障害者雇用の助成金まとめ

目次


はじめに

障害者雇用を推進するにあたり、様々な助成金を受け取ることができますが、
助成金の種類が多いため、迷われる方もいらっしゃると思います。
そこで、障害者雇用に関するおもな助成金についてまとめました。

1.トライアル雇用助成金

【概要】
障害者を試行雇用することで、適性や能力を見極め、継続雇用のきっかけとしていただくことを目的とした制度です。

【全体像】


≪出典≫厚生労働省『「障害者トライアル雇用」のご案内』
https://www.mhlw.go.jp/content/000562055.pdf

① 障害者トライアル雇用求人で募集→選考
② トライアル雇用開始(原則3ヶ月)
③ 実施計画書提出
④ トライアル雇用終了→継続雇用移行の判断
⑤ 継続雇用移行 or 雇用期間満了

【種類】
週の所定労働時間が
・20時間以上:「障害者トライアルコース」
・10時間以上20時間未満:「障害者短時間トライアルコース」
の2種類があります。

1-1.障害者トライアルコース

≪対象労働者≫
次の①と②の両方に該当する者

①継続雇用する労働者としての雇入れを希望している者であって、障害者トライアル雇用制度を理解した上で、障害者トライアル雇用による雇入れについても希望している
②障害者雇用促進法に規定する障害者のうち、次のア~エのいずれかに該当する者
 ア. 紹介日において就労の経験のない職業に就くことを希望する者
 イ. 紹介日前2年以内に、離職が2回以上または転職が2回以上ある者
 ウ. 紹介日前において離職している期間が6か月を超えている者
 エ. 重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者

≪雇入れの条件≫

①ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること
②障害者トライアル雇用等の期間について、雇用保険被保険者資格取得の届出を行うこと

≪支給額と支給期間≫
■対象者1人当たり、月額最大4万円(最長3か月間)
■精神障害者の場合、月額最大8万円✕3か月、その後4万円✕3か月
(助成の対象は6か月ですが、トライアル期間は6~12か月設定可能です)

1-2.障害者短時間トライアルコース

週10時間以上20時間未満から開始し、職場への適応状況や体調などに応じて、トライアル雇用期間中に20時間以上の就労を目指すコースです。

≪対象労働者≫

継続雇用する労働者としての雇入れを希望している者であって、
障害者短時間トライアル雇用制度を理解した上で、
障害者短時間トライアル雇用による雇入れについても希望している者精神障害者または発達障害者であること

≪雇入れの条件≫
対象労働者を次の①と②の条件によって雇い入れること

①ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること
②3か月から12か月間の短時間トライアル雇用をすること

≪受給額と受給期間≫
支給対象者1人につき月額最大4万円(最長12か月間)

1-3.【補足】テレワーク推進による制度拡充

企業ごとに異なるテレワーク環境に適応できるか見極めるには、3か月では期間が足りない場合があることから、令和3年度からは以下のとおり、障害者トライアル雇用制度が拡充されています。

≪出典≫厚生労働省
『障害者のテレワーク推進のための「障害者トライアル雇用制度」の拡充について』
https://www.mhlw.go.jp/content/000764369.pdf

1-4.【参考】障害者トライアル雇用の活用実績

※トライアル雇用助成金の詳細URL
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/shougai_trial.html

2.特定求職者雇用開発助成金

【概要】
高年齢者や障害者等の就職困難者をハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇用する企業が受給できる助成金です。

【全体像】

≪出典≫厚生労働省『特定求職者雇⽤開発助成⾦ (特定就職困難者コース)のご案内』
https://www.mhlw.go.jp/content/000553237.pdf

【種類】

対象によってコースが分かれています。

「特定就職困難者コース」:身体障害者、知的障害者、精神障害者
「発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース」:障害者手帳を持たない難治性疾患患者や発達障害者

2-1.特定就職困難者コース

≪主な要件≫
本助成金を受給するためには、次の要件のいずれも満たすことが必要です。

①ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること
②雇用保険一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用すること(65歳以上に達するまで継続し、当該雇用期間が継続して2年以上であること)
※基本的には「無期雇用契約」「有期雇用契約(自動更新)」が対象となりますが、「有期雇用契約(自動更新以外)」でも申請可能の場合がありますので、管轄機関へ確認してみることをおすすめ致します。

