Start NEXT!読者のみなさまこんにちは!株式会社セプティメルスポーツの水上航太郎です。
いよいよリオパラリンピック!
今回初めて本格的にパラスポーツを観戦される方も多いと思いますが、オリンピックスポーツとは異なる特徴がありますので、きっと魅力を見つけられるのではないでしょうか。
その特徴の1つとして上げられるのが「クラス分け」。
同じ競技・種目に出場する選手の間にも障がいの程度による運動機能の差がありますから、全員一斉に競い合うのはフェアではありません。
そこで競技の公平性を保つためにクラス分けが行われます。
陸上や水泳のように10以上のクラスに細分化される競技もあれば、ボッチャの4つ、車いすフェンシングの3つのように比較的シンプルなクラス分けをしている競技もあります。
また、車いすバスケでは、コート内でプレーする5人の合計持ち点(クラス)が14点以下と制限することでチームとしてのバランスを取っています。
アルペンスキーやクロスカントリースキーでは、座位、立位、視覚障がいと大まかなカテゴリーに分けた上で、その中のクラスによって「係数」を設定。その係数を実際のタイムに掛け算したタイムによって、異なるクラスの選手が1つの金メダルを争えるようなシステムとなっています。
このように、クラス分けはパラスポーツの競技公平性を担保する、非常に重要で基本的な考え方です。しかし一方で、クラス分けが細分化されている陸上や水泳では、競技人口が少ないクラスの種目がパラリンピックで開催されず、世界最高峰の舞台で戦う機会を得られない選手もいるのです。もちろん、競技人口が少ない種目を開催しないのは大会運営としては妥当な判断だと思いますが、できるだけ様々なクラスの選手に機会が与えられれば、より多様性のある魅力的な大会になるのではないでしょうか。
水泳に関して言えば、その解決策?になり得る試みが毎年ドイツで開催されているIDMベルリンという大会で行われています。独自のポイントシステムを導入することで、異なるクラスの選手同士が同じ土俵で戦うことができているのです。
複雑ではありますが、ポイント算出式をご紹介します。
※ポイント算出式の詳細な説明はIDMベルリンのHPより入手可能です。
P = 1000×(B/T)^E
P:ポイント
T:実測タイム
B:ベースタイム
E:指数(3つのクラス群に対し数値を定義)
S1~4:2、S5~7:2.5、S8~14:3
ポイントの算出には実測タイムの他に、ベースタイム(B)と指数(E)の2つのパラメータを使用しています。
ベースタイムは、まず各クラスのIPC(国際パラリンピック委員会)世界記録とFINA(世界水泳連盟)世界記録の比を計算し、その値にさらに調整を加えたもの。もう1つの指数は、クラス間のポイント調整に使用されるものです。入手できた資料には具体的なパラメータ算出過程の記載はありませんでしたが、いずれもこれまでのレースで得られた実結果・経験則と理論のバランスを取った値になっているようです。
ここで算出されるポイントの妥当性・公平性が実際どこまでのものなのか、現時点で判断するのは難しいと思います。しかし、上述のアルペンスキーやクロスカントリースキーの係数も、試行錯誤の末に公式に導入されたと聞いています。ポイントシステムの精度や公平性が高まっていけば、近い将来、様々なクラスの水泳選手が1つのメダルを争うことが一般的になる日がやって来るかもしれません。
さらに、健常者ともポイントによって競い合える可能性も出てくるのではないでしょうか。障がいの有無や程度に関わらず100m自由形の世界一を決めるレースが、いつか実現することを期待しています。
株式会社セプティメルスポーツ 水上 航太郎 1981年札幌市生まれ。 1993年のJリーグ発足をきっかけに、スポーツ観戦がライフワークの1つとなる。サッカー好きが高じて大学卒業後にバルセロナに渡り、現地で日本向けのライター職などをしながら3年スペインに滞在。帰国後はIT関係職に就きスポーツを趣味として楽しんでいたが、2013年に株式会社セプティメルスポーツを設立し現在に至る。 趣味は旅行とスポーツ観戦。最近特に好きなスポーツはアメフト、クリケット、ボッチャ。 株式会社セプティメルスポーツ パラタイムズ |
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