障害者雇用における業務切り出し、基本の大原則!

目次


はじめに

障害者雇用を考えるうえで、業務切り出し(職域開拓)を避けて通ることは出来ません。

しかし一口に業務を切り出すといっても『どんな業務を/どの部署から/どのような方法で切り出せばいい』のでしょうか。
そもそも本当に切り出せる業務があるのかという疑問もあるのではないでしょうか?

この記事では、

・業務切り出しを行う際の基本の3つのポイント

について、約65社の企業様の業務切り出しをサポートしてきた経験からお伝えしていきます。

1.どの部署から業務切り出しをすればいいのか?

各部署に業務切り出しの依頼をしても、業務が出てこなかった経験はないでしょうか?
このような状況はどうして起こるのでしょう?

障害者雇用や障害者の能力・特性に対する認識は人によって様々です。
その擦り合わせを行わなければ、各部署が、そもそも障害者にどんな業務を任せられるのかわからないため、業務切り出し依頼をしても、出てこないということになります。

そのため各部署に業務調査を行う前に、『障害者雇用推進ミーティング』を行い、『認識の擦り合わせと目線合わせ』を行います。

ミーティングでは障害者雇用関連の法律をはじめ、障害種別の特性、他企業の業務事例などもお伝えします。
そうすることで、認識の擦り合わせができ、スムーズに業務切り出しができるようになります。 

・各部署の責任者
・業務の実務担当者

上記の方に参加いただき、業務切り出しを行いやすくしていきます。

2.どのような方法で業務を切り出していくのか?

業務は、シンプルな業務から少しずつ切り出していくことをおすすめしています。
一つの部署だけではなく、多くの部署から様々な業務を切り出していくのがよいでしょう。
まずはシンプルな業務を様々な部署から切り出していきますが、実際はどのように行うのでしょうか。
手順は大きく3つです。

1:業務切り出しシートへの記入
2:業務切り出しシートの精査
3:対象部署へ業務詳細インタビュー

1:業務切り出しシートへの記入

先ほどの『障害者雇用促進ミーティング』内で、業務切り出しシートを渡して、各部署で記入してもらいます
>『業務切り出しシート』はこちらから無料でダウンロードできます

2:業務切り出しシートの調査

シートを記入してもらったら、自己判断を伴わないシンプルな業務を精査していきます。

障害特性によっては曖昧な指示の理解が難しい場合があります。
実際に業務を行うことを想定し、この段階からマニュアルの作成などもイメージしておくとよいでしょう。

3:対象部署へ業務詳細インタビュー

業務を切り出す部署が決まったら、その業務の納期や、完成納品物のイメージ、また使用ツールなどの詳細を該当部署へインタビューしていきます。併せてマニュアル作りなども進めて完成させていきます。

1:業務切り出しシートへの記入
2:業務切り出しシートの精査
★3:業務精査結果の報告
★4:業務切り出し難易度の可視化
5:対象部署へ業務詳細インタビュー
★6:対象部署へのインタビュー結果報告&業務遂行時間予測のレポーティング
※スタートラインの業務切り出しコンサルティングを行う場合は★の部分が追加となります。

過去の業務切り出し事例から〇〇の部署であれば◎◎の業務があるのではないか、また業務を実際に行うとこんなポイントが必要になる等、業務切り出しコンサルティングを行っています。


図:スタートラインで作成した業務切り出しレポート例

業務の切り出しが完了し、実際に業務を導入していきますが、業務の導入にはステップがあります。

▼ステップ1

まずは業務に慣れてもらうことを優先します。そのため業務量は1人分というよりも、0.5人分くらいから始めることをおすすめしています。
業務としては、自己判断の伴わない業務(例:マニュアルを見れば出来る業務)から行い、ダブルチェックの体制をしっかり整えておくなどの工夫が必要です。

▼ステップ2

業務に慣れてきたら、1人分の業務量を担ってもらいます。障害特性により配慮事項が異なります。
そういったことも考慮しながら、業務を工夫し生産性を上げていきます。

▼ステップ3

ステップ1~2と進んできたので、個人の業務幅を更に拡大し、マルチタスク化を進めていきます。
ここからは個人だけではなく、業務の得手不得手によってのチームでの業務も行っていきます。

シンプルな業務から少しずつ切り出し、徐々に難易度を上げていくことが大切です。

4.まとめ

業務切り出しを始める際は

・各部署の責任者や業務担当者と、障害者雇用を行う意義と障害者の能力・特性を共有する
・先入観にとらわれず、可能な範囲で様々な部署に呼びかけ、業務を切り出す
・自己判断の伴わないシンプルな業務から始める
・徐々に個人の業務幅を拡大し、マルチタスク化を進め、チーム内でフォロー体制を作る

ことが大切になっていきます。

障害者を雇用する前に業務切り出しをしなかったため、上手く仕事の割り振りが出来ずに退職してしまったり、受入れ部署が障害者のサポートに疲弊しその後の受け入れにネガティブになったりしてしまうこともあります。

業務切り出しには副次的な効果があります。
業務の可視化を行うことにより、本当にその業務は行う必要があるのか、部署管轄は正しいのか、など、業務効率や生産性を更に上げるためにも有効です。

テレワークなどの働き方も広がってきた今こそ、障害者雇用だけではなく、全体の業務見直しのタイミングではないでしょうか?

>業務切り出しを行った企業様の事例はこちら
業務切り出しにひと工夫! 障害者向けサテライトオフィスサービス【イマジカデジタルスケープ導入事例】

そうはいっても自社で本当に仕事があるのか/業務が出てくるのかと、ご不安もあるかと思います。
業務切り出しの詳細な事例のご紹介も承っておりますので、ぜひ一度スタートラインにご相談ください。
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株式会社スタートライン マーケティングディビジョン 新井真春
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Startline編集部

この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障害者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。