※このほかにも、雇用関係助成金共通の要件などいくつかの支給要件がありますので、詳しくは下記URLをご参照ください。

≪詳細要件≫
https://www.mhlw.go.jp/content/000497181.pdf

≪受給額≫
対象労働者の年齢や障害の程度、週の労働時間、事業主の規模によって異なります(下表は、障害者以外の対象者(高年齢者、母子家庭の母などの就職困難者)も含みます)。

≪出典≫厚生労働省『特定求職者雇⽤開発助成⾦ (特定就職困難者コース)のご案内』
https://www.mhlw.go.jp/content/000553237.pdf

※特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の詳細URL
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/tokutei_konnan.html

2-2.発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース

≪主な要件≫
本助成金を受給するためには、次の要件のいずれも満たすことが必要です。

①ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること
②雇用保険一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用すること(65歳以上に達するまで継続し、当該雇用期間が継続して2年以上であること)

※このほかにも、雇用関係助成金共通の要件などいくつかの支給要件がありますので、詳しくは下記URLをご参照ください。
≪詳細要件≫https://www.mhlw.go.jp/content/000497181.pdf

≪受給額≫

障害の程度、週の労働時間、事業主の規模によって異なります。

≪出典≫厚生労働省
『「特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・ 難治性疾患患者雇用開発コース)」のご案内』
https://www.mhlw.go.jp/content/000575747.pdf

※特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)の詳細URL
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/hattatsu_nanchi.html

3.キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)

障害者の雇用を促進するとともに職場定着を図るために、次の①または②のいずれかに該当する措置を継続的に講じた場合に助成します。

①有期雇用労働者を正規雇用労働者(多様な正社員を含む)または無期雇用労働者に転換すること
②無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換すること

【全体像】

≪出典≫厚生労働省『キャリアアップ助成金のご案内』
https://www.mhlw.go.jp/content/000765144.pdf

【主な条件】

  • 雇用保険適用事業所の事業主であること
  • 事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いていること
  • 対象労働者にキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けていること
  • 対象労働者に対する労働条件、勤務状況及び賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにすること
  • キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んでいること

【支給額】

≪出典≫厚生労働省『キャリアアップ助成金のご案内』
https://www.mhlw.go.jp/content/000765144.pdf

【参考:中小企業事業主が精神障害者の雇用形態を転換した場合】

※詳細に関しては以下URLをご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/000765144.pdf

 

4.その他の主な助成金、奨励金

4-1.障害者介助等助成金

障害の種類や程度に応じた適切な雇用管理のために必要な介助等の措置を実施する場合に、その費用の一部を助成するもの

≪種類≫

①職場介助者の配置または委嘱助成金
②職場介助者の配置または委嘱の継続措置に係る助成金
③手話通訳・要約筆記等担当者の委嘱助成金
④障害者相談窓口担当者の配置助成金

※詳細の条件や対象は多岐にわたるため、以下をご確認ください。
https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/kaijo_joseikin/index.html

4-2.重度障害者等通勤対策助成金

重度身体障害者、知的障害者、精神障害者または通勤が特に困難と認められる身体障害者を雇い入れるか継続して雇用している場合、これらの障害者の通勤を容易にするための措置を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。

≪種類≫

① 重度障害者等用住宅の賃借助成金

重度障害者等を入居させるための特別な構造または設備を備えた住宅の賃借

② 指導員の配置助成金

重度障害者等が5人以上入居する住宅に指導員を配置

③ 住宅手当の支払助成金

重度障害者等自らが住宅を借り受け、賃料を支払っている場合に、その者に対して、重度障害者等以外の労働者が住宅を借り受けた場合に通常支払われる住宅手当の限度額を超えて住宅手当を支給

