「企業全体で取り組む」発達障がいとの付き合い方

職場において、「発達障がい」とどのように向き合えばよいのかは、大きな課題となっています。本人の落ち度として扱われることも多く、企業の利益を損なう結果につながりやすいという誤解があることも、発達障がい者への対応を難しくしています。企業側が差別なく発達障がい者と取り組む方法はあるのでしょうか?

そもそも発達障がいとは?

発達障がいとは、忘れ物が多い、仕事の段取りが悪い、デスクの片づけができない、話がかみ合わず、理解の共有が難しいなどの症状が見られます。一見すると、本人の怠慢や、ただ能力が低い、誠意が足りないなど、「改善できるのに改善しない」問題として見られがちです。

この発達障がいは、子供の頃からその症状が出始めますが、子供であるがために、「ちょっと片付けのできない子」に見えて、障がいであるのかどうかの判断が難しいようです。さらに、「できない状態」が常態化してしまうことも多いため、「この子はそういう子」として扱われ、本人も周りも、異常があると気づきにくくなります。

小学生や中学生の間は、多少のトラブルがあるとしても自身が全責任を負う場面も少なく、多くの場合は普通に卒業することができます。ところが社会に出ると、自分の扱う道具や資料、同僚や上司、顧客とのやり取りなど、あらゆる言動や管理が負うべき責任として扱われることになります。

その状態になってはじめて、周りの人間が普通に、もしくは努力すれば対応できる能力を持っていないことが露呈されることになることも少なくありません。

起こりがちなトラブル

発達障がいを抱える社員によって起こるトラブルは、どこに症状を抱えているかによって異なります。たとえば、時間の流れを感覚としてつかむことができず、結果的に遅刻常習者となってしまう場合もあります。

チラッとみた時計の針が30分をさしていると、「これとこれとこれをしたら、もう出発する時間になる」と考えますが、時間の感覚に発達障がいが関係していると、行動による時間の経過と実際の時間の流れが連動しなくなります。結果として、本人の感覚では、ずっと「○時30分」から時間が流れていないことになるのです。

また、商品を魅力的に紹介し顧客販売の実績はあるのに、職場の上司や同僚とのぶつかりあいが多く、結果として企業の利益を損ねてしまったりすることもあります。デスク周りが汚く、片付けや掃除を薦めてみても「自分はこのほうが落ち着くんだ」と言って、意見を聞かないなどという例もあります。

加えて、このような状況に対して「本人の怠慢」と決め付け、「何でお前はできないんだ」「何度言えば分かるんだ!」などという厳しい叱責を受け続けると、うつ病やパニック障がいを発症するなど、二次障がいにつながってしまう恐れもあります。また、ストレスを解消するためにアルコールや薬物依存症になってしまう可能性もあり、客観的に見れば当然の叱責に見えても、実態は大きな健康被害を与える障がい者差別をしてしまっているという問題もあります。

発達障がいとの付き合い方

発達障がいは、他のことはできるのにある特定の言動や管理において重大な問題があるため、特性を理解していないと共感することも難しいかもしれません。しかし、発達障がいを抱える社員に対しては、まずできないことを「取り組むべき課題」としてワンステップ用意してあげることが大切です。

例えば、デスクの整理整頓ができない場合は、通常の業務の前に整理作業を業務工程の最初に取り入れてみましょう。最初のうちは上司や同僚が一緒に手伝い、一人でできるようになったら、「今日はまずデスクの整理作業をよろしく」と声をかけてあげるのもよいでしょう。

また、異動や昇進の対象となったとき、発達障がいを持つがゆえに「自分には新しく与えられる仕事はできない」と感じてしまう場合もあります。ですので、こういった場合も配慮が必要です。

このように、発達障がい者である社員に対しては、本来であれば自然な流れとして扱われる業務や異動があった場合、工程を丁寧に切り分けるなどして、本人が冷静な判断をすることができるように手助けをすることが大切です。

発達障がい者の雇用は企業にとってマイナスになるどころか、できない部分を補い十分な能力を発揮できる環境を整えれば、普通の人よりもかなり質の高い仕事をしたり、結果を出したりできる場合が少なくありません。企業の取り組み方次第で周囲の従業員との連携性も向上し、発達障がいではない社員の仕事の取り組み方にも良い影響を与える可能性を秘めています。乗り越えなければならないハードルとして捉えるのではなく、業績向上のための秘められた人的資産と捉えて取り組んでいくことが、これからの人事ご担当者の腕の見せ所となることでしょう。

 


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