼関係、目指す未来を伺いました。(取材日:2024月10月)。

▼インタビューを受けてくださった方
人事部 人事管理課 課長 君塚 好恵氏(写真右) 
人事部 人事企画課 森 圭吾氏(写真左)
IBUKI EBINA FARM2 管理者
保田 孝子氏(写真中央) 大門 一将氏

従業員数業種
1,337名(2024年4月現在)業種:IT

報連相とルール化で試行錯誤しながら障害者雇用と向き合う日々

―――自己紹介をお願いします。

人事 君塚氏

人事部人事管理課マネージャー君塚です。障がい者雇用では当社の責任者の立場になります。

人事 森氏

人事部人事企画課の森です。主に定着支援や産業保健領域であるメンタル不調者のケアなども担当しています。

現場管理者 保田氏

IBUKI EBINA FARM2の現場管理者の保田です。

現場管理者 大門氏

同じく、IBUKI EBINA FARM2の現場管理者の大門です。

―――保田様はIBUKIで初めて障害者雇用に携わったと聞きましたが。

現場管理者 保田氏

重度障がいの親戚がいましたが、仕事として携わるのは初めてでした。約5年前に入社してIBUKIアシストチームを立ち上げた頃は、どのように進めればよいのか試行錯誤の日々でした。

―――どのような試行錯誤があったのでしょうか?

現場管理者 保田氏

当時、障がいのある社員は、なかなか心を開いてくれなかったり、想定外の行動を起こしたり、対応方法がわからず困惑していました。そのため、人事とスタートラインサポータの方に逐一報告しながら連携し、お互い意見を出し合いながら試行錯誤していました。

―――人事×現場管理者の間で、どのように連携されていたのでしょうか?

人事 君塚氏

独自ルールを作ることにしました。例えば、朝出勤してから業務開始までの細かな手順をルール化し、明文化しました。都度、想定外のことが起きる→ルールを決める→運用して調整する。それを繰り返して、現場管理者と障がいがある社員が共に働きやすい環境を整備していきました。

―――見える化は障害者雇用において大事なポイントですね。

人事 君塚氏

ルール化するには、現場からの報連相が重要なので、お互い信頼関係を構築するために、人事と現場で一緒になって対応しながら障がい者雇用に向き合う姿勢が大切だと思います。

―――現場としては相談しづらいと感じることはなかったでしょうか?

現場管理者 保田氏

これまでの社会人経験で、仕事は共有しなければ成り立たないと知っていましたが、IBUKI立ち上げ当初は報告内容が多く、業務量が多くなっていました。しかし、そんな状況も人事がいつも気にかけ汲み取ってくれていたので、決して一人で対応しているという孤独感はなく、みんなで一緒に乗り越えたいと思える環境になっていました。

人事 君塚氏

現場管理者も障がいがある社員も、その他の社員と同じく大切な社員ですので、会社として責任を持つのは当然です。そういう意味では、職種、立場に関係なく、同じアシストの社員として同じように向き合うのは当然、そんな文化が当社には根付いております。

ポジティブフィードバックが生み出す信頼関係と明確な方向性

現場管理者 大門氏

人事が現場にしっかりと向き合ってくれていますが、業務に関しては基本的に信頼して任せてもらっているので感謝しています。

―――向き合いながらもお任せしているバランスはどのような感じなのでしょうか?

現場管理者 大門氏

想定外のことや、現場から相談したいことがあるときは全力で向き合ってくれるのですが、基本的な日々の業務はすべて現場の判断に任せてもらっています。そのため、緊張感をもって仕事ができており、やりがいを感じています。

―――日々の業務対応で意識されていることはありますか?

現場管理者 大門氏

私は入社して約1年半ですが、入社した頃は、障がいがある社員に対して、まるでお客様に接するかのように気を使って丁寧すぎる接し方をしていました。
ただ、その対応が、逆に壁を作って相手との距離を遠ざけていたり、役割が曖昧になって不適切なコミュニケーションになったりしたので、接し方を変えようと思うようになりました。

―――どのように接し方を変えられたのでしょうか?

現場管理者 大門氏

森さんに「IBUKIは働く場所。体調面や勤怠面などを管理するのではなく、仕事に焦点を当てて接するように意識しましょう」と言われたことが大きかったです。それ以来、いわゆる雑談など仕事以外のコミュニケーションはあえて少な目にし、その反面、仕事に関するポジティブフィードバックを意識して伝えるようにしました。

―――ポジティブフィードバックとはどういうフィードバックでしょうか?

