記憶に新しい熊本地震や、まだまだ大きな傷跡が残っている東日本大震災、防災やボランティアの意識を高めるきっかけになった阪神大震災など、日本は地震大国です。その他、気象の変化により、台風や竜巻といった被害も見られます。業務中にそのような事態になれば、もちろん避難が必要ですが、障がい者従業員の避難のことまで、考慮に入れているでしょうか?
災害時の避難方法にも差別が起こる
災害時は、テレビやラジオなど、目と耳で情報を取得することがほとんどです。社内放送なども使って、避難通路や避難階段を使って、屋外へ避難します。健常者であれば、それについては、なんの問題もないでしょう。避難訓練でも、問題なく終わることがほとんどです。
しかし、障がい者が安全に避難するためには、もう少し特別なものが必要になります。視覚障がい者は、目で見て状況を判断できません。聴覚障がい者であれば、耳で情報を得られませんし、身体障がい者は、通常の避難経路を使うことができないかもしれません。
ある職場で、車いすが必要な従業員の女性が、避難訓練に参加することになりましたが、非常階段は使えないために、結局エレベーターで避難場所へ移動することになってしまったようです。しかし、実際に地震が起きたときなどは、エレベーターで避難することは不可能です。
このように、平和な日常ならなんの差別も見受けられないとしても、災害時の避難という状況において、ハンデをもった従業員が、大きな危険にさらされてしまうという事態が発生してしまうこともありえます。
障がい者にとって必要なものは
実際に、震災などで死亡に至る障がい者は、健常者よりも多くなってしまうのが現実のようです。たしかに、逃げるのが遅れるなどの事情もありますが、それ以上に「危機を察知できなかった」障がい者が多くいたのではないかと指摘されています。
障がいを持っていても危険を知らせるためには、視覚・聴覚から、緊急事態であることが、はっきりわからなければなりません。たとえば、ある聴覚障がい者がいる職場では、赤・青・黄の3色ランプが部屋に設置されており、色の組み合わせで、緊急情報を伝える仕組みが導入されています。
その他、文字がはっきり見える電光掲示板や、ただ緊急事態を知らせるだけでなく、細かな避難指示まで、耳で聞いてわかる体制を備えておく必要があります。
助成金制度も利用して、避難用設備を整える
障がい者が、災害避難時に必要なものは、ランプやスロープなど、さまざまなものがありますが、設置に費用がかかってしまうものです。そんなときは、「障害者作業施設設置等助成金」の利用を検討できるかもしれません。
ただ、「障害者作業施設設置等助成金」は、基本的に仕事の作業に対しての助成金のため、設置の必要があると認められなければならなりません。まずは、助成金に詳しい社会保険労務士などに相談してみるとよいでしょう。また、車いすが必要な障がい者が階段を降りるために、階段避難車(機)などもあるため、それらを購入する際にも助成金が認められた事例もあります。
いずれにしても、身体・知的・精神障がい者それぞれが、安全に非難するために、前もって準備をすること、従業員同士の協力体制を作っておくことが必要です。
普段は忘れがちな、障がい者の災害時の避難経路や、防災対策についても、しっかり考えておく必要があります。とくに、地震などは、いつ起こるかもわからないうえに、増加傾向にあります。障がい者を雇用すると同時に、平等に守るべき命として考え、できる対策をとっていきましょう。しっかりと対策ができているなら、災害時でも安心して避難できる職場として、アピールすることもできるはずです。
障がい者雇用のことならなんでも相談ください
株式会社スタートラインは、様々な障がい者雇用支援サービスを提供しております。
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StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。
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