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はじめに
障害の有無、性別、年齢などにかかわらず、誰もが生き生きとした人生を送ることが出来る
『共生社会の実現』の理念を日本政府は掲げています。
障害者雇用の様々な法律も、この理念のもと、定められています。
障害の捉え方には『医学モデル』と『社会モデル』という考え方があることはご存じでしょうか?
この考え方を知ることは、企業のダイバーシティ&インクルージョンに繋がるヒントでもあります。
このコラムでは『医学モデル』と『社会モデル』の考え方についてお伝えします。
1.障害の『医学モデル』とは
▼医学モデル
障害は、個人の心身機能が原因であるという考え方です。
例えば、足に障害がある場合、
・階段を上れない
・建物を利用しづらい
・坂道の上り下りが困難
などは、立って歩くことができないから、という考え方。
つまり、その障害を解消するためには、自分で補助器具を利用したり、リハビリなどを頑張るなど、
個人の努力や工夫でカバーするもの、つまり医療・福祉の領域の問題と捉えるものです。
2.障害の『社会モデル』とは
▼社会モデル
障害は、障害のない人を前提に作られえた社会の仕組みによって作られたことが原因であるという考え方です。
先ほどの例で同じように考えてみると足に障害がある場合、
・階段を上れない
∟エレベーター、スロープなどがあれば階段という段差を上ることが出来る。
⇒社会として、階段しかないことが障害の原因である。
・建物を利用しづらい
∟通路幅を広くすることなどで、利用が容易になることがある。
⇒社会として、通路幅に配慮していないことが障害の原因である。
・坂道の上り下りが困難
∟角度を緩やかにすることなどで、坂道の上り下りの負担が軽減されることがある。
⇒社会として、足に障害のある人が使いづらいことが障害の原因である。
このような状況に原因(社会的障壁)があること、障壁を生み出しているのは社会であること。
障害があることが問題ではなく、障害があることで何かしらの障壁があり、活動が難しいことが問題である。
社会が生み出している障壁は、社会全体で解決していくべきものである。
これが『社会モデル』での障害の捉え方です。
3.世界的な障害の捉え方とは
市民的・政治的権利、教育・保健・労働・雇用の権利、社会保障、余暇活動へのアクセスなど、
様々な分野において障害者の権利実現のための取り組みを締結国に対して求める『障害者権利条約』があります。
日本は2007年に条約に署名し、障害者雇用促進法の改定など、障害者制度の改革に力を入れました。
そして2014年に条約の締結・批准に至りました。
障害は、障害者ではなく、社会が作りだしている
と、『社会モデル』の考え方が反映されています。
>参考:外務省 障害者権利条約
2022年3月現在では、183か国が障害者権利条約を締結していますので、
障害を『社会モデル』で捉え、考えることが世界的な潮流になっています。
4. まとめ
ダイバーシティが推進されている昨今、法定雇用率の達成などももちろんですが、
国際的な障害の捉え方の根底にある『社会モデル』の考えを理解することは、大変重要です。
企業で障害者雇用の取り組みを行う際、『社会モデル』の考え方を念頭に置いていただけると、
さらにより良い社会を創り出す一歩になるのではないかと思います。
新たに障害者雇用に取り組む、障害者雇用の担当になられた方は、下記のコラムも合わせてご覧ください。
>参考:【まずはここから!】初めて障害者雇用担当になったらまずは知るべきイロハ
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