保育士という仕事は、ただ子供の面倒をみればよいわけではありません。栄養や衛生面など、子供たちの健康管理、心理学や発達について学び、計画を立て、日誌をつけ、ひとりひとりに配慮しなければなりません。そんな、多忙な職場保育園ですが、中には、障がいを持ちながら、保育士として、活躍されている方もいらっしゃるようです。
保育の現場でも働く障がい者
全盲のある女性は、楽しい保育園時代を振り返り、保育士になりたいと志しました。ただ、配慮された現場の確保がされていないことや、同じ条件下での競争を理由に、市での受験を受けることができなかったようです。
しかし、子供たちと触れ合うことを諦めなかった彼女は、その後、私立の保育園へ就職を果たします。点字シールの張った絵本を読むと、子供たちは夢中になってそれを聴きます。しがみついてくる仕草や声、服のにおいなどで、ひとりひとりを判別。お漏らしをした子を、シャワーで洗ってあげる作業などもこなすそうです。
また、精神障がい者手帳3級を取得している、発達障がいの男性は、聴覚が敏感なため、周りの音すべてを必要なものとして聞き取ってしまいます。保育中のざわざわとした室内では、職員同士の簡単な打ち合わせができず、一旦保育作業を代わり、事務所で話したり、メモでやりとりしてもらったりといった配慮の中で、勤務をこなしていました。
こういった症状は、職務に支障をきたしそうと思われがちですが、こういった特性のおかげで、子供のたちの声がよく聞こえ、どこでぶつけたり、泣いたり、話したりということに、誰よりも早く気づくと評判という一面も持ち合わせていたようです。
障がいに合わせた働き方をカスタマイズする
障がいに合わせた働き方をすることは、保育の現場でも少しずつ考えはじめられています。たとえば、精神障がい。精神障がいの場合、時期によっては不調になり、休みがちになってしまうケースもあるため、不調な時期は、休職という扱いにしている保育園もあります。
この保育園では、非常勤社員にも休職制度を採用し、不調のときは、2ヵ月休職した後、自分のペースで復帰することができます。また、週5日勤務から3日にするなど、働き方をカスタマイズして、「長く勤めてもらう」ことを目標にしているよう! このほか、各種支援施設などと連携し、業務のスケジュールを作成。障がいのあるスタッフとの共通認識やコミュニケーションも大切にしているようです。
未来の差別意識をなくすことにもつながる
保育の現場では、保護者との認識の共有も大切です。新しい先生の紹介をするときには、障がいについて、障がい者雇用についての説明を丁寧に行い、障がい者の先生自ら、しっかり挨拶をするなどの対策を行っているようです。
こうした現場で障がい者が働くメリットは、障がい者の方への偏見をなくし、ひとりの人として、自然に接することができる、環境を作ることにも繋がります。
また、将来親になったとき、子供がなんらかの障がいを持つ可能性や、自分自身が障がい者になる可能性も否定できません。どのようなハンデがあっても、障がいがあってもなくても、一緒に楽しく過ごせたという、小さなころの記憶は、差別をなくすという点で、非常に大きな可能性を持っているのです。
大人になると、さまざまな概念や価値観をつけてしまいます。もちろん、それは生きるために必要なことですが、それゆえに、本来なくてもよい壁を、障がい者との間に作ってしまっている可能性も…。「まわりとは少し違ったけど、一緒に楽しく過ごした」という経験をしていれば、障がい者とのコミュニケーションにおいて、大きなメリットになるのではないでしょうか?
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StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。