日本では、段階的な法改正とともに、一歩ずつダイバーシティを目指して、障がい者雇用の歩みを進めてきました。では海外ではどんな考え方が用いられているのでしょう? そこで今回は、海外の障がい者雇用について学び、アプローチの多様性について考えていきたいと思います。
世界における障がい者へのアプローチは3種類
障がい者雇用の考え方や取り組み方は、国によって違いがあります。フランスやドイツが行っているのは、企業に障がい者を割り当てるタイプのスタイル。まず企業の体制やあり方を整え、障がい者を受け入れるという「雇用率制」のスタイルで、日本の障がい者雇用も、この方法をモデルにしています。
一方アメリカなどでは、差別を禁止し、働く機会を均等に与えるというスタイルが用いられています。これは、企業が障がい者のために体制を整えるというよりも、障がいがあってもなくても、同じ数だけチャンスが与えられるべきという考え方。
もし、不当な差別により、自由な就労のチャンスが奪われたと感じるなら、訴訟を起こすといったケースもあり、障がい者であっても、自由であるべきだという形で雇用を進めています。
また、スウェーデンなどの国が行っているのは、差別禁止を基盤とした考え方で、公費を補助していくスタイルが用いられています。フランス・ドイツ型と似ているかもしれませんが、企業がメインとして障がい者雇用を進めていくというよりは、国民や国として、障がい者を支えるという体制と言えるかもしれません。
フランス・ドイツ型に近い日本の障がい者雇用スタイル
前述したように、日本の障がい者雇用のスタイルは、フランス・ドイツ型で、とくに障がい者雇用の法改正などは、フランスがモデルとも言われています。元々、戦争で障がい者となった人たちを雇用するために、法律が制定された経緯も似ており、差別禁止から、合理的配慮の義務を制定していった流れも同じ経緯となっています。
ちなみにフランスでは、障がい者雇用義務の履行方法に下記があげられますが、納付金を納めることでも、雇用義務を果たすことができるため、フランスの雇用率6%というのは、日本の制度とは少し異なり、実雇用率は2.8%(2010年)となっているようです
1.障がい者の雇用
2.保護労働セクターへの仕事の発注
3.障がい者の研修受け入れ
4.納付金の支払い
※ 納付金の基準は、200人未満の企業で、法定最低賃金の400倍、750名未満の企業で500倍、750名以上で600倍とされています。
日本における障がい者雇用のこれからと課題とは?
理想の教育システムや老後システムとして、ヨーロッパや北欧などが紹介されることも多いですが、日本にも独自の国民性や、積み重ねてきたものがあるため、海外とはまた少し違った、障がい者雇用が成熟しつつあります。
日本特有の問題としてあげられる「過労死」。英語でも「karoushi」と表現されることがあり、慎みや従順、忍耐などが美徳されやすい日本では、限界を超えてまで自分を抑制してしたり、無理をしてしまったりする人が多いのかもしれません。
過労死の例にあげられているように、ほかの人を尊重することや、迷惑をかけないこと、心地よく過ごしてもらう配慮などは、日本的な特質ともいえます。海外の雇用のいいところを取り入れつつ、こういった特質を踏まえて障がい者雇用を進めれば、より日本らしい、障がい者雇用の道が開けていくのではないでしょうか。
それぞれの国に、独自の文化や価値観があるように、障がい者の働き方にもさまざまな「正解」があるはずです。障がい者本人や支援機関と共に、さまざまな角度から、柔軟性を持って。障がい者雇用に臨んでいきましょう。
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StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。