「他人のことは信用できない」
様々な経験から人間関係を構築することが苦手な方もいらっしゃいます。しかし、働く上で「信頼関係」は非常に重要です。「他人のことは信用できない」と話すSさんと徐々に「信頼関係」を築いてきたサポート事例を紹介します。
信頼していた人からの「裏切り」で「人間不信」に…
「人のことも、自分のことも、信用できないんです…」
幼少期に虐待を受けた経験や、以前勤めていた会社を退職する際に「裏切り」を感じるようなトラブルにあったことなどの影響で、「人を信用すること」「人間関係を構築すること」に抵抗感がある精神障害のSさん。
「特に、私を支援しようという人に対して、不信感を抱いてしまいます…」
現在の仕事でも体調面・メンタル面が安定せず、仕事の質やスピード、そして勤怠が不安定になっていました。
コミュニケーションの「壁」を取り除くための基本態度
当初、Sさんと面談を実施してもあまり話してくれず、常にコミュニケーションに「壁」を感じるような状態でした。そこでまずはその「壁」を取り除くために、以下2つの“カウンセリングの基本態度”を体現し、面談を繰り返しました。
≪実践したカウンセリングの基本態度≫
① Sさんの前で自分を取り繕わず、真摯に誠実に向き合うこと
② Sさんに共感的理解を示しながら傾聴すること
その結果、少しずつSさん自身のことを話していただけるようになっていきました。
信頼関係構築に必要な3つの要素
「この面談内容がいろんな人に知られると思うと何も言えません…」
自分のことが、誰にどのように報告されているのか気にしている様子も窺えたSさん。そこで、Sさんと私は以下の約束も結びました。
≪Sさんと結んだ約束≫
① 面談の議事録をSさんに共有し、内容や認識の齟齬を無くすこと
② 面談の議事録を誰にどこまで伝えるか、Sさんと確認すること
約束を丁寧に誠実に守ることで「この人には話して大丈夫だ」と思ってもらえるようになりました。
「誠実」に向き合えば「誠実」で返してくれる
「毎週面談をしているのに、(自分が)本音を話さないのは不誠実だと思う」
面談を繰り返して3か月目。そう発言したSさんは、以下2点を約束することで、本音で話してくれるようになりました。
≪Sさんと結んだ約束≫
① 面談内容は許可なく第三者に開示しないこと
② 不調に対する改善策を講じる際は、Sさんに事前相談すること
その後、関係者連携の必要性にも理解していただき、関係者と共に「課題」への対処を進めること半年。まだ課題は残っていますが、勤怠と仕事の質/スピードが安定しました。
「信頼関係」が私たちの「未来」をつくる
人間関係が苦手…
そこには様々な「要因」がありますが、仕事の中で「信頼関係」を構築することは可能だと考えています。なぜなら「信頼関係」は「未来」にあるものだから。
スタートラインの障害者雇用支援サービスは、真摯に誠実に一人ひとり一社一社に向き合い「信頼関係」を構築し、「誰もが自分らしく生きる社会」の創造のために歩みを進めてまいります。
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