【三菱地所プロパティマネジメント導入事例】TASKI COFFEEは作業ではない!“共創”が生んだ障害者雇用の新しいかたち

全国主要都市のオフィスビル、商業施設の運営管理に携わり、多様なニーズに対応し、ビルの価値の最大化を実現している三菱地所プロパティマネジメント株式会社
2025年5月よりINCLU丸の内センター(インクルMARUNOUCHI)で導入開始した、TASKI COFFEEの活用事例を伺いました。(取材日:2025年7月)

▼インタビューを受けてくださった方
総務部 常勤アドバイザー 鈴木明美氏
総務部 主務 佐瀬啓恵氏

従業員数業種
1,442名(2025年4月1日)不動産(管理)

   

多様な人材が活躍できる環境づくりを目指す

―――TASKI COFFEE導入前の障害者雇用の状況を教えてください。

鈴木氏

私は、1年前に総務へ異動し、障害者雇用チームの運営に携わるようになったのですが、雇用が急速に進んでいた時期でした。

メンバーには、主にオフィスワーク系の業務を中心に担ってもらっています。
例えば、
• 社内便の管理・配達
• 環境整備(会議室の備品管理など)
• 事務業務(契約書等の電子化、書類整理、データ入力など)
• システムサポート(問い合わせの一次窓口対応など)
などです。

ノーコードツールを活用して業務効率化に貢献するメンバーもおり、個性に応じた組織配属を心がけていました。

―――幅広い業務を担って活躍されているのですね。

鈴木氏

はい。一方で、2年前に総務部所属メンバー10名だったチームが、現在では20名にまで拡大したことで、業務の切り出しやチームマネジメントの難しさを痛感するようになりました。

今後さらなる法定雇用率の引き上げで雇用が拡大することを考え、「多様な人材が活躍するには、どのような環境が必要か」という問いに人事企画部と共に真剣に向き合うようになりました。

誰でもそうだと思いますが、業務の得意分野は人によって異なります。
これまでは主にオフィスワーク系を考えていましたが、作業系など、より多くの業務バリエーションを用意することで、多様な人材が活躍する環境に近づくと考えました。

―――検討した施策と、なぜTASKI COFFEEを選んだのか教えてください。

鈴木氏

様々な施策を検討しました。
たとえば、ビール製造や蜂蜜加工なども候補に挙がりましたが、最終的にTASKI COFFEEを選んだ理由は、丸の内エリアで一緒に働けることです。

また、成果物のコーヒーも魅力的でした。
「仲間である社員が作っているコーヒー」は、親しみやすく、社内外に広がりやすいと考えました。

三菱地所プロパティマネジメントでは、TASKI COFFEEに携わるメンバーのことをカフェマスターズ(カフェマス)と呼んでいます。
コーヒーを通じて価値を届けるプロフェッショナルの位置づけで、自信と誇りを持って働いてほしいという想いが込められています。

―――カフェマス!素敵な名称ですね。なぜ本社ではなくINCLU丸の内センターで導入したのですか?

鈴木氏

作業スペースの確保がしやすかったことや、INCLU丸の内センターには、スタートラインのスタッフが常駐しているため、メンバーが安心して働ける環境が整っていたことです。

また、本社とINCLU丸の内センターは、同じ丸の内エリアにあるので、メンバーが行き来しやすい点や、他部署も含めた従業員同士が日常的に顔を合わせ、気軽にコミュニケーションをとれるため、丸の内エリアに新たな価値をもたらすと感じました。

作業系ではない!クリエイティブな業務を遂行

―――カフェマスの採用について教えてください。

鈴木氏

当初は3名の採用予定でしたが、面接を通じて「一緒に働きたい」と感じる方が多く、結果的に4名を採用しました。
採用時の母集団は30名ほどで、スタートラインの採用サポートを経て、最終的にはコミュニケーションのとり方やチームへの貢献意欲など、人柄や業務への姿勢を重視しました。

障害特性に関する配慮事項はしっかり確認しますが、それ以外は通常の採用と変わらない印象でした。素晴らしい方々を採用できて、嬉しく思っています。

―――順調に採用されたのですね。現在、どのような体制で業務をしているのですか?

