こんにちは。オフィス温度28℃の梶原です。
社員が意欲的に業務に取り組み、進化・成長していくことは、人材育成面から会社を支える企業の人事部にとって、もっとも重要なことですが、それは障がいを持つ社員であっても、全く同じことです。
人によって、得意・不得意、好き・嫌いがあり、そして環境への馴染み方も人それぞれであることも、また同じです。
障がいを持つ社員を雇用する上で、このスタート地点での軸がずれていると、障がい者を無用に特別視して、事業に貢献する大切なメンバーから除外してしまうことになりかねません。
これは本人にとっても、企業にとっても、とても残念なことです。
さて、今号と次号では、企業の人事部で障がい者雇用の責任者をしていた経験から、障がいを持つ社員に対する評価基準の設定方法や、スキルの磨き方について、お話ししたいと思います。
「3つの評価基準の要素」
まず、評価基準については、大きく3つの要素があると考えています。
一つ目は「企業理念に基づく行動基準」。
これは、社員であれば全員が目指すべき社員に求める行動基準ですが、ここで詳しくお伝えすることは控えます。
二つ目は、「体調管理と周囲への配慮に関する基準」です。
これは、体調を客観的に把握しながら自己管理し、安定的に就業する基準を設定することを意味しています。複数の障がいを持つ社員が活躍する組織であれば、周囲の人たちを理解しながら誰もが気持ちよく働く環境作りに自らも協力する、という姿勢も加わります。
そして三つ目は「業務スキル基準」です。
より質の高い、効率の良い業務ができるようステップアップしていくための基準です。
これら3つを各人の特性やコンディションに合わせて目標設定し、定期的な上長との面談の場で軌道修正しながら、半期に一度自己評価し、会社としての評価をしていくというサイクルを回していくというものです。
すでにお気づきかと思いますが、これは、企業で一般的に行なわれている目標管理から評価、給与や賞与などの処遇決定までの流れや型となんら変わりません。
異なるのは、上記でお伝えした二つ目の基準が加わることと、三つ目の基準設定を一人一人に合わせてより丁寧に行うことくらいです。
では二つ目について、具体的にお話ししていきましょう。
「体調管理と周囲への配慮に関する基準」
二つ目については、特に障がいを持つ社員が複数名働く組織であれば、必須の基準だと考えています。
頻繁に急に休む社員がいると、組織ではその人の仕事を誰かがカバーしなければならなくなるわけですが、カバーする側の社員が、「体調が悪いときはお互い様」といって物理的にも精神的にもフォローし合えるのも限りがあります。
また、そういう状況が続くと、その社員がいなくても回る仕事量や業務工程に変更することにも繋がります。
こうなると結果的に、会社にいづらくなってしまい、休みがちになってしまう、という不幸な悪循環を生み出しかねません。
こうした状況を避けるため、(これは入社前の面接時に採用可否を判断する重要な基準でもありますが)社員本人に、
「どういう時に体調が崩れやすいのか?」
「体調が崩れた時にはどういう対処方法があるのか?」
などを具体的な過去の事例も含めて把握しておくことが大切です。
その上で、本人に就業に関する目標設定をしてもらいます。たとえば「毎日、遅刻をせずに出社して、始業10分前には席についている」など、です。
人によっては、遅刻をしないために、毎日10時にはベッドに入るといった行動を促すことも必要かもしれません。
ポイントとなるのは、会社側から「こうしてください」と伝えるのではなく、本人との話し合いの中で、本人が自ら決めるというプロセスを踏んでいただくことです。
もちろん、決めたら決めっぱなしにせず、上長との面談の場で、出来ているのか、そうでないのか、をお互いが確認し、出来ていないとすればどうしたらできるのか?を考え、新たに目標設定の要素にすることをお忘れなく。
小さなことに聞こえるかもしれませんが、これは、自分で決めた目標を達成するという成功体験となり、次のさらに高い目標へのエネルギー源となります。
次号では、上に挙げた評価基準要素の三つ目である「業務スキル基準」について、お話しします。
梶原 温美(かじはら はるみ) オフィス温度28℃代表。 専門分野は、障がい者の雇用支援、人材育成、キャリア支援。 「自身の特性に向き合う人たちが尊重し合い、自走しながら事業に貢献する組織創り」を基本理念としている。 問い合わせ先 Start Next!運営事務局 startnext@start-line.jp |
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