Start NEXT!読者のみなさまこんにちは!株式会社セプティメルスポーツの水上航太郎です。
突然ですが、デフリンピックというスポーツ大会はご存知でしょうか?国際オリンピック委員会がオリンピックの名称使用を認める大会の1つ(オリンピック、パラリンピック、デフリンピック、スペシャル・オリンピックスの4つが認められている)で、第1回大会は1924年という歴史と伝統ある大会です。
デフ(deaf)という言葉が表すように、対象は聴覚障がい者。今回は、日本ではまだ認知度の低いデフリンピックとデフスポーツについてご紹介したいと思います。
1924年にパリで最初の大会が開催されたデフリンピック。国際ろう者スポーツ委員会(ICSD)が主催で、夏季・冬季大会がそれぞれ4年に1度行われています。前回大会は夏季が2013年にブルガリア、冬季は2015年にロシアで開催。どちらの大会も日本人選手が多く参加しており、世界中のデフアスリートとその力を競い合いました。次の夏季大会は来年2017年にトルコで開催予定です。
世界大会であるデフリンピック以外にも、アジア・太平洋大会等の地域大会が行われているデフスポーツ。国内に目を向けると、様々な競技が行われる全国ろうあ者体育大会があり、夏季大会は毎年、冬季大会は直近の2大会が2010年と2014年に開催されています。競技毎の日本選手権も行われており、知る機会が少ないだけで、日本各地で多くのデフスポーツ大会が開かれているのです。
また、陸上や水泳では、ジャパンパラ大会やパラ日本選手権に聴覚障がいのある選手が出場しています。陸上ではT60やF60、水泳ではS15やSB15のようにクラス分けされているので、これらの大会に行けばデフ選手の存在に気づくことと思います。
ここまで様々な大会をご紹介してきましたが、そもそもデフスポーツの特徴とは何なのでしょうか。
幾つかありますが、最大の特徴は補聴器を使用しないで競技すること。ICSDと日本国内の基準は若干異なりますが、デフスポーツ大会に参加できるのは、普通の会話が聞こえにくい難聴の選手たちから。普段補聴器を付けていてもほとんど聞こえない選手もいますから、競技中は大きな声でもほとんど聞こえない、または無音に近い状態となります。
チームスポーツであればチームメイトやコーチからの声は聞こえませんし、個人競技でも対戦相手の発する様々な音が聞き取れません。
果たして、無音状態でスポーツをするというのはどのような体験なのでしょうか。普段の生活で、例えば音楽を聞きながら歩いていて、後ろから来る車に気が付かないという状況を想像することはできます。しかし、全ての力を競技に注いでいる状況は、また全くの別物でしょう。リレーでバトンを受け取る、柔道でわずかな息遣いから相手の様子を窺う、サッカーでオフサイドトラップを仕掛ける。音が聞こえないとしたら、このような場面をどうやって乗り切るのか。そう想像しながら観るのが、デフスポーツ観戦の醍醐味だと私は考えています。
みなさまもデフスポーツを観戦する機会があれば、デフアスリートの身になって可能な限り想像力を働かせてみてください。デフスポーツの魅力だけではなく、これまで気が付かなかった競技自体の面白さも、きっと発見できるはずです。
株式会社セプティメルスポーツ 水上 航太郎 1981年札幌市生まれ。 1993年のJリーグ発足をきっかけに、スポーツ観戦がライフワークの1つとなる。サッカー好きが高じて大学卒業後にバルセロナに渡り、現地で日本向けのライター職などをしながら3年スペインに滞在。帰国後はIT関係職に就きスポーツを趣味として楽しんでいたが、2013年に株式会社セプティメルスポーツを設立し現在に至る。 趣味は旅行とスポーツ観戦。最近特に好きなスポーツはアメフト、クリケット、ボッチャ。 株式会社セプティメルスポーツ パラタイムズ |
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StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。