障がい者雇用の法定雇用率が定められていることは、みなさんもご存知だと思いますが、この度、精神障がい者の雇用も、義務付けられることとなりました。そこで今回は、精神障がい者の雇用について考えていきましょう。
障がい者雇用にまつわる法律の変化と今後
障がい者にまつわる法律は、実はとても古くからあります。戦後、戦場で負傷した人が多かったことから、昭和35年には「身体障害者雇用促進法」が制定。昭和51年に障がい者雇用が義務化。その後、昭和62年に、障がい者雇用の範囲を拡大し、現在の障害者雇用促進法の原型ができました。
そして、平成30年4月の法改正においては、精神障がい者の雇用も、法定雇用率に含まれることになります。つまり、この法改正により、精神障がい者の雇用が義務化されることとなったのです。
この改正には、障がい者雇用をさらに促進させる意図があります。精神障がい者の数が多いことから、法定雇用率の引き上げも予想されるでしょう。
精神障がい者の職場定着が難しい理由とは?
関西福祉科学大学の研究チームが発表した論文によると、2011年の調査 では、身体障がい者の離職率12%にくらべ、精神障がい者の離職率は44%という結果が出ています。そう、精神障がい者の離職率は、身体・知的障がい者にくらべて、高いのが現実なのです。
理由として考えられることは、やはり目に見えてわかる身体障がい者や、できないことがある程度ハッキリしている知的障がいよりも、サポートの仕方が曖昧であること。気づいてもらえなかったり、誤解されたりすることも多く、まだまだこういった障がいに、偏見を抱いている方も少なくありません。結果、ひとりで悩みを抱え込み、職場にいられなくなってしまうのです。
また、精神障がいの場合、本人自身も自分の症状がどのようなものであるか、把握できていないケースが少なくありません。そのため、精神障がい者の離職率を下げ、定着率をあげるためには、よりきめ細やかな配慮が必要になってくるといえるでしょう。
休憩室を設けることでできる、精神障がい者への配慮
ある企業では、共用の休憩室を設置していましたが、「他の職員に遠慮してしまい使えない」「スペースが足りず仮眠はできない」といった声が聞かれ、必要な役割を果たせていなかったそうです。とくに、女性障がい者の利用は、ほとんどありませんでした。
精神障がい者にとって、「ストレス」「疲労」はとくに避けるべき問題。そこでこの企業は、精神障がい者の採用を機に、休憩室の改善に取り組んだのです。まず、男性用休憩室・女性用休憩室・談話コーナーの3つにわけ、とくに女性用休憩室のプライバシーに配慮を行いました。
そして、仮眠スペースを用意することで、ひとりで過ごせるスペースと、みんなで過ごせるスペースを区切り、ひとりでいたいときはひとりになれ、みんなでいたいときにはみんなといられる、休憩スペースを確保したのです。
結果、利用者も増え、従業員がリラックスできるスペースとして活用できるようになり、業務への課題や、仕事のコツも話し合えるようになりました。ちなみに、このような施設の設置は、「障害者福祉施設設置等助成金」の対象にあたります。もしこういったスペースを検討されているようであれば、一度、助成金も調べてみるといいかもしれません。
今回紹介した事例のように、精神障がい者にとって働きやすい環境を整えることも、できる配慮のひとつです。精神障がい者の雇用も、義務化されるため、みなさんの会社でも、できることから、はじめられてみてはいかがでしょう?
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StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。