障害者雇用の“雇用しないリスク/雇用するデメリット”と“雇用するメリット”

目次


はじめに

障害者雇用促進法の障害者雇用率制度において、民間企業の法定雇用率は2.3%であり、従業員数43.5人以上雇用している事業主は、障害者を1人以上雇用する義務があります。

ところが、障害者雇用を行うには様々な課題やある程度の負担がかかることも事実です。

そこで、障害者雇用の“雇用しないリスク”“雇用するデメリット”と、そのリスクやデメリットに対しての“雇用するメリット”をお伝えします。
これを読めば、障害者雇用を行うべき理由が整理できます。 是非最後までご一読ください。

1.障害者を“雇用しないリスク”と“雇用するメリット”

①納付金による金銭的負担

≪雇用しないリスク≫

「障害者雇用納付金制度」にて、法定雇用率が未達成の企業には納付金を納める必要があります。
納付金の対象は常用労働者が100人以上の法定雇用率未達成の企業で、不足している障害者1人につき、月5万円、年間で60万円が課されます。

この納付金は“罰金”ではなく、納付金を払っても障害者を雇用する義務がなくなるわけではないので、“雇用しない限り払い続けなければならない”という点も注意が必要です。

≪雇用するメリット≫

■調整金をもらう立場になれる

法定雇用率を達成している企業には、常用労働者の人数によって支給額は異なりますが、一定の調整金、もしくは報奨金が支給されます。

・常用労働者100人超の企業:月額27,000円×超過人数分の調整金
・常用労働者100人以下で、障害者を常用労働者の4%、または6人のうち多い数を超えて雇用している企業:月額21,000円×超過人数分の報奨金

②行政指導による業務負担

≪雇用しないリスク≫

雇用率未達成の企業にはハローワークより「障害者の雇入れに関する計画」の作成・提出が求められ、雇用に向けての改善が遅れている企業に対しては、企業名の公表を前提とした労働局・厚生労働省からの指導が入ることがあります。
もし指導に入った場合は、指導者の管理下のもと採用/雇用の計画、施策実行、報告等が必要となり、通常の障害者採用/雇用業務以上に多大な業務負担が発生します。

≪雇用するメリット≫

■自社のペースに合わせた障害者採用/雇用を計画し実行できる

行政指導を避けられるように、事業計画に即した障害者雇用計画を遂行することで、行政指導による採用/雇用のための過重な負担を避け、自社成長に合った障害者採用/雇用を行うことができます。

③社名公表による社会的信用の失墜

≪雇用しないリスク≫

行政指導を受けたにも関わらず障害者採用/雇用状況に改善が見られない場合、企業名を公表されることがあります。
社名公表されると、社会的な信用の失い、事業運営や人財採用の場面で大きな影響が生じてしまう可能性があります。

≪雇用するメリット≫

■社会的信用失墜を防げる

社名公表されることは事業存続へ多大な影響を及ぼすため、何としても避けるべき状況と言えるでしょう。

④公共入札要件への不適合の可能性

≪雇用しないリスク≫

法定雇用率未達成の企業は公共入札において不利になるような制度が各自治体に設けられていることがあり、企業によっては大きな機会損失となる可能性があります。

≪雇用するメリット≫

■公共入札の場面で加点される可能性がある

法定雇用率達成企業が有利になるよう加点されるケースもあります。 以下その一例です。

埼玉県:障害者雇用事業者への優遇措置
「障害者の雇用促進等に関する法律」が規定する法定雇用率を達成している事業者に対して、競争入札参加資格の格付に加点しています。また、物品調達に関しても一定の優遇措置を講じています。
≪参照リンク≫ https://www.pref.saitama.lg.jp/a0212/shakaitekikouken2728.html

⑤企業の社会的責任未対応によるリスク

≪雇用しないリスク≫

「企業の社会的責任(CSR)」や「ダイバーシティ&インクルージョン」、さらには「SDGs」「ESG」などが注目されており、社会課題解決は「社会の公器」である企業の果たすべき役割として求められるようになりました。
障害者雇用は、全ての人がそれぞれの希望や能力に応じて、全ての地域で自立し尊重される生活を送ることができる共生社会の実現を目指す社会的意義のある取り組みであり、“法令順守”“社会貢献”という意味合いでも、会社の存在価値に大きく影響します。

≪雇用するメリット≫

■社会貢献できる

企業が障害者を雇用するということは、障害者が活躍できる場を提供するという意味を持つため、大きな社会貢献につながります。

■会社や社員の意識改革ができる

障害者と共に働くことで「違い」に気付くことができ、お互いの理解を深め配慮しようという助け合いの空気を育むことができ、会社やチームへの貢献欲の醸成や他者を思いやる心が生まれます。