現場管理者 大門氏

管理者という立場上「できていない部分」に気を取られがちになると思いますが、できていないことがあっても決して感情的にならず、よい部分に注目して全力でポジティブフィードバックするようにしています。できていない部分は、どうしたらできるようになるか、それもポジティブな対応方法を考え、伝えるようにしています。

人事 君塚氏

保田さんと大門さんのポジティブフィードバックは素晴らしいと思います。良い点はもっと伸ばせるように、そして改善が必要な点は、悪い点の指摘だけにならないように、もっと良くなるにはどうしたらいいかの視点からフィードバックされています。

現場管理者 保田氏

面談の議事録は、毎回ご本人の名前、日付を書いてもらい、内容確認をしていただいたあと、ご本人の印鑑を押してもらうようにしています。言った言わないや誤解を防ぐ意味もありますが、事実とポジティブフィードバックをご本人、管理者、人事で共有し、やることや進む方向性を明確にするためでもあります。

役割としての階層や立場が、働きやすさにつながる

人事 森氏

先ほどの大門さんの話にもありましたが、仕事の場での面談なので「最近どう?」とオープンな質問ではなく、お互い「仕事」に視点を置くようにしています。そのため、面談シートは、今どういう状態か自己認識するためにご本人にチェックしてもらう項目があり、その内容をもとに面談するようにしています。
何でもかんでも話せばいいというものではなく、それぞれの役割と場面を明確にしています。

―――そのようなお考えやノウハウはいつごろどのように会得されたのでしょうか?

人事 森氏

障がいがある社員だけでなく会社全体のメンタル不調者対応も担っています。働きづらさや生きづらさをなんとかしたいと思い、心理・福祉・医療等の産業以外の領域へも学びを拡げながら、現場で経験を積んできました。
その知識や経験から、ある程度役割としての階層や立場があったほうが、お互い安心感や働きやすさにつながる場合が多いことも知りました。

―――役割としての階層や立場があったほうが、働きやすさにつながる、とは?

人事 森氏

ダイバーシティやインクルージョンが大事だからと言って「なんでもフラットがいい。誰でも同じ場所で同じように働くべき」というのは相手のことが理解できていない発言ではないかと感じてしまうことがあります。

―――現場の経験から出てくるお言葉ですね。

人事 森氏

ある程度の役割としての階層や立場を明確にすることで、安心感が得られる場合も多いと思います。
また、それぞれに価値観や生き方があり、それに合った環境や役割があるからこそ、働きやすさや生きがいにつながっていくと思います。そういう現実を無視して「こうあるべき」と押し付けることは、真の意味で相手のことを理解していないように感じます。

―――何がベストな選択かは、お互いの対話の中から見えてくると。

人事 森氏

頭でっかちで理想論を振りかざすのではなく、実態に合うお互いの働きやすさ、生きやすさに目を向ける大切さを再認識しました。これからも、相手のことを理解するために、一人ひとりに向き合っていきたいと思います。

可能性に気づき、自信をつけて社会的に自立し、その先へ

人事 君塚氏

IBUKIで働くことで、自分の可能性に気づき、いろんなことにチャレンジする自信をつけて、社会的に自立し、自分なりの人生を生きてほしいと思っています。もしその先にIBUKIの卒業があるのであれば、それは一つの選択として尊重し、当社としては最大限応援したいと思います。

人事 森氏

障がいがある社員が社会の中で自立していくために何ができるのだろう、と常々考えていました。会社としては、医療面や生活面で何かできるわけでもない。やはり、仕事を通じて精神的、経済的な自立を目指していくことが会社としてできることだと思っています。

―――社会的な意味でも役割を明確にされていらっしゃるんですね。

人事 森氏

そういう意味では特別なことはしていなくて、会社としては「仕事」に焦点を当て、やることや面談内容も削ぎ落しているようなイメージです。障がいがある社員や現場管理者が、より働きやすくなるような情報や環境を作ることが人事の役割だと考えています。

―――仕事は、あれもこれもと、やることを増やしてしまいがちになりますね。

人事 森氏

役割を明確にして焦点を絞ることで働きやすい環境を創ることを目指しています。
そのためには、当社だけでなく、医療機関や福祉の支援機関、ご家族など、関係者みんながそれぞれの役割を明確にし、やるべきことに焦点をあてられるように、そしてお互いに良い連携ができるように、障がい者雇用に関して意見交換や、交流するような機会があれば良いなと考えています。

現場管理者 保田氏

現在、精神保健福祉について勉強をしているのですが、森さんが言うような現場のみんなが連携し合ってソーシャルアクションを起こしていく大事さを学ぶことがあります。
想いがあってこの業界で働き始めても、一生懸命に取り組めば取り組むほど苦しい経験をすることもあります。そんな想いのある人が諦めることなく進め、障がいで生きづらさを抱える人たちの雇用に向き合えるように社内だけでなく関係者と連携して創意工夫しながら、温かさを軸に、みんなで幸せな人生を創る場にしていきたいと思います。

―――本日はありがとうございました!

・障害者の表記について
当社では、以下の理由より常用漢字表記を使用しておりますが、アシスト様のご意向により発言箇所は「障がい者」と表記としております。
≪障害者の表記について≫https://start-line.jp/shougai/

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担当:インサイドセールス 田代(TEL:050-5527-8581)

この記事を書いた人

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株式会社スタートライン 吉田

企業の障害者雇用支援や障害者の就職・転職支援、特例子会社人事、障害者雇用の業務開発・マネジメント・農福連携などを経験。現在はスタートラインにて、障害者雇用のコンテンツ制作やセミナー講師などに従事。これまで500社、5000名以上の障害者雇用に携わる。