『発達障害』ってどんな障害?職場で受け入れ&サポートする際のポイントとは

目次


1.発達障害とは

発達障害は近年メディアで取り上げられることも増え、よく耳にする障害の一つです。
同時に、企業で発達障害者を受け入れることも増えたのではないでしょうか。
しかし発達障害と一言で言っても、非常に多種多様です。どのような障害で、職場で受け入れる際のポイントはあるのでしょうか。

このコラムでは

・発達障害の概要
・職場受け入れの際のポイント

上記がわかります。

1-1.障害の概要&発症原因とは?

発達障害とは、生まれつきの特性で、脳機能の発達に関する障害です。

人間関係の構築やコミュニケーションが苦手という面がある一方、ある特定の学問や芸術面などで優れた能力が発揮されている場合もあり、周囲から見ると理解されにくい障害であります。
同じ障害名でも特性の現れ方が異なったり、いくつかの発達障害を併せ持つこともあります。
発達障害は脳機能の発達に関する障害なので、何かのきっかけで発症するというよりも特性として幼少期から常にあるものです。

社会人になってから気が付く場合は

・細やかな注意ができず、同じようなミスを繰り返す
・課題やスケジュールを整理することが出来ず、業務の納期が遅れる
・会話における建前と本音が理解できず、コミュニケーション齟齬が生まれる

など、働きづらさや生きづらさを感じ、受診した結果、発達障害だとわかるパターンも多くあります。

テレビ、新聞、SNSなどのメディアで取り上げられたことにより、「もしかして発達障害かもしれない…」という自身での気づきがあり、社会人になってから発達障害がわかるということも多くあります。

また、発達障害の特性から

・友人が出来づらく、社会的に孤立しやすくなることもある
・ミスを注意されつづけ、劣等感を覚える
・衝動的な行動が多く、周囲が困惑してしまう

などのことから、二次障害(障害特性による周囲とのストレスから精神疾患を併発すること)を発症している場合も多くあります。

1-2.ASD、ADHD、LD…それぞれどんな特徴?

発達障害は特徴によって、いくつか分類されています。

①自閉症スペクトラム障害 = ASD
②注意欠陥多動性障害 = ADHD
③学習障害 = LD

発達障害の特徴として、特性が重なり合っていることがあります。
基本的には学習障害と知的障害は重複しないとされております。
前段のパートでもお伝えしましたが、コミュニケーション面や特定の学問以外は勉強ができるため、努力不足や本人の怠惰であると周りに誤解され、理解されづらくなっています。

①自閉症スペクトラム障害 = ASD

「社会性」「想像力」「コミュニケーション面」で主な特徴が見られる発達障害です。
かつては自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害と分けられていましたが、2013年以降は特性の現れ方、程度により濃淡がある連続体として捉えること、また障害分類のラインが明確にないことから「あいまいな境界を持ちながら連続している」という意味の「自閉症スペクトラム」と表現されています。

・暗黙のルールがわからない
・言葉を額面通りに受け取る(本音と建前の理解が出来ないなど)
・場にそぐわない発言をしてしまう
・パターン的な行動を取ることを好む
・融通が聞かない
・視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚における感覚敏感(音が大きく聞こえすぎてしまうなど)
・物事を計画通りすすめることが著しく苦手

などの特徴があります。

②注意欠陥多動性障害 = ADHD

「不注意」「多動性」「衝動性」で主な特徴が見られる発達障害です。
正確な原因は不明であり、障害の判断基準は、行動観察や面談記録に基づく臨床的な判断でされます。

・会話の際、注意散漫で、話を聞いていないように見える
・貧乏ゆすりなど、落ち着かない動きをする
・自身の興味のあることに対して、口数が過多になる
・業務、課題の順序立てが苦手である
・苦手な業務を報告なく放置する

などの特徴があります。

③学習障害 = LD

「読字障害」「算数障害」「書字表出障害」の3つに分けられる発達障害です。
全体的な知的発達に問題がないものの、特定の学習にのみ困難が認められる状態です。

▼読字障害(ディスレクシア)
・単語を見ても、理解ができない
・文字がにじんで見える、ぼやけて見える、歪んで見える
・文字が点描画に見える

▼算数障害(ディスカリキュリア)
・図形が理解できない
・数字の大小がわからない
・簡単な計算問題を解くことが出来ない(九九など)

▼書字表出障害(ディスグラフィア)
・メモを取っても要点がわからず、内容が理解出来ない
・文字の大きさに均等性がなく、罫線やマス目に沿って書くことが出来ない
・文章中に句読点を入れ忘れる

などの特徴があります。

1-3.コミュニケーションが苦手…これって本当?

発達障害者はコミュニケーションを取ることが苦手と一般的に言われています。

・相手の立場に立って思考することが苦手
・規則やルールに対し融通が聞かず、頑なな態度をとる
・冗談などの言葉の機微を感じ取ることが出来ず、批判として受け取る

上記のような障害特性ゆえに、コミュニケーションを取ることが苦手だと言われています。

また、過去の経験から苦手意識を持っているなども考えられます。
しかし、言い方を変えてみる、規則などは明文化し書類上で整理しながら確認するなどで解決できることもあります。

発達障害に限らず、障害は人それぞれであり、症状や頻出する特徴は異なります。
障害名だけで考えるのではなく、まずは個人と向き合うことで解消できるコミュニケーションの問題もあります。


2.職場受け入れの際のサポートポイント

では発達障害者を職場で受け入れる際、どのようなポイントがあるのでしょうか。

・業務手順をチェックシートで確認できるようにする
・フィードバックをこまめに行い、手順を確認する
・感覚過敏の場合、パーテーションを設置し光の動きを少なくする、イヤーマフの装着で音を少なくするなどの対策
・曖昧な指示は避け、具体的(いつまでに、どの業務を、どの程度)な指示を心がける
・ルールやノウハウは明文化し、繰り返し確認出来るようにする
・メモを取ることに集中しすぎる場合、録音機器などを利用する
・自身の苦手なことの補完方法を見つけておく

ただし大切なのは、一人ひとり特性が異なるため、対処や配慮については一人ひとりとしっかり話し合うことが最も重要です。

3.まとめ

繰り返しになりますが、発達障害に限らず、障害は一人一人により、症状や特性、配慮事項は異なります。
しかし、一般的な特性を知ることにより、企業側が受け入れるための準備や、幅を広げることも出来るでしょう。
「発達障害だからこれは出来ないだろう」「発達障害者だからこうだろう」と障害名だけで決めつけること、考えることをせずに、個人と向き合い、受け入れていくことが大切になります。
ルールの明文化、絵や図によるマニュアルや解説、明確な指示など、特性に合った就業環境を整備することで、非常に高い能力を発揮し、活躍出来る方も多くいらっしゃいます。
>記事内参考資料:厚生労働省 みんなのメンタルヘルス

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Startline編集部

この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障害者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。