結果的に、障害者雇用は企業内の身近な場面で多様性を生み、他者を思いやる“より強い組織作り”を可能にします。

【参考事例】
障害者雇用によるSDGs活用事例 http://startnext.start-line.jp/archives/3741
屋内農園型障害者雇用とSDGs  http://startnext.start-line.jp/archives/3724

2.【障害者を“雇用するデメリット”と“雇用するメリット”】

①業務創出、切り出し、環境整備のための負担

≪雇用するデメリット≫

「障害者にお任せできる業務が見当たらない」 「受け入れのための環境整備ができていない」 というのは、企業が障害者雇用するにあたってよく出てくる課題であり、業務創出や切り出し、環境整備することは、企業にとって少なからず生じる負担となります。

  ≪雇用するメリット≫

■業務の最適化、効率化、平準化を図れる

障害者を雇用することで、業務自体を改めて見直すことになり、

・本当に必要な業務なのか
・効率的にできているのか
・属人的になっていないか
・ミスやヒヤリハットが起きやすくないか
・マニュアル化(明文化)やフロー再構築の必要性はないか

など、 「業務創出、切り出し」は、社内の業務全体の最適化、効率化、平準化を図るチャンスとなります。  

■“誰にとっても働きやすい環境づくりへの変革機会”

業務だけでなく受け入れる環境自体も改めて見直すことになり、 受け入れる部署の業務フローや業務の見える化、働き方や他者への気遣いなど、 障害者を雇用することで“誰にとっても働きやすい環境づくりへの変革機会”とすることができます。
ポイントは、障害者本人の業務対応力や生産性だけを重要視するのではなく、 障害者を雇用することによるチームや会社全体の改善に目を向けることが重要になります。

■チームや会社の活性化

チーム内でのサポートや他者への気遣いなど、それぞれの役割や働き方も見直すことになり、それぞれの存在価値を認識し、チームや会社が活性化し、働くことに対する意識が変わったという事例も多くあります。

  ②管理コスト

≪雇用するデメリット≫

障害者雇用の仕組みがうまくできていないことで、雇用に関わるスタッフや管理コストが大幅に増えるということもあります。

  ≪雇用するメリット≫

■管理方法見直し

管理コストが過重にかかっている場合、属人的な管理方法になっていたり、非効率的な業務フローになっているなど、“雇用の仕組み”に原因があることが多いです。
その際は、前述の通り業務の平準化、効率的な業務フロー構築が実現できるように、管理方法や業務フローを見直しましょう。

  ■助成金活用

単純にコスト面で言えば、各種条件を満たすことで各種助成金を受け取ることが可能です。
以下にその一部を掲載いたします。

・トライアル雇用助成金
・特定求職者雇用開発助成金
・障害者雇用安定助成金 (障害者職場定着支援コース)
・障害者介助等助成金
・重度障害者等通勤対策助成金 など

それぞれ受給条件や助成の対象や申請に必要な書類、提出期限も異なりますので、受付窓口(ハローワークの助成金事務センターなど)に確認することをおすすめします。

  ■業務の内製化

さらに、コスト面では、外注している業務や派遣社員を活用している業務を障害者雇用へ切り替えることで、コストを削減になったという事例も多数あります。

3.まとめ

障害者雇用は「業務対応力(できること、できないこと)」や「管理負担」に注目されやすいですが

・業務、環境、管理体制の見直し/改善による組織改革と生産性向上
・社員のエンゲージメント向上や活性化、他者を思いやる強い組織構築
・社内外における企業ロイヤルティの向上

など、中長期的な視点で多くの副次的メリットをもたらしてくれます。

これらを実現するためには場当たり的な障害者雇用ではなく、以下のポイントが重要になります。

1.会社の障害者雇用の方針を明確にし、社員に明示すること
2.受け入れ現場の属人的な雇用ではなく、会社全体として推進すること
3.自社に合った障害者雇用方法を検討/実施すること
4.必要に応じて社外専門サービスを活用すること

 障害者雇用支援に特化して行ってきたスタートラインでは、他社事例のご紹介から、社内理解促進のために必要な資料のご案内、パッケージサービスだけではない『企業と障害者、双方にとってより良い障害者雇用の方法』をご提案しております。
各種ホワイトペーパーのご用意、無料オンラインセミナーの開催、個別でのご相談など、いつでもお待ちしております。
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株式会社スタートライン マーケティングディビジョン 吉田瑛史
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この記事を書いた人

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Startline編集部

この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障害者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。