具体性と確認がポイント! アスペルガー症候群の方に合わせた指導法

「アスペルガー症候群」の名前は、近年よく聞かれるようになりました。発達障がいのひとつで、主にコミュニケーションにおいて問題を抱える場合が多いようです。そのため、職場での指示や指導を行う場合には、この障害に合わせた指導が必要になります。

アスペルガー症候群の特徴と苦手なこと

アスペルガー症候群は、コミュニケーションが難しいという、漠然としたイメージを持ちやすいかもしれませんが、苦手なことにはある程度特徴があります。

・対人関係において
対人関係においては、いわゆる「空気を読む」というようなことが苦手です。複数の人の気持ちを察して、総合的にどのような言動するのが、最も適切か? ということを判断するのが難しい傾向にあります。

・コミュニケーション能力において
指示などがあった場合、時間や単語などを、そのままの意味でしかとらえない傾向があります。曖昧な言い方で、文脈から読み取ったり、言葉にしていないことを察したり、判断したりするのが苦手です。

・こだわりがある
自分が興味のあることと、興味がないことへの差が激しく、「こうやるのが自分のやり方」など、特定のルールへのこだわりが強いようです。相手や周りに合わせて変更したり、イレギュラーに対処するのが難しい傾向にあります。

この言い方はOK?NG?アスペルガー症候群の従業員への指導

アスペルガー症候群の方にとって、「17時」言うと、「17時」。それ以外の何物でもありません。「先方がなるべく早くほしいと言っているから、17時頃には渡せるように」と伝えると、「17時」以外の文脈から「この仕事をまず優先してはじめよう」という判断をしにくい傾向にあるのです。

そのため、以下のような言い方はNGとなります。

「みんな○○について話しているんだから、なにを優先すべきかわかるだろう」
「今日の夕方までには必要だから、早めに片づけておくように」

これでは、アスペルガー症候群の従業員にとって、なんの指示も与えられていないと、とらえられてしまいかねません。

「今日は○○が終わってから、○○をはじめるように」
「今日の○時までに、○○の仕事を終わらせておくように」

というように、数字ややるべき業務を、はっきりと伝えるよう意識しましょう。

また、コミュニケーションにおいては、相手が不快に思ったり、言わないほうがいいことなどを判断したりするのが苦手な傾向にあります。周りとの協調性やマナーを考え、口にしてはいけないことなどがあれば、はっきりと指導を行いましょう。

ストレスは症状悪化に!能力を活かせる仕事を用意しましょう。

アスペルガー症候群の場合、どうしても人とトラブルになりやすい傾向にあります。そのため「どうして○○しないんだ!」というようなイラ立ちが先だって、そのような感情と一緒に、評価をしてしまいがちです。

しかし、アスペルガー症候群は、ストレスにより症状が悪化するため、そのような指導姿勢は、双方にとって良くありません。

こだわりや自分のルールに固執したり、曖昧さを理解できないという特徴は、ある特定の業務においては、素晴らしい集中力と成果が期待できます。

無理に周りと同じように言動させようとするのではなく、本人の能力を活かせる職場環境を整え、必要な指示を明確にする工夫をするほうが、双方にとってメリットある結果になるのです。

近年の働き方は、さまざまな業務を多岐にわたって、こなすスタイルであることが少なくありません。しかし、アスペルガー症候群の従業員へは、ひとつの物事に集中して取り組んでもらうほうが、仕事がスムーズになります。みなさんも合理的配慮について、いま一度考えて、個々への指導を見直してみてはいかがでしょう?

 


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この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。

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