「障害者雇用促進法」が改正され、障がい者の雇用率は、上昇傾向にあります。もちろん、それはとてもよいことですが、一方で、障がい者の収入という数字に関しては、あまり注目されていないという側面もあります。障がい者がただ雇われる存在から、企業の戦力としていく機運が高まるなか、この課題にも取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。
3人に1人は年収200万未満
2016年5月17日付けの調査結果によると、障がい者の98%が、年収200万円以下で生活しているという結果が出ました。これは、障がいをもっている方が通う作業所などが加盟している、きょうされん(東京・新宿)が、2015年7月~2016年2月に、作業所を中心に調査したものです。(参照:http://www.kyosaren.com/investigationInfo/2016/05/post-12.html )
調査では、生活保護受給者を除く、障がいを抱えている1万4332人の収入を尋ねたところ、98%が年収200万円未満と回答しました。
また、障害基礎年金2級受給者が42%、1級受給者が36%で、その他自治体からの独自手当を受けている方が8.6%で、その他の収入は、作業所などで働いて得る、数万円程度の賃金でした。(障害基礎年金の受給可能等級は1級と2級のみで、障害者手帳の等級とは別です。)
精神障がい者では、企業に働いている場合でも、53%が年収200万円未満で、正社員は15%にすぎず、36%はアルバイトやパート社員です。企業で働いている身体障がい者では、年収が200万未満は26%と、精神障がい者に比べるとやや高めですが、それでも、キャリアップの可能性がほとんどない、家族と同居でなければやっていけない方が多いようです。
実際に働いている障がい者の感じていること
障がい者本人の意見としては、「社会保険に加入できたからよかった」(50代女性・年収100万円未満)、「給料をもらえるだけまし」(20代男性・年収200万~224万円)、など、年収が低くても、働けるだけまだよい状況だと考えている人もいます。
ただ、なかには、キャリアアップをしないことや、ボーナスや退職金もないことを不満に感じている障がい者もおり、理想の年収は300万円~399万円という回答が最も多かったようです。
キャリアアップの可能性も雇用の課題としてとらえる
厚生労働省が発表した、「平成27年 障害者雇用の集計結果」によると、民間企業における障がい者雇用率は1.88%と過去最高だったものの、正社員は4人に1人であり、障がい者の約8割はキャリアップに関心があると回答しました。なかには、仕事の幅を広げたい、もっと精度の求められる、高いレベルの仕事をしたいと望んでいる方も多くいます。
企業にとっては、雇用率の達成は喫緊の課題であるといえるでしょう。ただ、雇用率が上昇しているいま、障がい者をより戦力として育てていき、向上心を持っている人に対しては、少しずつ昇給やキャリアップのチャンスを与えていくことも、必要になってくると思われます。
たしかに、変化に伴う適応能力という点では、障がい者にとって、ハードルとなることが多いかもしれません。それでも、個人の能力をより活かす仕事を見つけていくことは、企業にとっても障がい者にとっても大きな利益と喜びをもたらす可能性があります。
賃金は労働に対する正当な対価であると同時に、労働者の自信や生きがいにもつながります。与えられた仕事に対する能力は、障がい者であっても、健常者であっても変わりません。優秀な人材は企業にとって宝のようなものです。障がい者のなかに埋もれてしまっている宝を見逃さないようにしましょう。
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StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。
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