野菜や果物、米など、農業によって育つ作物は、私たちの生活に欠かせません。しかし、問題になりつつあるのが、農業においての人手不足です。そんな背景もあり、最近、障がい者が農業に携わる「農福連携」が進められています。
人手不足にストライク!? 農業における障がい者雇用
たびたびメディアで取り上げられている、農業界の人手不足や高齢化、跡取りの不在。それだけでなく、最近では、環太平洋経済連携協定(TPP)による、先行きの不透明さも問題視されてきています。
一方、福祉の面では、少子高齢化によって、社会保障費が膨らみ、障がい者福祉への財源確保が難しくなってきている現実があります。
これら、一見マイナス要素でしかない問題も、障がい者が農業に携わる、「農福連携」を行うことにより、新たな産業スタイルとして注目を集めています。
不安解消はコミュニケーションが重要
農業は、作業台の上で物を相手にするよりも、デリケートな仕事になります。そのため、農家の方にとって、「障がい者に農業を任せても大丈夫なのだろうか?」という不安は拭いきれないところがあります。この不安というのは農業に限らず、障がい者雇用を行う多くの環境にあるもので、障がい者雇用における最大の問題であると言えるでしょう。
そういった不安は、円滑なコミュニケーションが解決へ導いてくれます。このとき、農家の方が、まず障がい者施設のスタッフにやり方を伝え、スタッフが障がい者に伝えるという方法とることで、うまく伝えられるケースが多いようです。たいてい、実際に作業しているのを見ると、「こんなにできるんだ!」と驚かれることが多いようです。
地域おこしにも期待!「農福連携」のこれから
「農福連携」は、福祉と農業、それぞれの事業の担当庁である、厚生労働省や農林水産省からも注目を集めています。最近では、国や地方自治体が、障がい者の就労訓練や雇用を目的として、農場整備の費用を一部補助するなど、支援策も強化されてきているようです。
安定した収入を得るまでの課題が、多く残っていることも事実ですが、農業だけでなく、作った作物を販売することや、食材を活かしたレストランなどを展開することによって、障がい者の平均売上を、2割ほど上回っている事業所もあるようです。
また、こうした「農福連携農場」が活性化することにより、障がい者福祉には興味がなかった方が、福祉にも関心を持つようになったというケースも増えてきています。障がい者が農業に携わり、地域の事業と連携することにより、新たなビジネスモデルが生まれ、定着するきっかけも生まれるのではないでしょうか。
農業の人手不足、障がい者の賃金問題、就労が難しい、就職はできても働き続けることが難しいといった問題は、それぞれの分野での課題です。「農福連携」は、それぞれのニーズがうまく噛み合い、工夫やアイディアが追加されることによって、事業者にとっても、障がい者にとっても利益のある関係が、形作られてきています。これは、障がい者雇用にひとつの結果を出しているといえる事例なのではないでしょうか。
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StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。