佐瀬氏

現在は本社と隣接ビルに設置された2台のマシンでコーヒーを社内提供している関係もあり、2名ずつのチームにわけて運用しています。

主な業務として、ピッキング(豆の選別)、メンテナンス(マシンの管理)などを担ってもらっています。

1日の流れは・・・
午前の部
• 朝会(当日の業務・共有事項の確認)
• メンテナンス担当が本社へ移動し、マシンの管理・補充
• INCLU丸の内では豆のピッキング作業
昼休憩
午後の部

• 午後のメンテナンス担当が再び本社へ
• ピッキング作業の続き
• 清掃業務(執務室内の衛生管理)
• 振り返りミーティング(課題共有・マニュアル改善)
です。

振り返りミーティングでは、日々の豆の選別基準や衛生管理などの業務課題や改善点を皆で議論しながら、マニュアルをブラッシュアップして遂行しています。

―――業務のブラッシュアップを意識されていて素晴らしいですね。

鈴木氏

カフェマスは作業系ではなく、“クリエイティブな業務”と捉えています。

単に作業をこなすのではなく、衛生管理や作業効率を高め、より良いコーヒーを提供するために、チームで徹底的に議論を重ね、マニュアルを作成しています。

例えば、バケツの置き場所一つをとっても、単に「ここに置く』と指示するのではなく、なぜその場所に置くべきなのか、衛生面でどんな配慮が必要なのかを、みんなで考えています。

さらに部品洗浄する際にシンクに部品が直接触れることないように充分に配慮の上、
コーヒー抽出部とそれ以外の部位部別にスポンジを使い分け、衛生管理を徹底しております。また、そのスポンジについては、色分けをし誤使用を防止する取り組みも行っています。

こうした細かいルールも、一人ひとり「こうした方が良いのでは』と提案し、みんなで議論しながら決めています。
マニュアルは固定されたものではなく、日々の作業を通じて常にアップデートしています。

「ここがわかりにくい」「もっとこうしたら効率的」といった意見を、みんなで共有し、より良いプロセスを追求しています。
最大の特徴は、管理者が一方的に指示するのではなく、一人ひとりが主体的に考え、改善策を見出していく点です。

―――まさにクリエイティブな業務ですね。

佐瀬氏

振り返りミーティングでは、ファシリテーションをメンバーが担う場合もあり、一人ひとりの当事者意識と自己肯定感を高めています。

たとえば、静かだった方が少しずつ声を出せるようになったり、ホワイトボードに自分の意見を書いてくれたりと、積極性や個性が伸びてきていると感じています。

カフェマスが業務を行う場所は、もはや単なる作業場所ではなく、安心できる「居場所」になりつつあります。互いの個性を尊重し、それぞれが必要な役割を見出し、果たしていっているのです。

そうした積み重ねが“価値ある仕事”につながっていると感じています。

主体的な姿勢で自己成長を感じて欲しい

―――コーヒー(成果物)活用について教えてください。

佐瀬氏

社内提供して従業員の皆さんに楽しんでもらっています。
コーヒーは、1日で約1kgが消費されるほどの人気で、午前中にはなくなってしまうことが多くあります。

―――とても人気なんですね。従業員の皆さんの反応はどうでしょう?

佐瀬氏

非常に良く、ユニフォームを用意してオシャレなカフェのような雰囲気で提供することで、親しみを持ってもらえています。

「美味しかった」「頑張っていますね」といった声を従業員の皆さんから、直接かけてもらえるコミュニケーションもあり、働くメンバーにとって大きなモチベーションになっています。

「多様な人材が活躍する環境」への手応えを感じています。

―――最後に、今後の展望を教えてください。

鈴木氏

まずは、与えられた業務を100%履行してもらうことが前提にあります。
その中で、さらなる自己成長や達成感を感じてもらえればと思っています。
マニュアル作成や改善提案など、受け身ではなく主体的な姿勢が育まれているのは嬉しいです。

今後の成果物活用については、来客用提供や、ドリップパックにして、丸の内エリアのイベントでの一般配布などを考えていますが、まずは、安定的に従業員の皆さんに楽しんでもらえればと考えています。

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一杯のコーヒーから、社内のDE&Iを促進
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担当:TASKI COFFEEチーム(TEL:050-5527-8581)

この記事を書いた人

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株式会社スタートライン 吉田

企業の障害者雇用支援や障害者の就職・転職支援、特例子会社人事、障害者雇用の業務開発・マネジメント・農福連携などを経験。現在はスタートラインにて、障害者雇用のコンテンツ制作やセミナー講師などに従事。これまで500社、5000名以上の障害者雇用に携わる。