こんにちは。オフィス温度28℃の梶原です。
最近は、障がいを持つ人と一緒に働く職場が増えてきています。
過去に複数の企業で人事担当として障がいを持つ人の雇用を促進する役割を担っていた私にとっては、やりがいを持って働く障がい者が増えることはとても嬉しいことです。
ところが、日本にあるほとんどの業種業態で深刻な人材不足が叫ばれる現在、企業が従来の業務フローや分担を見直すことで、障がいを持つ人のスキルを活かすことができる余地は、まだまだたくさん眠っているように感じます。
加えて、障がいを持つ人に継続的に事業に貢献する働き方をしてもらうために、企業ができることもまだまだたくさんあるように感じます。
日本における障がい者雇用はもっと進化していく要素がたくさんありますね。
さて、今回は、障がいを持つ人をよく理解するための面接についてお話ししたいと思います。障がいを持つ人への質問として、聞いてはいけないことがたくさんあるのも事実ですが、そこに注意するあまり、聞かなくてはいけないことを聞かずに、誤った合否判断を下すことになっては、お互いに不幸です。ここでご紹介する質問例を参考にしていただければ幸いです。
まず最初に面接の雰囲気作りです。採用面接の良し悪しは、最初の数分間のコミュニケーションにかかっていると言っても過言ではありません。面接の仕方は、企業それぞれにスタイルがあると思いますが、特に障がいをもつ人との面接では、相手がリラックスして、「この人には何でも話をして大丈夫だな」という気持ちになれる場を創ることが大切だと思います。お天気の話でもいいですし、趣味の話でも良いでしょう。できれば一方的に質問ばかりをするのではなく、同じトピックに関して面接官自身についてもお話しすると、相手も面接官がどういう人か?を知ることで安心できて、その後の質問にも答えやすくなります。
その上で、障がいについてはきちんとヒアリングしましょう。もちろん、遣う言葉に配慮は必要ですが、ここは遠慮せず、具体的に質問し、理解をすることが肝要です。
以下は、面接時の質問例の一部です。
「どんな障がいを持っているのか?」→病名だけ聞いても、症状は一人ひとり異なりますし、時には病名だけでは想定できない配慮が必要なケースもあります。「あなたの場合はどんな特徴がありますか?」と聞くことで、より具体的な情報を集めましょう。
「現在のコンディションは?」→現在、働くことができるコンディションなのかどうか?は、“主治医が就業可能という判断をしているのか?”を確認した上で、現在の1日の過ごし方を質問するとわかりやすいです。朝は何時に起きているか?夜は何時に布団に入り、寝付くまではどのくらい掛かるのか?夜中に目が醒めることはあるか?食事は3食食べているか?といった質問をすると、ある程度、就業が可能かどうかの判断ができます。
「どういう時にコンディションを崩しがちか?」→季節・気候や睡眠不足などによってコンディションが変化するというのに加えて、人間関係がコンディションを左右するという人は多くいます。全く人と関わらない職場はありませんので、人間関係でコンディションが変化するという人には、より具体的に「どういう場面、どういう人?」という点も質問しましょう。過去の事例を話してもらうこともよいでしょう。それによって、適した職場をイメージすることができます。また、この質問をすることで、物事の捉え方が自責寄りなのか、それとも他責寄りなのか?の判断ができることもあります。
「コンディションを崩したときの対処方法は?」→自分自身でリカバリーすることができるかどうか?や、その方法を知っているか?を確認します。加えて、コンディションを崩した時には、なかには薬を服用するという人もいますので、その場合は、副作用についても聞いておきましょう。(頓服薬の中には強い眠気がくるというものもありますので、就業に支障がない程度かどうか、も確認します)
「あなたをサポートしてくれる人はいますか?」→これは主に精神的な支えになる人が近くにいるか?を意図して質問します。誰にとってもそうですが、心が弱くなった時にサポートしてくれる人がいるといないとでは大違いです。家族や友人など、何でも話せる人がいるかどうかを確認しましょう。
以上が面接時の質問例ですが、質問に対する相手の回答が、“事実に基づくもの”なのか?“こうだったらいいな”という希望的観測なのか?それとも自身のことではなくて面接における模範回答なのか?を区別することも大切です。一回で判断がつかなかった時は、同じ質問を少し表現を変えてしてみることも一案です。
最後に最も大切だと思うことをお伝えします。
ここでご紹介した質問例とは別の観点ですが、「あなたは何のために働きますか?」という働く姿勢についてもぜひ聞いてみてください。
この言葉通りではなく、「あなたは当社で働くことでどんな価値を提供しますか?」という趣旨の質問をしてみてください。
さすがに面接の場面で、「お給料をもらって、生活をするため」と答える人はいないかと思いますが(もしそんな人がいたら、どんなに優秀であっても採用は見送ってくださいね)、これは欠かすことのできない観点です。
「働く」ということは、世の中(お客様)に価値を提供して、その対価として報酬を受け取る行為です。これは障がいを持っている・いないに関わらず共通の決まりごとです。自分はどんな価値を提供できるのか?を知っているということは、自分をよく知っているということです。そして、自分をよく知っている人は、自分の強み・弱みに応じた対処方法を身につけることができれば、自走することができます。企業で必要とされる人材とは、そういう人なのではないでしょうか。
梶原 温美(かじはら はるみ) オフィス温度28℃代表。 専門分野は、障がい者の雇用支援、人材育成、キャリア支援。 「自身の特性に向き合う人たちが尊重し合い、自走しながら事業に貢献する組織創り」を基本理念としている。 問い合わせ先 Start Next!運営事務局 startnext@start-line.jp |
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StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。