2021年の障害者雇用市場~数字で見る求職者の変化、企業が対応していくべきこと~

目次


 

 

1.障害者雇用がすすまない…その理由、ご存知ですか?

2021年の高年齢者・障害者雇用状況報告(通称:ロクイチ報告)の提出も間近です。障害者の新規採用をご検討の皆様も多いのではないでしょうか?
しかしなかなか思うように採用が進まない、思ったような求職者と出会えないというお悩みはありませんか?
それはなぜなのか、そして企業はどのような対応を行っていくべきなのでしょう。

1-1.求職者の変化

参照:厚生労働省 令和元年度 障害者の職業紹介状況等(令和2年6月22日)

ハローワークを通じた障害者の新規求職申込件数の推移をまとめたものです。
青色の身体障害者はほぼ横ばい、緑色の知的障害者は微増、オレンジ色の精神障害者は増加しています。

2010年の市場特徴
・法定雇用率は1.8%(民間企業の実雇用率は1.63%)
・身体障害者が多く仕事を求めている(64,098件=約50%が身体障害者の求職者)

2019年の市場特徴
・法定雇用率は2.2%
・精神障害者が多く仕事を求めている(107,495件=約52%が精神障害者の求職者)

参照:厚生労働省 令和2年 障害者雇用状況の集計結果(令和3年1月15日)

この図は民間企業における障害者雇用状況と実雇用率です。
上記2つの図から3点が読み取れます。

①障害者雇用数は10年で約1.7倍の増加 =民間企業における障害者の積極採用は今後も確実に伸びていく
②新規求職者件数は精神障害者が大幅に急増している =新規求職者の約半数が精神障害者(身体障害者の約1.7倍、知的障害者の約2.5倍)
③法定雇用率は一定期間(約5年)で見直しがされている =中長期的に採用計画を立てていく必要がある

上記のことから、民間企業は精神障害者の採用や雇用を積極的にやっていかなければ、障害者雇用は出来ないといっても過言ではない状況に変化しているのです。

1-2.企業が採用していくことを求められている採用層

2021年3月には法定雇用率が2.2%から2.3%に上昇しました。数字では0.1%の上昇ですが、民間企業でこの目標数値を達成するためには、約3.9万人の新規採用が必要になります。
現在就労移行支援事業所に通所している就職を目指す障害者は約3.4万人なので今後は就労移行支援事業所の通所者以外からの採用も必要になってきます。
※就労移行支援事業所…一般就労等への移行に向け、就労に必要な訓練などを行う事業所

企業には、即戦力で活躍出来る障害者以外にも、就労準備の整っていない障害者の受け入れ(=就労移行支援事業所に通所していない障害者)を行い、中長期的な育成をしていく障害者雇用を行うことが求められています。
そのためには、今まで行っていたハード面、ソフト面(メンタルケア)などのサポートに加え、採用基準の見直し、受け入れ態勢の整備や強化が必要になります。

2. 2021年の障害者雇用で必要なこととは

障害者採用市場の変化を鑑みると、長期定着のために、その人の障害特性にあったサポートをすることが重要になっていきます。 とはいえ、個々に合わせての細やかな配慮やサポートは、限られたリソースの中では到底出来ません。

採用市場は大きく変化をしています。今までと同じ採用だけでは、これからの障害者雇用は上手くいきません。 限られた今までと同様の雇用場所/方法だけではなく、新たな雇用場所/方法に目を向けていくことも、重要です。

労働人口の減少やダイバーシティ、SDGsアクションやESG経営など、障害者雇用は経営戦略に大きく関わっています。そういった観点からも

・本社以外での就労の可能性 =在宅/テレワーク勤務の検討
・サポート体制の組織化 =属人化せず、チームでサポートをしていく
・業務切り出し/創出の検討 =社会貢献性視点からの採用も検討していく

上記の新たな雇用方法の検討は重要となってきます。また検討することで、「本社ではまだ受け入れが進んでいなかった部署で雇用が検討出来る」ということもあるでしょう。 今までのやり方以外を模索検討することは、逆説的に今までのやり方の深堀りにも繋がります。

3. まとめ

障害者採用市場が変化する中で次の2点が重要になります。

・精神障害者が新規求職者数の約半数であり、今後もこの傾向は続くと推測される
=企業は精神障害者の採用をしていかなければならない
・就労準備の整っていない障害者の受け入れが必要
=新たな雇用場所/方法/採用基準の見直しと構築

そうして検討を進めていくと、自社だけでの解決や対処が難しい場合ももちろんあるでしょう。

障害者雇用支援に特化して行ってきたスタートラインでは、他社事例のご紹介から、社内理解促進のために必要な資料のご案内、パッケージサービスだけではない『企業と障害者、双方にとってより良い障害者雇用の方法』をご提案しております。

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Startline編集部

この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障害者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。