障害者就業支援を通じて“誰もが自分らしく生きる社会”を目指す株式会社スタートライン (本社:東京都三鷹市、代表取締役社長:西村賢治)は、2025年11月5日(火)に、社員の障害理解を深め、より質の高い支援とインクルーシブな職場環境を実現するため、認定NPO法人サイレントボイス 代表理事 尾中 友哉氏をお招きし、社内オンライン講演会を開催いたしました。

開催の背景
今回の講演は、聴覚障害者の就労支援において、従来の「合理的配慮」の枠を超え、当事者の世界観や背景にある文化(ろう文化)を深く理解するために企画されました。講師には、CODA(Children of Deaf Adults:聞こえない親を持つ聞こえる子供)としての背景を持ち、革新的な教育・就労支援を行う尾中氏を迎え、当事者・家族・支援者という多角的な視点からお話しいただきました。
講演内容のハイライト
テーマ:「聴覚障害の体験、CODAとしての経験、社会課題&NPOでの活動について」
障害ではなく「言語的マイノリティ」としての視点
尾中氏は、両親が聞こえない家庭で手話を母語として育った経験から、聴覚障害者を「障害者」という枠組みだけでなく、「日本社会における『外国人』のような、異なる言語・文化を持つ人々」と捉える視点を提示しました。
「推測」の負荷を下げる「見てわかる支援」
口元の動きだけで言葉を読み取るワークショップを通じ、聞こえない人が日常的に行っている「推測」による脳の疲労(認知的負荷)を参加者が体験しました。音声情報の単なる文字化にとどまらず、太字や色分け、レイアウトを駆使した「優先順位が見てわかる情報設計」の重要性が解説されました。
「できない」ではなく「強み」への転換
尾中氏のお母様のエピソード(聞こえないからこそ、目配り・気配りが武器になる喫茶店経営)を通じ、環境とマインドセット次第で、障害特性が独自の強みに変わり得ることが共有されました。
受講した社員の声(アンケートより一部抜粋)
参加した社員からは、「これまでの支援観が変わった」「明日からの業務ですぐ実践したい」といった熱量の高い感想が多く寄せられました。
▼「障害=できない」という無意識のバイアスへの気づき
「お母様のお話しから、障害=必ずしもネガティブではない、と捉えている方もいるということが分かり、パワーを頂きました。サポートする側が先入観や推測のみで動くことは違った対応なのだと気付くことが出来ました」
「デフ(聞こえない人)=コミュニケーション面に壁があると思い込み、無意識に『できない』とカテゴリー分けをしていることに改めて気づかされました。ICTの精度が高まっている現代では、できることが増えていることを企業様にも伝えていきたいです」
▼「合理的配慮」から「相互理解」へ
「『合理的配慮』というと健常者が障害者へ提供するものと考えがちですが、互いに違う存在同士が相互理解を深め歩み寄るといった視点で、研修内容を捉えなおしてみたいと思いました」
「そもそも行き過ぎた配慮自体が、障害者と健常者を分けてしまっていると感じました。本人にとって何が本当に必要なのか、共に考えることが必要だと感じました」
▼明日からの具体的なアクション
「声でのやり取りが当たり前ではない環境を想像することで、視覚的な情報提供の大切さに気付きました。特に社内外の説明や案内では、伝わったかどうかを確認する姿勢を大切にしていきたいです」
「スタートとゴールは当事者からヒアリングする。プロセスは全員で考える。一方通行ではない方法を自分自身のサポート内容にも取り入れなければいけないと感じました」
今後の展望
講演で得られた「言語的マイノリティとしての尊重」や「情報の視覚的デザイン」といった知見を、日々の障害者雇用支援サービスの現場に還元してまいります。 今後も、外部の専門家や当事者の方々との対話を通じ、社員一人ひとりのDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)リテラシーを高め、誰もが自分らしく働ける社会の実現に貢献してまいります。
登壇者プロフィール
認定NPO法人サイレントボイス 代表理事 尾中 友哉 氏

滋賀県生まれ。聞こえない両親をもつ聞こえる子ども(CODA)として、手話を第一言語として育つ。広告代理店勤務を経て、2017年にNPO法人サイレントボイスを設立。聞こえない子どもたちの「好き・得意」を伸ばす教育事業や、企業の聞こえない社員向けの研修事業などを展開している。https://silentvoice.org/
【お問い合わせ】
株式会社スタートライン クリエイティブ・ブランディング広報 藤野祐輝
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