StartNEXT!をご覧の皆さま、こんにちは。
わたしは日々サテライトオフィス(サポート付きシェアオフィス)で働く障がいをお持ちの方へのサポートをしています。サポートと言っても様々ですが、今回は発達障がいの方へ向けたサポートについてご紹介したいと思います。
まず第一に「発達障がい者へのステップアップに必要な心得」とタイトルで明言させていただきましたが、正直なところ「特効薬のような魔法の杖は存在しない」と言えるでしょう。
それはなぜか・・・発達障がいとは主に脳機能の障がいからくる「行動面」の問題を抱えているからです。他人の「行動」を改善することは、思っている以上に難しいものだと私自身日々のサポートで実感しております。ただ難しい中にも「的確なサポートを継続」することで、発達障がい者の成長へ繋げることが出来ることも同時に実感しております。今回はそのサポートにおいて必要な心得を皆さまにお届けしたいと思います。
その前に発達障がいについて既にご存知の方もいらっしゃると思いますが、あらためてお話させていただきます。
発達障がいってどんな障がいなの・・・?
発達障がいとは発達障害者支援法には「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されています。
主な特徴としては・・・・
・コミュニケーションの障がい(対人関係上の距離感がわからない)
・想像力の欠如(暗黙のルールがわからない)
・多動・衝動性が強い(じっとしていられない、思ったことを口にしてしまう)
・同一性へのこだわり(急な予定変更が苦手、特定の物事にこだわる)
・整理整頓が苦手(物をなくす、忘れ物が多い)
・時間管理が苦手(遅刻が多い、締め切りを守れない)
・2つ以上のことを同時に処理することが難しい(電話をしながらメモが取れない)
・感覚の過敏性(他人は気にならない音や光が気になる)
発達障がいは上記のような特性ゆえに「変わった人」と思われてしまい、一方的に叱責されたり、厄介な人と誤解されてきた経験から二次障がいとして「適応障がい」、「うつ病」などを羅患することが多いこともあります。また社会へ出た途端に仕事や対人関係が上手くいかず「発達障がい」と大人になって初めて自覚する人たちが少なくないこともあります。その中には「両方が合併している混合型が多い」ため、職場で初めて「発達障がい」と出会う方々の多くは「障がい理解」や「障がい配慮」が行き届かず、結果精神障がいの症状が現れ休職や退職等・・・と、社会的に見ても発達障がいについてまだまだ認知度と理解度が低いと言えるでしょう。
ここまでご覧なっていると恐らく大半の方が「やっぱり発達障がいは雇用上難しい・・・」とマイナスイメージをお持ちになっているのではないでしょうか。確かに「発達障がい者」のサポートは容易ではありませんが、的確なサポートと必要な心得を持って対応することで、着実なステップアップを踏むことができるのです。
心得その1.ミスを叱るのではなく原因を突き止める!
わたし自身これまでの部下育成でミスが起きると「出来なかった結果」を叱ってきた経験があります。しかしながら、そうすると起こりうる結果のほとんどが「怒られた」「自分はダメな人間なんだ」等のネガティブな感情や思考が残るだけなのです。そのような経験からわたしも過去に苦い思いを散々してきました。
また叱られた本人は「自分が出来ないのは●●のせいだ」等と批判的・攻撃的・反社会的行動傾向が強まってしまうことが大いにあります。ミスの再発を防ぐ近道は「なぜミスが発生するのか」の原因を探り、その原因に対する対策や補完手段を本人が自分で選択し、実行することが望ましいでしょう。ここでポイントなのは「自分で選択すること」です。自分で選択した物事には責任感や自発性が生まれるからです。
心得その2.説明や指示は簡潔・具体的・はっきりと!
発達障がい者は「あれ」、「それ」、「すぐに」、「あとで」などの曖昧で抽象的な表現の理解が苦手です。ありがちなのが「この資料すぐに作成して」と指示をしたものの、いつまで経っても提出がないな・・・なんて経験ございませんか。発達障がい者にとって「すぐに」という時間の幅はあまりにも曖昧で「いつまでか」わからないからなのです。また長文の説明を一度で理解することも苦手です。そのため説明や指示を伝える時は手順ごとに且つ、締切や場所など明確に出来る物事は具体的に伝えしましょう。
また俗に言う社会の暗黙のルールを知らない、わからないことがあります。一方的に叱責することは望ましくないですが、「いけないこと・迷惑になること」ははっきりと伝えましょう。その時に必ず「置き換えの行動」を具体的に伝えることも忘れずに・・・。そうでないと「禁止・否定された」という印象のみが残る可能性が高くステップアップには発展しにくいでしょう。
心得その3.情報は可能な限り可視化する!
想像力の欠如などから口頭指示や時間管理が苦手なことが多い発達障がい者は、頭の中だけで情報を整理することが難しく、タスク管理において不安や混乱を招きます。そこでポイントになることは口頭指示のみに頼らず、「可視化」することです。つまり頭の中に入ってきた情報を書き出して「視えるようにする」ことで、優先順位が整理しやすくなるでしょう。「可視化」では付箋やToDoリストの活用が多く、わたし自身も日々のサポートで活用しています。付箋は終わったタスクは破棄というルールを設けると更に視覚的にわかり易く、タスク管理の補完となり得るでしょう。またToDoリストは優先順位や順番で書き出すと段取りを組みやすくなるでしょう。
心得その4.専門的な意見を活用!
発達障がいに限った話ではありませんが、的確なサポートをするうえでは提供する側の正しい理解が必要不可欠です。これだけインターネットが盛んな時代となった今は、「発達障がい」というキーワードで膨大な情報が転がっています。正直その中から現状に見合った必要な情報だけをピックアップすることは至難の業と言えるでしょう。そのため発達障がい者へ着実なステップアップへは、外部研修などに参加し専門的な意見を活用し正しい知識を得ていただくことをおすすめします。間違ったサポートは互いに苦しいのはもちろん、ステップアップには程遠いものとなってしまうでしょう。
最後に発達障がい者のサポートに限られたことではありませんが、心得に併せて「継続していくこと」、「一緒に取り組むこと」が必要不可欠であることもお伝えいたします。その中で見えてくる成長を互いに確認することでモチベーションアップにも繋がるからです。また仕事をしていると苦手克服ばかりに目がいきがちになりますが、得意なことを伸ばすことも大事な心得であるとわたしは考えています。
サポートにおいて正解はなく失敗も多くあります。ですが失敗から学び、その先の方法へ繋げることで更なるステップアップに繋がるのではないでしょうか。
現在発達障がい者に関わっている方、これからの方も・・・是非的確なサポートを継続し、必要な心得をもとに発達障がい者へのステップアップに繋げてみてはいかがでしょうか。
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StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。