④ 通勤用バスの購入助成金

通勤する5人以上の重度障害者等のために通勤用バスを購入

⑤ 通勤用バス運転従事者の委嘱助成金

通勤する5人以上の重度障害者等のために通勤用バスの運転に従事する者を委嘱

⑥ 通勤援助者の委嘱助成金

重度障害者等の通勤(公共交通機関を利用する通勤に限ります。)を容易にするための指導、援助等を行う通勤援助者を委嘱

⑦ 駐車場の賃借助成金

自ら運転する自動車により通勤することが必要な重度障害者等に使用させるために駐車場を賃借

⑧ 通勤用自動車の購入助成金

自ら運転する自動車により通勤することが必要な重度障害者等のために通勤用自動車を購入

 

詳細の条件や対象、受給額は多岐にわたるため、以下パンフレットをご確認頂き、管轄の独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の都道府県支部へお問い合わせください。

≪重度障害者等通勤対策助成金≫
https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/tsukin_joseikin/index.html

≪独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の都道府県支部≫
https://www.jeed.go.jp/location/shibu/index.html

4-3.東京都障害者安定雇用奨励金

【概要】

東京都では、安定的な雇用と処遇改善に取組む企業を応援するために、

  • 障害者等を正規雇用や無期雇用で採用した場合
  • 障害者等を有期雇用から正規雇用や無期雇用に転換した場合

上記いずれかの場合、奨励金を支給します。
※対象となる労働者を採用・転換した日より6か月経過した日から2か月以内に東京都へ申請が必要です。

【全体像】

≪出典≫TOKYOはたらくネット『東京都障害者安定雇用奨励金のご案内』
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/shogai/josei/atirashiR3.pdf

【主な支給要件】

≪採用した場合≫

①週の所定労働時間が20時間以上の無期雇用労働者として雇入れていること
②雇入れた労働者に支払われる賃金が、継続して常に最低賃金を5%以上上回る額であること
③雇入れた労働者に適用される次のいずれか二つ以上の制度を設けていること

・昇給制度 ・賞与制度 ・通院有給休暇または病気有給休暇制度 ・テレワーク制度
・フレックスタイム制度 ・通勤緩和制度 ・時間単位での年次有給休暇制度 ・永年勤続表彰制度

④雇入れ後6か月間の評価を行い、今後の育成方針を策定すること
⑤特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コースまたは発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)について東京労働局長の支給決定通知を受けていること

≪正規雇用や無期雇用に転換した場合≫

①有期雇用労働者を無期雇用(一週間の所定労働時間20時間以上)に転換していること
②転換後の賃金が、転換前の賃金より5%以上昇給していること又は最低賃金を10%以上上回っていること及び転換後も継続して常に最低賃金を5%以上上回る額であること
③転換した労働者に適用される次のいずれか二つ以上の制度を設けていること

・昇給制度 ・賞与制度 ・通院有給休暇または病気有給休暇制度 ・テレワーク制度
・フレックスタイム制度 ・通勤緩和制度 ・時間単位での年次有給休暇制度 ・永年勤続表彰制度

④転換後6か月間の評価を行い、今後の育成方針を策定すること
⑤特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コースまたは発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)について東京労働局長の支給決定通知を受けていること
⑥転換の日の前日から、支給対象企業に雇用される期間が過去3年以内の有期契約労働者であって、転換日から6か月以上の期間継続して雇用されている労働者であること

【支給金額】

企業規模等に応じ、対象となる労働者一人当たり、下表に定める金額を事業主へ支給します。

≪出典≫TOKYOはたらくネット『東京都障害者安定雇用奨励金』
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/shogai/josei/antei-koyou/

※東京都障害者安定雇用奨励金の詳細URL
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/shogai/josei/antei-koyou/

5.まとめ

ご覧いただきました通り、多種多様な障害者雇用に関する助成金や奨励金があります。
該当するか否か判断が難しい場合や、申請方法や申請時期も異なり、さらに新型コロナウイルスの影響で制度の変更等も行われています。
ご不明点や該当すると思われる助成金や奨励金がありましたら、詳細は各関係機関へお問い合わせすることをおすすめ致します。
(この場ですべての掲載が出来かねます事、ご容赦ください)

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この記事を書いた人

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Startline編集部

この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障害者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。