障がい者や、病気を患っている人にとって、最初の壁となるのが通勤です。とくに要介護である重度障がい者の方にとっては、非常大きな壁となってしまうのです。そんな中注目されているのが在宅雇用です。そこで今回は、そんな在宅雇用をはじめとする、働き方の多様性についてご紹介していきましょう。
ネット社会だからこそ!在宅雇用という可能性
インターネットが普及して、早20年。インターネットに接続していれば、遠く離れていても、瞬時にコミュニケーションがとれるようになりました。そんな背景もあり、毎日通勤することが困難な重度障がい者を雇用し、在宅で働けるよう工夫した企業も増えているようです。
在宅雇用を行っているA社は、優れた技術を持ちながら、障がいのためにその能力を発揮することができない方を集め、ホームページ作成やポスターのデザインなどを手掛ける社内ベンチャーとして誕生しました。
全従業員58名のうち、障がい者数は45名。肢体不自由者35名、内部障がい者3名で、全員が重度障がい者です。社員の在住地は、東京の18名をはじめ、首都圏、静岡県や富山県、関西地方から鹿児島県までさまざま。雇用形態は在宅勤務契約社員で、勤務時間は6時間か7時間の選択制で、週5日勤務となっているようです。
まるで社内!が大切!コミュニケーションを重視したシステム
在宅での仕事は、さまざまありますが、この会社では、実際に会社に勤務しているようなシステムを作り、在宅での雇用ながら、実際に社内でデスクについているかのうように、音声でのコミュニケーションができるようになっています。
まず、朝の業務開始時間と、夕方の終業時間には、独自の業務管理システムの画面から、全員に挨拶メールを送信。これをタイムカードとしているそうです。独自のシステムにより、リアルタイムで在席状態、仕事の進み具合や、ヘルパーの受け入れ、通院などの連絡事項を表示し、社員全員が共有できるようになっています。
そのほか、事業所などとの打ち合わせでは、webカメラを利用し、事務所の風景をライブで見ながら、顧客と顔を合わせて会話ができるようになっています。
柔軟な配慮をした、教育と労働管理が大切
障がいの種類によっては、体調が流動的に変化する場合もあます。ですので、この会社では、介護や体調管理を最優先にすることができるよう、勤務時間を個別で設定できるようにしています。
また、年に2回はコーディネーターが面談を行い、半年間の業務を振り返り、反省点と、今後のスキルアップ、どのような業務に取り組んでほしいかを話し合います。必要があれば、デザインやプログラミングなどの在宅で雇用されているメンバーで勉強会を行ったり、可能であれば、外部の講習会に参加することを推奨したりしているそうです。
このような働き方を作ることで、重度障がい者の方でも、しっかりと意欲と責任感をもって仕事に取り組めるようです。
この企業は、平成17年度の、「肢体不自由者のための障害者雇用職場改善に関する好事例集」の最優秀賞も受賞しており、厚生労働省からの社会貢献として優れている会社としても表彰されています。
このような会社が成長を続けているということは、昔ながらの出勤という概念にとらわれず、柔軟な働き方があるということを証明しています。さまざまな技術の向上と共に、新たな雇用形態を作り出していくことも、障がい者雇用のイノベーションといえるでしょう。
ビジネスには信頼が最重要であり、そのために実際に職場に通勤することが理想ではあります。しかし、多様性を考え、通勤が困難な重度障がい者でも、インターネットで繋がり、仮想社内を構成する雇用のあり方は、多くの可能性を秘めているでしょう。能力を持ちつつも、さまざまな状況ゆえに勤務が困難な人材を活かす方法も、これからの時代に必要な取り組みと言えるのではないでしょうか?
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StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。