【第2弾】障害者雇用に取り組む際考えるべきこと5選~支店/営業所/店舗編~

目次


 

1.企業が障害者雇用に取り組むべき理由

毎年6月1日は、高年齢者・障害者雇用状況報告(通称:ロクイチ報告)が始まります。
改めてですが、企業はなぜ障害者雇用に取り組むのでしょうか。 また、実際に雇用をすすめるにあたり、どのようなポイントを検討していかなければならないかはご存知でしょうか?
通勤勤務だけではなく、サテライトオフィスや在宅勤務でのテレワーク、農園型勤務など、様々な働き方も増えています。
このコラムではそれぞれの雇用方法で押さえるべきポイントを全5回に渡り、お伝えします。

>第1回:【第1弾】障害者雇用に取り組む際考えるべきこと5選~本社雇用編~

今回は支店/営業所/店舗での雇用の際のポイントをお伝えします。
企業が障害者雇用に取り組むべき理由を前回のコラムですでに読まれた方はこちらから第2回目の本編へおすすみください。

このコラムでは次の2点がわかります。

・企業が障害者雇用に取り組むべき理由が理解出来る
・支店/営業所/店舗で障害者雇用を行う際に考えるべきことがわかり、自社の障害者雇用推進のアクションへ活かすことが出来る

1-1.障害者雇用促進法

障害者の雇用の促進等に関する法律(通称:障害者雇用促進法)で、以下のように記されています。(一部抜粋)

・全て事業主は、対象障害者(※対象障害者…原則として障害者手帳を所持している障害者)の雇用に関し、社会連帯の理念に基づいて、雇入れに努めなければならない
・企業の労働者数に応じて、法定雇用数以上の障害者を雇用しなくてはならない
・法定雇用率は5年ごとに見直しを行う

企業が法令遵守をすることは、ステークホルダー(従業員、取引先、株主等)からの信頼を得るためにも非常に重要なことです。

1-2.ダイバーシティ推進

日本では少子高齢化に伴い、生産年齢人口が減少しています。
その状況に対応するため、性別、人種、国籍、宗教、年齢、学歴、職歴、障害の有無などの多様性を活かし、企業のイノベーションに繋げるダイバーシティの促進は大変重要な経営課題の一つとなっています。 厚生労働省も、高齢者就労、子育て・介護等と仕事の両立などと並び、障害者就労を推進しています。

・法令遵守をすることで企業の信頼価値を高めること
・多様な人材を活かした経営は今後の社会では必要不可欠

以上が企業が障者雇用に取り組む主な理由です。

2.支店/営業所/店舗雇用に取り組む際、考えるべきこと

第1回目では本社で障害者雇用に取り組む際に考えるべきことをお伝えしました。

>あわせてご覧ください
【第1弾】障害者雇用に取り組む際考えるべきこと5選~本社雇用編~

新たに障害者雇用を進めるうえで、支店や営業所、また店舗を運営している企業では、店舗での雇用も検討しているのではないでしょうか。
その際に検討しなくてはいけないことを第2回のコラムではお伝えします。

2-1.職業別 就職件数の現状

店舗での雇用を検討する場合、販売/サービスの職種をイメージされることが多いのではないでしょうか。

引用:厚生労働省 令和元年度 障害者の職業紹介状況等(令和2年6月22日)

上記の図は、障害者の職業別の就職件数をグラフにしたものです。
『運搬・清掃・包装等の職業』と『事務的職業』が55%以上を占めています。
店舗で雇用をイメージしている職種への就職というのは合わせても16%程度です。
つまり、雇用を行いたいと検討している販売/サービスの職種は採用が難しい職種であると言えます。

・採用を検討している職種は母集団の形成が出来るのか
・ファシリティ面含めての安全面の配慮が適切に出来るか

上記の検討を行わない場合、いつまでも採用が上手く行かなかったり、採用後もすぐに休/退職してしまう可能性があります。
業務は用意が可能でも、そもそも働き手が集まらなければ採用に至りません。
就職状況の現状を把握し採用層を今一度検討し、安全面の配慮が出来ているのかいないのか、まずは確認をしましょう。

2-2.合理的配慮の提供

企業が障害者雇用を行う上で抱えている課題は、

・会社内に適当な仕事があるか(=業務切り出し/業務創出)
・障害者を雇用するイメージやノウハウがない(配属部署での対応)
・採用時に適性、能力を十分把握できるか(管理体制)
引用:厚生労働省 平成30年度 障害者雇用実態調査(令和元年6月25日)

上位3つの課題はこのようになっています。第1回目の本社雇用編でお伝えしたように、業務切り出し/業務創出については、支店/営業所/店舗での雇用でも大変重要です。

しかしそれ以上に検討するべきことは『配属部署での対応』です。

障害者雇用を行う上で、事業者には合理的配慮の提供が求められます。
※合理的配慮とは…社会の中にあるバリアを取り除くために何らかの対応を必要としているとの意思が伝えられたときに、負担が重すぎない範囲で対応すること(事業者においては、対応に努めること)
一部抜粋:内閣府 合理的配慮を知っていますか?

先の調査内で『現在配慮している事項』について記載があります。
障害種別により配慮事項は様々ですが、

・短時間勤務等勤務時間の配慮
・通院・服薬管理等雇用管理上の配慮
・休暇を取得しやすくする、勤務中の休憩を認める等休養への配慮

は障害種別問わず、多く配慮されているものです。

本社と比べ、支店等では人員が少ないことがほとんどではないでしょうか。人員が少ない中での運営ですから

・障害者への理解の促進
・障害特性上の配慮事項の理解
・(上記を踏まえたうえで)障害者を受け入れる体制が整っているか
・雇用後の管理体制が構築されているか

という点は必ず確認しておくべき点です。
こういった配慮が出来なければ、障害者雇用を支店等で行うことは難しいと言えるでしょう。

3.まとめ

本社で雇用が出来たので、支店等でも同じように進めようと考えても

・サポート体制構築の難しさ
・社内理解度の違い
・職種による就職件数の違い

などが大きく異なるため、本社と同じように雇用するというのは難しい場合が多いです。

少ない人員で管理を行うことが難しい場合は、メンタル面のサポートは遠隔で専門家に任せるという方法もあります。

>参考:“働きづらさ”の改善サイクルを一新『ウェルケアチャットライン』

上記が進まない場合、

・社内疲弊を招き、障害者雇用の促進がすすまない
・早期退職による、他社への人材の流出

などが考えられます。今一度、支店/営業所/店舗には

・サポート体制が構築出来ているのか
・社内理解は進んでいるのか
・適切な職種の採用をすすめているのか

見直しと検討を行いましょう。
もし難しかった場合は、在宅勤務、サテライトオフィス勤務、農園型勤務も検討の視野に入れ、障害者雇用の取り組み全体を見直していきましょう。

スタートラインでは約200社の企業の障害者雇用をサポートしています。
より良い障害者雇用の実現のため、業務切り出し事例のご紹介や、ホワイトペーパーなども多数ご用意しています。

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この記事を書いた人

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Startline編集部

この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障害者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。