さまざまな疾患を伴う、「筋ジストロフィー症」と働き方

筋ジストロフィーは、難病指定されている疾患のひとつで、骨格筋の壊死と再生を繰り返しながら、徐々に筋力が低下してしまう疾患です。さまざまな身体障がいが現れるため、働き方においても配慮が必要と言われています。

「筋ジストロフィー症」という難病について

筋ジストロフィーには、さまざまな「型」があり、中でも「デュシェンヌ型」や「福山型」と呼ばれるものは、症状が重くなる傾向があります。

運動能力低下や進行速度などは、病型によって大きく異なりますが、デュシェンヌ型の場合、5~6歳までは運動機能の発達が見られるものの、その後は低下していき、10歳前後で歩くことが困難になると言われています。一方、ベッカー型と呼ばれる病型の場合は、軽度の筋力低下で、成人でもほとんど筋力低下がみられないケースもあるようです。

過去のデータや海外の文献などを参考にすると、10万人当たり17~20人だと推算されており、原因は、遺伝的要素によるものと考えられています。国や地域、民族によっても、どのような型が現れやすいか、異なる傾向にあるようです。

進行性筋ジストロフィー症(両上下肢障害)患者の在宅雇用例

筋ジストロフィーになると、歩くことが困難になるケースも多く、実際に通勤することが難しい患者も少なくありません。パソコン業務や、ガス機器の点検などを主な業務としている事業所では、筋ジストロフィー症の兄弟を、在宅雇用する方法で、雇用しています。

この事業所では、主に上肢障がいのある従業員を雇用していますが、進行性筋ジストロフィー症の兄弟は、両上下肢障がい。CAD作成の技能を習得しているものの、作業に必要なソフトや指導者もいないことに加え、送迎バスなどもないことから、フルタイムでの勤務は難しい状況にありました。

そこで、表計算ソフトを作図業務に代用。技術指導と職場指導を、リハビリテーションセンターで行うことで雇用に動き出したのです。すでにひとり、在宅雇用のノウハウがあったことや、住宅雇用に取り組んでいたほかの事業者のアドバイスなども受けたことなども、彼らの雇用に役立ったようです。

難治性疾患患者雇用開発助成金を利用も

筋ジストロフィー症などの、治療困難な症状を抱える障がい者を雇用する場合には、「難治性疾患患者雇用開発助成金」を利用することができます。

筋ジストロフィー症以外にも、厚生労働省が実施する「難治性患者克服研究事業の対象疾患」が対象とされており、ハローワークの職業紹介により、対象者を常用労働者として雇用した場合に、この助成金の利用が可能です。

独特の症状や、進行性の症状がみられる疾患もあるため、より一層の配慮が必要になることがあるかもしれませんが、業務の切り出しを行ったり、医療機関、支援機関と協力して助成金を利用したりして雇用を進めれば、きっと企業にとってもメリットが見えてくるはずです。

筋ジストロフィー症は、進行性の疾患であり、障がいとなる症状が増えていくことも少なくありません。くわえて、個人差のある疾患でもあるため、より、ひとりひとりにあった働き方が必要になるでしょう。しかし、工夫次第では、彼らの能力を生かすこともできるはず。どのような障がいがある場合も、できることに目を向ければ、きっと企業の戦力となってくれるはずです。

 


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