2018年の改正障害者雇用促進法の施行に向けて、人事ご担当の方々の中には精神障がい者雇用に頭を抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?この記事では精神障がい者を雇用するにあたり必ず押さえておかなければならないポイントをご紹介します。
- 精神障害者福祉手帳には期限があります
- 病症が寛解し、手帳の更新が切れてしまったら…?
- その後の事業主に求められる対応は…?
ご存知のとおり、精神障害者福祉手帳には2年という期限があります。
手帳の更新手続きは、医師による診断書or障害年金もしくは特別障害給付金を現に受給していることを証する書類(年金証書等)の写しによって、各都道府県の保健福祉センターで判断されます。精神障がいにはF0~F99に分類される様々な障がいがあり、中には気分障がいやアルコール依存症といった、寛解・完治する障がいも含まれます。法定雇用率を達成するために精神障がい者を雇用し、様々な合理的配慮等を提供して就労を安定させることにご苦労されている担当の方もいらっしゃると思います。その結果起こりうることとして、手帳の更新が認められないかもしれないということは知っておかねばなりません。
気分障がいやアルコール依存の方を雇用し、人事ご担当者・配属先部署関係者の配慮とご本人の努力によって安定的な雇用が実現出来たとします。
その状態で手帳の更新時期を迎え、主治医が安定して就労できているという事実のもと、下記2点の程度ではないという診断をするとどうなるでしょうか?
- 精神障害者福祉手帳2級の基準「精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」
- 精神障害者福祉手帳3級の基準「精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの」
可能性として、手帳の等級が下がる、ひょっとすると手帳の更新は認められないという判断が、都道府県の保健福祉センターでなされるかもしれません。手帳の等級が下がれば、法定雇用率のカウントは下がります。また、手帳所持者でなくなれば、当然法定雇用率のカウントはなくなります。本来、手帳の更新がないということは、障がいがなくなるということですので喜ばしいことです。
しかし人事ご担当者にとっては、再び障がい者雇用のご苦労が始まってしまうというジレンマが起こってしまいます。
もし、雇用形態が期間の定めがない正規雇用であった場合、手帳の不所持を理由に解雇をすることは認められません。労働基準法に違反してしまいます。
障がい者という枠ではなく一般枠として雇用する必要がありますので、それまでに一般の戦力として人材育成に力を注ぐ必要があるでしょう。では雇用形態が期間に定めのある雇用形態であった場合はどうなるでしょうか?当然手帳の不所持を理由とした解雇は不当解雇となります。
しかし、契約の更新をしないという形(雇い止め)は法律上の問題はありません(但し、非正規雇用であって、定められた期間ごとに定められた手続きを経ずに契約を更新していた場合は、雇い止めと見られず解雇とみなされる可能性もあります)。
安定的な就労によって障がいがなくなりますが、本人や企業にとっては雇用もなくなってしまうという不利益が発生してしまう可能性もありえます。本人が引き続きの雇用を希望する場合は未然にトラブルを防止するため、手帳の更新時期や本人の手帳更新の意思、医療機関・支援機関との密な連携体制があることが望ましいでしょう。
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StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。