10日間で30万人以上が来場!パラ陸上世界選手権に観客が集まる秘密とは?

Start NEXT!読者のみなさま、こんにちは。株式会社セプティメルスポーツの水上航太郎です。

7月14日にロンドンで開幕したパラ陸上世界選手権。2012年ロンドンパラリンピックの舞台にパラアスリートが帰ってくる!と、現地では大会前から大きな注目を集めていました。その一番の証拠が、開幕前に既にチケットが23万枚以上売れたという事実。1日平均で2万人以上の観客が、パラアスリートの活躍に大歓声を送るシーンは圧巻でした。

なぜロンドンではパラ陸上の大会に、これだけの観客がお金を払って来場するのでしょうか。

大前提にあるのが、よく言われていることですが、ロンドンパラリンピックを体験したことにより、人々が障がい者スポーツを見て楽しむものだと考えるようになったこと。元々イギリスはスポーツを楽しむことに関しては世界でも有数の国ですから、障がい者スポーツも、他のスポーツと同じ枠で捉えるようになったのは非常に大きい変化だったのでしょう。

スタジアムへと続く道は午前中から多くの人で賑わった
スタジアムへと続く道は午前中から多くの人で賑わった

 

この前提がある上で、これだけ盛り上がったのは上手なチケット販売の結果だと感じています。

今大会は、8月4日開幕の世界陸上と同じ組織委員会により運営されています。世界トップクラスのスポーツイベントを運営するスタッフにより、2つの大会が1つの夏の陸上のお祭りとして大々的に宣伝されてきました。#FillTheStadium(スタジアムを満員にしよう)キャンペーンの呼びかけに、ハリー王子が参加したことも大きな話題を呼びました。

宣伝の内容としては、ロンドンやリオで活躍した既に知られている選手を全面に押し出したものが目立ちました。テレビや新聞でも大きく取り上げられるのは彼ら有名選手。そしてチケット販売サイトでは「この選手を観るにはこの日のチケットを購入!」と、直感的にわかる売り方がされていました。ちなみにチケットの定価は、大人がカテゴリー毎に45、25、15ポンド(約6750円、3750円、2250円)、子供が5ポンド(約750円)。定価で購入した人々は、この大会にそれだけの価値があると考えたということでしょう。

ただし、全てのチケットが定価で販売されたわけではありません。24時間限定で大人9ポンド(約450円)、子供3ポンド(約150円)の大セールが実施された他、学校を対象に子供3ポンド、付添の大人無料など、様々なキャンペーが行われました。

また、チャリティー団体や地域スポーツクラブなどを対象に、大人5ポンド、子供3ポンドでチケットを販売。この取り組みには、地元ロンドンのサッカークラブであるトッテナム、フルハムやアーセナル、ロンドン以外のレスターやサウサンプトンなど10のサッカークラブも参加しており、各クラブの財団などを通してホームタウンの人々にパラ陸上観戦の機会を提供しています。

スタジアム外の表彰式会場にも多くのファンが詰めかけた
スタジアム外の表彰式会場にも多くのファンが詰めかけた

 

このような様々なチケット販売キャンペーンの結果が、会場の大観衆だったのでしょう。しかし最も効果的だったのは、一部を除いて入場料を無料にしなかったことだと考えています。極論を言えば、入場無料とは主催者が「お金を払って観る価値が無い」と表明していると受け取られかねません。「お金を払って観る価値がある」としたからこそ、人々も興味を持ってチケットを買い、足を運んだのではないでしょうか。

お金を払った人たちが満足してスタジアムを後にすれば、別の障がい者スポーツイベントにもお金を払って足を運ぶはずです。ロンドンではパラリンピックの満足があり、今回のパラ陸上世界選手権に多くの人が来場しました。東京でも同じサイクルを再現できるのか、気になるところです。

 

20160623emori_rogo 株式会社セプティメルスポーツ
水上 航太郎
1981年札幌市生まれ。
1993年のJリーグ発足をきっかけに、スポーツ観戦がライフワークの1つとなる。サッカー好きが高じて大学卒業後にバルセロナに渡り、現地で日本向けのライター職などをしながら3年スペインに滞在。帰国後はIT関係職に就きスポーツを趣味として楽しんでいたが、2013年に株式会社セプティメルスポーツを設立し現在に至る。
趣味は旅行とスポーツ観戦。最近特に好きなスポーツはアメフト、クリケット、ボッチャ。
株式会社セプティメルスポーツ
パラタイムズ

 


障がい者雇用のことならなんでも相談ください
株式会社スタートラインは、様々な障がい者雇用支援サービスを提供しております。
興味をお持ちいただけた方は、まずお気軽にご相談ください。


この記事を書いた人

STARTNEXT!

StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。

STARTNEXT!
障がい者雇用について最新の情報をメールで簡単に購読できます

この記事を書いた人

アバター画像

Startline編集部

この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障害者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。