昨今、ダイバーシティ&インクルージョンという言葉を耳にする機会が増えているのではないでしょうか?
ダイバーシティ&インクルージョンは「人材の多様性(=ダイバーシティ)を認め、受け入れて活かすこと(=インクルージョン)」です。
性別、年齢、国籍などが違う人々に、それぞれの個性や能力に応じて活躍できる場を与えよう、という考え方です。
具体的には
・女性の活躍推進
・高齢者の活躍推進
・障がい者の活躍推進
・LGBTの理解促進
などが挙げられます。
そのような時代の中、株式会社スタートライン(以下、スタートライン)主催のウェビナーEXPO2020~障がい者雇用withコロナ~が開催されました。
ウェビナーEXPO2020~障がい者雇用withコロナ~とは?
ウェビナーEXPOは、全6日間、6テーマとなっております。
障がい者雇用に関する主要テーマごとに、企業ご担当者様をお迎えし、各社の取り組み事例をご紹介しております。
第2回目は、主に人材派遣および人材紹介サービスを提供している株式会社ビースタイルスマートキャリア(以下、ビースタイル)の代表取締役社長、宮内修氏(2020年11月講演当時)ご登壇のもと、『なぜ、社内の女性活躍を推進することが企業の成長につながるのか?』というテーマでお話しいただきました。
経営者や人事担当者の中には、
・ダイバーシティ&インクルージョン に取り組みたい
・女性に長く働いてもらいたい
・女性が働きやすい環境を整えたい
などと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
社内の女性活躍の推進やダイバーシティ&インクルージョンを取り組むうえで、ぜひ参考にしてください。
目次
- 女性の多様な働き方を広めて活躍してもらう
- 女性の活躍が今、企業の成長に必要な3つの理由
- 日本の女性活躍の現状はどうなのか
- 既婚女性のキャリアは4つのタイプに分かれる
- これからの女性活躍に必要な人事制度・マネジメントとは
- まとめ:キャリアタイプに合わせたマネジメントで活躍の幅を広げる
女性の多様な働き方を広めて活躍してもらう
■ ビースタイルの事業について教えてください。
ビースタイルは、2020年4月からビースタイルグループという形で運営しております。
我々が所属するビースタイルスマートキャリアは、人材派遣及び人材紹介の領域を担っております。「人と企業へ、最高の出会いと発展を」というビジョンのもと活動をしております。
弊社は時短で働く女性に特化した人材派遣会社として設立した経緯があり、事業の特徴としては、キャリアのある既婚女性を中心とした人材派遣・紹介に強みを持ちつつ、近年は、時短に限らずハイキャリア・専門職の人材サービスまでおこなっております。
主な事業内容としては、2つのブランドをやっております。
1つは 「スマートキャリア」 という名前で、優秀なハイスキル・即戦力層における人材派遣・人材紹介を行っております。
もう1つは「BIZ-directors(ビズ・ディレクターズ)」というブランドで、様々な部門の事業課題に合わせて、より適正なプロフェッショナル人材を紹介させていただいております。
女性の活躍が今、企業の成長に必要な3つの理由
■女性の活躍が企業の成長につながるとありますが、なぜ女性の活躍が今企業に必要なのでしょうか?
女性の活躍が今企業に必要な理由は主に3つあります。
その3つの理由を紹介させていただきます。
1つ目は労働力不足です。
昨今は、新型コロナウイルスの影響で、求人倍率自体が下がってはいるのですが、中長期的に見ると、少子化の影響を受けて労働力不足であることが日本の社会課題になると予測されます。
10年後の2030年にはトータルで約644万人、特にITや専門職といった人材不足が見込まれると言われています。
600万人以上の人材不足を考えたときに、男性だけで企業の成長を支える優秀な人材を確保することは困難です。そのため、女性も含めた優秀な人材確保のために働きがいのある環境を作っていくことが大切になります。
2つ目はマーケットが女性中心になってきていることです。
消費の8割は女性だと言われています。実際どの年収帯においても女性の方が男性よりも消費量が高いというデータも出ています。コロナの影響で、自宅で受けられるサービス、いわゆる「巣ごもり需要」が高まっていますが、巣ごもり需要として挙げられる、動画配信サービスやフリマアプリなどのサービス利用者数も女性の方が男性よりも多いです。
このように、マーケットは年々女性中心になっていく中で、サービスを提供する側の企業の従業員が男性中心になってしまうと、顧客視点がずれてしまい、顧客のニーズがつかめないことが起こります。
3つ目は、次世代対応のためです。
現在、20代後半から30代の方々は「ミレニアル世代」と言われています。
一方で、10代から20代前半の方々は「Z世代」と言われています。今年新卒で入社した方々はここに当てはまりますね。5年後から10年後には、このミレニアル世代とZ世代が今後の企業の中心世代になっていくことでしょう。
ミレニアル世代とZ世代の特徴は、インターネットやSNSが生活の一部になっているので、非常に多くの情報を毎日目にしています。
SNSなどでそれぞれが情報発信をしているので、個性を尊重して多様化していくと考えられると同時に、ダイバーシティ&インクルージョンに関心が強いです。
また、社会問題にも当事者意識が高く、公平・平等を好む傾向にあります。
以前とある中学校にお邪魔したときには、すでにSDGsを授業で取り上げていました。非常に社会問題を身近に感じている世代でもあります。
自分の所属する会社や、自分が関わるサービスが、女性や障がい者の活躍などのダイバーシティに積極的でない印象を与えてしまうと、心離れしてしまう傾向があります。さらには、SNS等で悪く言われてしまうこともあるようです。
今回紹介した
・労働力不足
・マーケット対応
・次世代対応
この3つに対応して企業を成長させるためには、女性活躍の必要性があるでしょう。
日本の女性活躍の現状はどうなのか
■日本の企業の女性活躍の現状はどうですか?
