雇用や働き方において、障がい者を差別してはいけないことは、障害者差別解消法で定められています。ただ、「解消」と言う単語が使われているということは、差別という意識が存在している証拠でもあります。わたしたちは、障がい者と付き合ううえで、どのような配慮を行っていけばよいのでしょうか?
経験を積んだ大人だからこそ感じてしまう「違う」という感覚
フランスの障がい者支援団体(ナオミ協会)が制作した、「The eyes of a child」という動画をご紹介したいと思います。
動画では、親子が画面に映る人たちの顔を真似する、というごくごく単純なことをしています。舌を伸ばしたり、ほっぺをひっぱたり、いわゆる変顔です。
最初は大人も子供も楽しく真似をしていますが、あるタイミングで、大人だけが真似をやめてしまい、戸惑ってしまいました。理由は、出てきた女の子が障がい者だったからです。おそらく、障がい者の顔真似することは、いけないことだという意識があったからでしょう。
一方の子供たちは、そういった障がい者に対する知識も偏見もないため、なんの躊躇もなく、顔真似を楽しんでいる様子が映し出されています。
支援団体のメッセージは、「子供の目線を持とう」というもので、いろいろな知識や経験を積み重ねてきた大人だからこそ、たとえ善意の気持ちであっても、障がい者を特異な目線で見ることに疑問を投げかけています。
障がい者の顔真似をすることは差別行為なのでしょうか? それとも、真似をしないことこそ差別意識がある証拠なのでしょうか?
障害者差別解消法と偏見をなくす心の共通点は?
もちろん、子供は傷つかないように配慮する能力には乏しいですし、人に対してどのように接するべきかは、文化や思想によって変わってきます。積極的に手助けをすることが「温かさ」である場合もあれば、少し距離を置くことが「配慮」になる場合もあります。
障がい者雇用においては、障がいを理由に、不当な解雇や雇用の拒否、不利な待遇をすることは、障害者差別解消法で禁じられています。もちろん、ルールを順守することは大切ですが、法律だけを根拠にして、差別のない職場づくりはできません。
障がいにはさまざまな種類があり、どのようなことが差別にあたるのか、あたらないのか、法律による文章から、答えを見つけることはとても難しいことです。障がい者ひとり、ひとりに異なった感じ方があり、ベストな方法も違います。障がい者の数だけ、答えがあるといっても過言ではないのです。
偏見や差別解消は変わるものではなく育むもの
障がいの有無に関係なく、相手がなにを喜び、なにを悲しむのかを理解するためには、相手のことをよく知ることが大切です。「障がい者だから」という壁を作って、触れ合うことに不安を抱いたり、態度や目線を変えてしまったりすると、差別解消にはなりません。
そういった気持ちを持ったうえで、障がいに対する正しい知識を知ろうとする積極的な気持ちを持ちましょう。大人として知識を得て理解することと、お互いに笑顔になりたいというシンプルな気持ち。その両方を育んでいくことが大切です。
障がい者の「違い」を理解することは適切な配慮に欠かせませんが、生きることにおいて「違う」と勝手に思い込まないことが大切です。評価されて嬉しい気持ちや、誰かの役に立ちたいという気持ちは、誰しも子供のときからずっと変わらず持っているもの。それと同じ気持ちを、障がい者も持っているのです。
障害者差別解消法は、おおよそ望まれるであろう結果を記しているものです。障がい者が不利益な結果を被らないことや、差別だと感じないためには、その結果を出そうとする気持ちはもちろんのこと、相手を理解しようとする気持ち。これに尽きるのではないでしょうか?
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StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。