「障がい者雇用ご検討頂けませんか?」
そんな投げかけをするかしないかは別として、障がい者雇用に関する営業活動を行っていると「ウチは障がい者を雇用するなんて無理だよ」というような声を頂くことは事実としてあります。もちろん、NOと言わせないことが営業だという気概もあるので、簡単には言わせたくないという気持ちもありますが、そもそも障がい者雇用に対するイメージがネガティブだったり、制度的な情報を知らなかったりと、企業ごとにNOと言う背景は様々に存在しています。
ここ最近のNOと言われた3つの事例から、障がい者雇用に関する課題を考えてみたいと思います。
Case1 「障がい者ってどんな人を指すの?」
「障がい者を雇用しなくちゃいけないという制度は知ってるし、社会貢献的な意味も込めて必要だとは思うんだけど、そもそも障がい者ってどんな人を指すの?」
先日伺った店舗内装デザインの企業の経営者から頂いたこの質問。障がい者雇用の従事者や当事者などからすれば「なんと失礼な!」と怒りに狂いそうな質問ですが、一般的に見るとこちらが多数派かもしれないなと思います。障がい者雇用営業あるあるのひとつです。
障がい者雇用においては「障がい者手帳を所持しているひと=障がい者」が分かりやすい定義のひとつですが、そんなこと一般社会は知りません。また、障がい者という言葉を聞いたときに車いすの方を連想することもあれば、手話を使っている方を連想することもあるように「自分の連想する障害をもつひと=障がい者」という感覚が強いです。障がい者の種類や程度を幅広く知っているのは専門家のみ。こういった質問を受けることは珍しいことではありません。
営業の場面ではありませんが、知人のファイナンシャルプランナーの方に「障がいのある方と接点を持ったことがないから、障がい者といわれてもピンと来ないんだよね。社会にあふれかえってるわけでもないし。」と言われたことがありますが、これもまた社会の真実だろうなと思います。
Case2「めんどくさそうじゃん?」
「社会的に見て障がい者を雇用しなくちゃいけないというのはハローワークとかからも言われたことあるからわかるけど、ぶっちゃけめんどくさそうじゃん。」
営業代行の仕事を行っている会社の人事担当者の方から頂いた言葉ですが、私自身「ホント、めんどくさいと思いますよ。」と返しました。人事担当者の言葉も私の返答も、どちらもお叱りを受けておかしくないものだと思いますが、障がい者雇用自体めんどくさいものであることはその通りです。これを否定することは難しいです。
ブランディングだ、社内活性だ、マニュアル化が進むだとメリットを述べられたところで、準備しなくてはいけないことやコミュニケーションの難しさなど「めんどくさい」と想定されることは多々あります。障がい者社員が現場に配属された時の同僚たちの心の声はネガティブなものが多いことも予測は簡単です。それらすべてを代弁する「めんどくさそうじゃん」もよく営業現場で聞く声です。
Case3「以前やってたけど、ちょっとね…」
障がい者雇用を経験したことがある企業というのは、決して少ないわけではありません。障がい者を雇用している企業もあれば、元々働いていた方が障害を負ったケースもあるため「初体験です」というばかりではありません。
ただ過去のイメージが根強い場合だと、一歩踏み込めないこともあります。例えば、上長や同僚がどう接していいか分からなくて結局居心地悪くなったみたいなんだよねとか、健常者だとちょっと雇わないよなというレベルだったから結局仕事できなかったんだよねとか。企業それぞれに背景があります。ただ、それ以上にここ最近よく聞いたのは、体調悪化や精神的ストレスといった障害や状況がネガティブなものになった場合です。
先行しているイメージによって、肯定的に解釈できる場合とできない場合が存在しています。障がい者雇用への失敗イメージが先立てば、雇用に消極的になるのは仕方のないことです。以前やってたけど…という言葉の後に続くイメージを払拭できない限り、新たに障がい者を雇用したところでうまくいく確率のほうが低くなってしまいます。
今回の事例では、障がい者に対する情報、めんどくささ、失敗イメージという3つの障がい者雇用に対する障壁を挙げました。この障壁をどう突破するのかは営業マンの腕の見せ所だとは思いますが、強引に解消したところでいい結果は生まれません。まずは相手が感じている障がい者雇用に対する不安、不満、不信、無理解といったことを解消することが先決です。入社するのは営業マンではなく、障がい者社員なのですから。
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StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。