Start NEXT!読者のみなさま、こんにちは。社会保険労務士の波多野と申します。この度ご縁があり、Start NEXT!にて記事を書かせていただくことになりました。企業の様々な労務問題をアドバイスする社会保険労務士という立場から障がい者雇用に関するお役立ち情報を発信してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
さて今回の話題は雇用数に応じた労務管理についてです。我が国日本では労働者を雇用する際には様々な事務が発生します。一般的には労務管理と呼ばれる類のものです。この労務管理は、労働者数が多くなればなるほど煩雑になってきます。多くなれば当たり前じゃないか、と言いたいところですが、そういうことではなく、労働者数によって行政に提出しなければならない書類の種類が増えるということです。今回はこの雇う労働者の人数によって気をつけなければならない労務管理について考えてみたいと思います。
そもそも労務管理とは、なんでしょうか。「労務」を辞書で調べてみますと、下記のように記載があります。
『① 報酬を受ける目的で行う労働勤務。』
『② 企業で、労働力の使用・管理に関する事務。』
「労務管理」でも調べてみますと、
『労働生産性を高める目的から,企業がその従業員に対して行う管理。人事・教育訓練・福利厚生・労働組合対策・人間関係管理などを含む。』
(以上3、『大辞林 第三版』三省堂より引用)
したがって、社員の皆さんが一所懸命仕事していただくために会社が行う職場環境の管理、ということになるのだと思います。
なんとなくですが定義は理解したところで、雇っている人数によって異なる労務管理を少しだけ整理してみます。まずは、個人事業主〜501人以上規模で考えてみます。
・個人事業主として一人で仕事する場合
誰も雇ってないので労務管理は必要ありません。
・労働者数1〜10人未満の法人
いよいよ人を雇い始めましたので労務管理がスタートします。
まずは、労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険の一般的に社会保険と言われるものを適用します。健康保険、厚生年金保険は取締役1名でも適用します。また、労働に関しては、社員の皆さんと働いてもらう契約をするのですが、これは必ず書面での通知が必要です。労働条件を口頭で伝えるだけではだめですよ。
次に、1日8時間を超えて仕事をしていただくことが予想されるようであれば「時間外労働・休日労働に関する協定届」の提出が必要です。これは通称「36協定」と呼ばれるものです。
また、健康管理といえば健康診断ですね。1年に1回必ず行いましょう。
・労働者数10人〜50人未満の法人
人も増え、手続きが少々面倒になってきます。また、人が増えることによって、社長一人が全員を見ることができなくなり、社長が考えるあらゆるルールをひとつひとつ作っていくこととなります。そのルールの一つに「就業規則」というものがあります。これはその会社で働く上でのルールブックであり、同時に労働の条件の一部となるものです。社員の皆さんにこの就業規則というルールを理解してもらって働いてもらうこととなるわけです。労働者10人以上になった場合は、この就業規則の作成と行政期間への届出は義務であるため、やらなかったら法律の違反となっちゃうのです。細かく書くと「労働基準法第89条」 違反として30万円以下の罰金となる可能性をひめているのです。こわいでしょ、、、国の許認可事業を行っている会社はこのような罰則を受けると免許取り消し、なんてこともあるようです、、、もっとこわいですよね、、、
・労働者数50人〜101人未満の法人
ここまでくると会社の中に幾つかの組織が立ち上がって、その部門の長が社長の代わりに指揮命令を行っていることでしょう。こうなるとなかなか社長の目が届かなくなってきます。また、人事部など労務管理を担う部署が立ち上がるころかと思います。
労務管理としては、衛生管理者や安全管理者、産業医の選任が必要です。衛生管理者については、資格要件があるので試験勉強する時間が必要です。ちなみに、私は1ヶ月ほど勉強してやっと取得しましたが、中には1週間の勉強で取得した強者もいるんです。産業医については、休職者との面談やストレスチェックなど少し慎重にならざるを得ないような業務を担っていただくこととなりますので、行ってもらえる業務の範囲や会社との相性などを確認したいところです。最近では産業医を紹介してくれる企業もあるので探してみるとよいでしょう。
次回は、100以上の場合について触れていきます。お楽しみに。
波多野事務所 社会保険労務士 波多野淳(はたの じゅん) 1977年2月21日生まれ 出身地 東京都武蔵村山市 趣味 ゴルフ、キャンプ 【所属団体】 東京都社会保険労務士会 公益社団法人立川青年会議所問い合わせ先 Start Next!運営事務局 startnext@start-line.jp |
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StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。