「教える」ということは、ただ単にやり方を伝える、ということではありません。可能性や要素を提示して、本人に考えてもらい、答えを見つけてもらうよう導くことも、教えることの大切な要素です。知的障がいを持つ従業員を教育する際には、どのように配慮し、教育していけばよいのでしょうか?
合理的配慮の目指すところとは?
「障害者雇用促進法」において企業には、「合理的配慮」の義務が課せられています。しかし、ただ字面だけで、「配慮をすればいい」と言えるほど、簡単なことではありません。どのようなことをすればいい、というのではなく、障がい者が差別を感じない、不当に不利な立場に置かれないなど、さまざまな心配りが必要になってくるからです。
当然、障がいにも種類があるため、個人それぞれの数だけ、必要な配慮の仕方も異なってきます。知的障がいにおいては、抱えているハンデに十分配慮し、本人の能力が最大限発揮できる環境を整える必要があります。そしてこれは、教育の仕方についても同様です。
知的障がい者への配慮が難しい理由とは?
「百聞は一見に如かず」ということわざがあるように、見えるものについては、総じて理解がしやすいものです。車いすにのっていたり、なんらかの補助器具が常に必要だったりするなら、どの点に配慮すべきかが、わかりやすいかもしれません。
しかし、見えない障がいについての配慮はそれらに比べ少し難しくなります。視覚、聴覚、内部障がい、精神障がいもそうですが、知的障がいも、一見するだけでは、どのような配慮が必要なのかがわからないことが多いからです。
当然、仕事のやり方やマナー、ルールを教える際にも、配慮と工夫がなければ、知的障がいを抱える従業員が、内容を理解するハードルも上がってしまいます。
知的障がい者への教育と配慮の両立
実際に知的障がいを持つ方への配慮としては、どのような事例があるでしょうか?
・シンプルな単語で、ゆっくりハッキリ話す
・書類の記入などは、実際に目の前で書いて見せる
・漢字を少なくし、ルピを振って、内容の理解を助ける
・わかりやすい図を作り、写真を用いて説明する
これらの事例からわかるように、仕事の内容を伝える際に、自分で考えなければならないことを軽減するのは、基本的な知的障がい者への配慮といえます。もちろん、先述したように、障がいにはさまざまな種類があり、同じ知的障がいであっても、得意なことや苦手なことはさまざまです。知的障がい者の従業員には、こうしておけばいい、という安易な考え方はせず、その都度その障がい者と向き合う姿勢が大切です。
目の前の本人が、なにを不得意としているのかを見抜くのは、教育係の腕の見せどころ。基本的な配慮のパターンを抑えつつ、個々の能力に応じた配慮ができるよう、よく観察し、よく考えて、柔軟な発想を心がけましょう。
「知的障がいを持っているから、これはできないだろう」という固定概念を持つことは絶対に避けたいところ。本当はできるのに、その機会を奪ってしまい、結果的に企業にとってデメリットになってしまう場合もあるからです。できないことをカバーする以上に、障がい者本人の能力を、最大限発揮するための手助けを「配慮」と考えれば、きっといい関係が築いていけるのではないでしょうか?
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StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。