最新の障害者雇用状況を知る!「令和2年度 障害者の職業紹介状況などの取りまとめ」

目次


はじめに

2021年6月28日に厚生労働省より「令和2年度 ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況などの取りまとめ」が公表されました。

この記事では、

・障害者雇用の最新状況(新型コロナウイルス感染症による影響含む)
・“今後”の障害者雇用のポイント

を整理しましたので、是非最後までご一読ください。

1.全体像

≪令和2年度の概要≫
・新規求職申込件数:微減(対前年度比:-5.1%)
・有効求職者数:増加(対前年度比:+10.2%)
・就職件数:減少(対前年度比:-12.9%)
・就職率:微減(対前年度比::-3.8%)

≪厚生労働省の見解≫
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、「製造業」「宿泊業,飲食サービス業」「卸売業,小売業」といった障害者が比較的応募しやすい業種の求人数が減少するとともに、求職者の就職活動が抑制されたことが、就職件数の減少につながったと考えられる。

≪全体像まとめ≫
企業も求職者も、新型コロナウイルス感染症の影響で動きは鈍くなったが、上記図の通り、

・新規求職申込件数:過去11年間で2番目に多い(緑枠)
・就職件数:89,840件→5年前の平成27年度とほぼ同水準(黄色枠)

となっており、募集や就職活動が大きくストップしたわけではなく、若干の鈍化にとどまったと言える。

2.障害種類別の動き

①身体障害

≪ポイント≫
・新規求職申込件数
・就職件数
上記2項目において、過去11年間で最低水準を記録するなど、身体障害者の新規求職者獲得の難易度上昇が加速した結果となった。

②知的障害

≪ポイント≫
・新規求職申込件数
・就職件数
上記2項目共に減少に転じているものの、平成27年度程度の水準(黄色枠)をキープしている。

③精神障害

≪ポイント≫
減少に転じているものの、以下の通り数年以内の水準はキープしている。
・新規求職申込件数:平成29年度以上(緑枠)
・就職件数:平成28年度程度(黄色枠)

④障害種類別比較:新規求職申込件数

≪ポイント≫
・身体障害(緑):減少傾向
・知的障害(黄):ほぼ横ばい
・精神障害(赤):減少したものの約9.5万件をキープ
精神障害者が全体の約半数を占めており、引き続き精神障害者が主な採用対象者となっている。

⑤障害種類別比較:就職件数

≪ポイント≫
身体障害者の就職件数が大幅に減少し、知的障害者とほぼ同水準になった
・就職件数の約半数が精神障害者

≪障害種類別のまとめ≫
新型コロナウイルス感染症の影響で全体的に減少し、特に身体障害者の就職件数の減少傾向が強まった結果となった。
引き続き精神障害者が主な母集団形成対象となっている。

3.直近2年間の障害者専用求人状況

新型コロナウイルス感染症の影響によって、求人数はどのように推移したか、見てみましょう。

①2020年3月:世界各国にて非常事態宣言が発令
②2020年4月:日本でも非常事態宣言が発令
③2020年5月:非常事態宣言の影響で求人数は最少件数を記録
④その後は増減を繰り返す
⑤2021年3月:対前年度同月の件数を上回る

≪まとめ≫
新型コロナウイルスの影響により求人数は一時期大幅な減少に転じたものの、その後は増減を繰り返し、結果的に2020年度の月平均求人件数は約16,300件となり、2021年3月には前年同月を超える水準まで回復した。

今後は

・法定雇用率の見直し(2023年予定)を見据えた各企業の動き
・各社withコロナにおける就業環境整備を進めていること
・社会的なダイバーシティ&インクルージョン、CSR、SDGsを重要視する動き

上記の流れより、各社の障害者採用/雇用の動きは加速すると予測される。

4.職業別の就職件数

≪障害者全体(赤)≫
1位:運搬、清掃、包装等の職業:33.6%
2位:事務的職業:21.9%
3位:サービスの職業:12.6%

≪障害種類別≫
・身体障害(緑)→1位:事務的職業(27.1%) 2位:運搬、清掃、包装等の職業(24.3%)
・知的障害(黄)→1位:運搬、清掃、包装等の職業(46.8%) 2位:生産工程の職業(14.8%)
・精神障害(青)→1位:運搬、清掃、包装等の職業(32.8%) 2位:事務的職業(24.0%)

≪職業別の就職件数:まとめ≫
事務的職業、軽作業系職業に就職している障害者が多く、障害特性に合わせた職業に就職していると言える。

5.解雇者数の推移

新型コロナウイルス感染症の影響で、障害者の解雇数増加のニュースが取り上げられたこともありました。
≪参照≫
新型コロナウイルスの感染拡大で雇用への影響が広がるなか、企業などを解雇された障害者は今年(2020年)9月までの半年間でおよそ1200人に上り、去年の同じ時期と比べておよそ40%増えたことが厚生労働省のまとめでわかりました。
(2020年11月14日 NHKニュース)

では、令和2年度全体ではどうだったのか?を見てみましょう。

≪ポイント≫
・令和元年度(緑)と令和2年度(赤)を比較すると、年度計では105.6%
・新型コロナウイルスの影響が大きかった令和2年度より平成29年度の方が多い

≪厚生労働省の見解≫
障害者の解雇者数は(中略)一定の落ち着きを見せていると考えられる。

6.まとめ

≪“新型コロナウイルス感染症による障害者雇用への影響≫
・企業および求職者の動きが鈍化し、新規求職申込件数や就職件数は減少した
・求人は一時大幅に減少したが、増減を繰り返し、2021年3月には昨年同月比を上回った
・解雇数自体は微増に留まった

≪“今後”の障害者雇用のポイント≫
・新規求職申込件数や就職者の割合より、今後も精神障害者が主な採用対象者となる
・withコロナの就業環境整備促進や社会的な動き(法定雇用率引き上げ、D&I、CSR、SDGsなど)から雇用は加速すると考えられる

総じて、一時期新型コロナウイルス感染症による影響があったものの、概ね若干の鈍化程度

となっており、今後はさまざまな背景から企業も求職者も活動が活発化すると予測される。

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この記事を書いた人

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Startline編集部

この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障害者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。