企業の中での管理職の比率は、少ないのが現状です。
女性の労働力率を調べたデータによると、30代の既婚女性は結婚を機に退職されることが多く、労働市場に参加できていないことが明らかになっています。
女性活躍を考えたときに課題となるのは、既婚女性をいかに活躍させられるかがポイントです。
■女性活躍に関する課題を解決するためには何が必要ですか?
この課題を解決するためには、男性と女性の違いやキャリアに関する理解を深めることが重要です。男性と女性の違いという点だと、基本特性や仕事の進め方、思考のタイプなどに違いがあります。
例えば、男性が論理的な思考タイプを持つことに対し、女性は感性を重要視した思考タイプを持っているといわれています。
経営やマネジメントには、論理的な思考や成果などが求められる傾向にあるため、管理職には男性が多いです。
しかし、社会の需要が女性中心に変化してきている昨今、感性やコミュニケーション、プロセスなどを求められるようになってきています。
論理的な思考や成果などから、感性やコミュニケーションを重視するようにシフトすると、女性活躍と企業の発展につながっていきます。
既婚女性のキャリアは4つのタイプに分かれる
■女性の中でもキャリアタイプが異なると思います。具体的にはどのようなキャリアタイプが考えられるでしょうか?
ビースタイルでは、既婚女性のキャリアを大きく4つのタイプに分けて支援をしております。
1つ目が、「バリキャリウーマン型」で、男性と変わらず働いていくタイプです。管理職になる女性はこのタイプの方が多いです。
2つ目が、「ライフスタイル重視型」です。
結婚・出産を機にプライベートを優先するようになり、空き時間でパートタイム勤務を希望するタイプです。
プライベートに対して仕事の影響が少ないことや、周りに貢献することをモチベーションにしている傾向があり、サポート職やオペレーション職に向いています。
3つ目が、「キャリア・ライフ両立型」です。
ここ数年で増加しているタイプで、仕事と家庭の両立を目指しているタイプです。
結婚 ・出産をしてもキャリアを継続し、スキルアップやキャリアアップをモチベーションにしています。適正職種としては、企画系や事務系のスペシャリストなどが挙げられます。
4つ目は、「シングルマザー型」です。
子育ての負担が重くなりやすく、長期的な視点で職を探す傾向にあります。
給与が高いことや、周囲のサポート体制が整っていることが働くことのモチベーションです。フィールド系の営業職や、カスタマーサクセス職が適正職種として挙げられます。
これからの女性活躍に必要な人事制度・マネジメントとは
■これから女性活躍の幅を広げるためには、何が必要でしょうか?
既婚女性の4つのキャリアタイプの比率を見ると、ライフスタイル重視型が多く、近年キャリア・ライフ両立型やシングルマザー型が増加してきています。
そのため、増加傾向にあるキャリア・ライフ両立型とシングルマザー型に対してうまく対応できると、女性活躍の課題解決につながります。
具体的にキャリア・ライフ両立型とシングルマザー型の方に対しての人事制度・マネジメントを紹介します。
キャリア・ライフ両立型の方は、正社員希望が多いです。
短時間正社員の制度や、週4日正社員制度を導入することでキャリアの保障をしたり、選択式リモートワーク導入や、一時抜け勤務を認めたりすることでライフスタイルに合わせた働き方にすると、安心して働くことができます。
また、仕事へのモチベーションを保つためのマネジメントもポイントです。例えば、スキルアップのための専門性トレーニング促進や、新プロジェクトへのアサインなどです。
シングルマザー型の方は、成果重視の評価・報酬体系や、フレックス勤務・選択式リモートワークなどの勤務制度を定めることが効果的です。
また、残業時にお子さんのお迎えやオフィスでの待機を認めることもシングルマザー型の女性が働く手助けになります。
働き方によって、コミュニケーション不足が見られる場合は、定期的なコミュニケーションをとることでモチベーションが上がり、活躍してくれる傾向があります。
まとめ:キャリアタイプに合わせたマネジメントで活躍の幅を広げる
労働力不足・マーケット対応・次世代対応の3つの理由により、女性活躍の必要性が非常に高いです。
今回紹介した女性の4つのキャリアタイプに合わせた人事制度やマネジメントを意識してみましょう。女性の活躍によって、これからの企業の成長が見込めるようになります。